日本では初代中村蘭台先生と、生井子華先生の作品が好きで、中国では超子謙の篆刻作品がめちゃ好きです。
超子謙の作品を見ていると、これ以上のものは出ないのではないかという思いさえ抱きます。19世紀にこれだけのことをやった人がいるなんて、時代の進歩って何だろう?と。
あまりに奇を衒ったようなものは好きでは無く、正統的な・素直な感じのものが好きです。超子謙の作品は比較的文字は素直なような気がします。ただ、文字の線の質がものすごく品があるのです。これはなかなか難しいと思います。
変わったことをやろうとする人は今も多いですがね。そういうのはあまり興味が無かったりします。
マール社の「日本書画落款印譜」という本がありまして、だいたい江戸期から明治あたりの書家・画家・その他著名人の落款がたくさん掲載されています。
これを見ると、正直あまり感心するようなはんこが無いんです。いろいろな方が彫っているんでしょうけど、どれも線の質がのっぺりしていて、めりはりが無いというか。
超子謙の生没年は1829年から1884年、日本の明治維新が1868年ですから、日本の江戸後期から明治にかけて活躍していたということです。時代的に「日本書画落款印譜」の掲載作品と重なっているものも多いはずです。
しかし、超子謙の作品に匹敵するものが無いのです。はるかに中国の篆刻のレベルが高かったような気がします。
中村蘭台先生は1856年の生まれで明治期に活躍していますので、それまでの日本の篆刻界に革命を起こしたような方だったのかな~と、勝手に推測しています。
いろいろ書きましたが、私は篆刻の歴史に詳しいわけではありません。いろいろな印譜を見て思ったことを超主観的に言っているだけです。
ただ、中国に行くと観光客相手に即席ではんこを彫ってくれる業者がたくさんいるようですが、そういうのと、本当の篆刻家では目的と気概が違いますので、安易に買わない方がいいと思います。
それと、篆刻家と印章店は違うところがたくさんあること。そして、それぞれにおいて気概やセンスは店によっていろいろだと思います。