「こんばんは。」
大好きな人の部屋の扉を開けてこう言う。
「莉夏さん?」
スリッパなんか履かず、いつものように裸足で莉夏さんがいるだろうリビングへ向かう。
「りーかさん。」
あれ?
いつもなら笑顔と同じ、きれいな声が聞こえるのに今晩はそれがない。
うーん、今日は遅すぎてもう寝ちゃった?
だから、さっさと帰ろうって言ったんだ。
ついさっきまで付き合ってた光くんを恨む。
今夜は一人になりたくない、
とか、
真っ暗な部屋に帰っても悲しくなるだけだし、
とか言う光くんに付き合って楽屋で光くんがベースを弾く姿を眺めてた。
お人好しな自分に半ばウンザリする。
「この償い、明日、絶対させてやる。」
さっきまで一緒だった光くんに向かってこう言い、俺は愛しい人が待つリビングの扉を開けた。
あ、・・・。
リビングに入った俺の目に映ったのはソファーの上で丸くなって眠ってる莉夏さんの姿だった。
『・・・、ん、・・・。』
ソファーで丸くなって眠ってる莉夏さんの隣に座ると、莉夏さんの小さな声が聞こえた。
ふふ、・・・。
かわいい。
いつも俺を優しく見守ってくれる、俺よりずっと大人な莉夏さんがすごくかわいく見えた。
そのかわいい莉夏さんの髪にそっと触れる。
『・・・、んっ、・・・。』
隣に座る俺の方へ腕を伸ばした莉夏さん。
ヤベッ、・・・。
思わず髪に触れてた手を引っ込める。
そのかわいい寝顔。
俺だけだよね。
そのかわいい寝顔が見られるのは。
「いつもありがとう。」
莉夏さんのかわいい寝顔にこうつぶやく。
眩しいほどの光輝くステージに立つ、
大勢の大きな黄色い声に包まれる。
こんないいときばかりじゃない。
普通に仕事してる人たちと同じように俺だってへこむときがある。
仕事で疲れたとき、
仕事でイヤなことがあったとき、
何も聞かずいつもと変わらず俺と一緒にいてくれるあなたが好きだ。
「これからもずっと一緒にいて。」
『・・・、んー、・・・。』
少し大きく伸びをした莉夏さん。
「ずっと一緒にいて。ね、莉夏さん。」
眠ってる莉夏さんには聞こえないってこと分かっててそっとこう囁く。
「おやすみ、俺の大切な人。」
自分の方へ伸ばされた手をそっと握り、気持ちよさそうに眠ってる愛しい人の頬へそっと唇で触れる。
これが今日の終わりの出来事。
一日頑張った俺の終わりは大好きな人への告白だった。
-------
超久しぶりに一昨年のライブを観ていました。
そこで歌い踊る大ちゃんの姿を観ていたら降りてきた絵がこれ。
深夜にしか書けないお話(;^_^A
さ、寝よ。