始まり始まり~!



「あれ・・・・・・このグラフみたいなのはなんだろう?」

美緒は画面の一番下に表示されている横向きの棒

グラフのようなものに気がついた。

左側にハートマークのマークが表示さrていて、

右はしに九十二と数字が出ている。

(キャラクターの体力とか、そういうのかな。でも、

このゲームに体力とか関係なさそうだけど)

美緒はそう思いながら、小学校の校門を通り過ぎた。

前から男の子の笑い声が聞こえてくる。

同じクラスの優一の声だった。

優一は他の男の子とゲームの話をしている。

英語の文字が書かれたTシャツとジーパン姿はシンプル

だったが、足の長い優一にすごく似合っていた。

美緒の心臓がぴくりと動いた。

自分の頬が熱くなってくるのがわかる。

(声をかけてみようかな・・・・・・・・)

美緒は黒い携帯ゲーム機をぎゅっとにぎりしめた。

深く深呼吸をして、優一に近づいた。

震える手を上げて唇を開くが、どうしても声が出ない。

口をパクパクと動かしているうちに、優一は校舎の中

に入ってしまった。

「はあ・・・・・・・・・」

美緒はがっくりと肩を落とした。

(優一君とゲームの話、したかったなあ・・・・・・・)

ふと、携帯ゲーム機を見ると、画面にトラのキャラクター

が登場していて、メッセージが表示されている。

『ミオの前に、大好きなトラオくんがいるよ。どうする?』




つづく。

始まり始まり~!



「はい・・・・・・気をつけます」

美緒はそう言って、交番を出た。

しかし、美緒の頭の中は不審者のことではなく、

お礼にもらった一万円のことばかりを考えていた。

(なんて、ラッキーなんだろう。ゲーム機も拾えたし)

美緒は黒い携帯ゲーム機をポケットから取り出した。

画面を見ると、犬のおまわりさんがいる交番が

表示されている。

(あれ・・・・・いつの間に、こんなところ魔ですすんだ

のかな?)

美緒は不思議のに思いながら、画面に表示されてある

文字を読んだ。

『拾った木の実はタヌキさんのものだった。

タヌキさんからお礼に葉っぱのお金をもらう』

「へー。ゲームのほうでもお礼をもらえるんだ」

画面の中で、ウサギのミオがバンザイを繰り返している。

その下には『レベルがあがった』という文字が表示されていた。

現実と同じように喜んでいるゲームのキャラクターを見て、

美緒はこのゲームを続けたくなった。

よく考えれば、この携帯ゲーム機も交番に届けないと

いけなっかた。

お金とはちがうが、落し物のなのはまちがいないのだから。

だけど、美緒は携帯ゲーム機が欲しかった。

これを持っていれば、みんなといっしょにゲームの話題で

盛り上がることができる。

「・・・・・・・・・・少しぐらい借りていてもいいよね。

せめてこのゲームが終わるまで」

まるで神さまに言い訳をするように、美緒はつぶやいた。

あたりに誰もいないのを確認して、ランドセルの中に

黒い携帯ゲーム機を押し込んだ。

美緒は自分が興奮しているのに気がついた。

心臓がドクドクと音をたてているのがわかる。

悪いことをしていると思ったが、それよりも携帯ゲーム機を

手に入れたことがうれしかった。

いつの間にか、夕陽が通学路の景色を赤く染めている。

家に向かって走り出した美緒の姿も、血に染まったように赤かった。

次の日の朝、美緒は黒い携帯ゲーム機を持って学校に向かった。

歩きながらゲームを進めていると、ゲームの中のキャラクターも

学校に行かなければいけないことがわかった。

現実の世界と同じように、ゲームの中の朝も時間になっていて、

動物たちが、ランドセルを背負って、学校に向かっている。



つづきあるからみてね~!



始まり始まり~!



別に携帯ゲーム機を盗もうと思っているわけではなかった。

ただ、ちょっとだけゲームで遊びたいだけ。

ちょっとだけ・・・・・・。

美緒は『始める』を選んで、決定ボタンを押した。

携帯ゲーム機の画面に、ウサギのキャラクターが現れた。

これが、美緒があやつることができるキャラクターのようだ。

美緒はそのキャラクターに『ミオ』というカタカナの名前をつけた。

ボタンを動かすと、ウサギのミオが画面を動き回る。

遊園地で聞こえてくるような音楽が、黒い携帯ゲーム機

から流れてきて、美緒は楽しくなってきた。

画面の中に表示された森の中をミオが歩き回っていると、

目立つ場所に真っ赤な木の実が落ちているのを見つけた。

その木の実にウサギのミオがふれると、画面にメッセージが表示

される。

『森を歩いてるミオ。すると、誰かのものと思われる木の実を発見した。

どうする?』

画面が切り替わって、選択肢が出てきた。

『自分のものにする』と『犬のおまわりさんに届ける』の二つの選択肢。

「うーん・・・・・・・これがイベントかな。どっちか選択すればいいんだよね」

美緒は『犬のおまわりさんに届ける』のほうを選んだ。

ウサギのミオが木の実を持って、勝手に歩き始める。

どうやら、犬のおまわりさんのいる交番に向かっているようだ。

「なんか、変なゲームだなあー。好きなところに移動できない時あるし・・・」

そうつぶやきながらゲームを続けていると、美緒の右足に何かがふれた。

「あれ・・・・・・サイフ?」

美緒はゲームを中断して、落ちていたサイフを拾い上げた。

こげ茶色のサイフはふくらんでいて、ずっしり重かった。

中を確認したら、お金とカードがいっぱい入っている。

さっきまで遊んでいたゲームと同じ展開に、美緒は思わず

口元がゆるんだ。

(このゲームと同じように、おまわりさんに届けないといけないよね。

お金入ってるし)

美緒は財布を握りしめて、交番に向かった。

交番に入ったとたん、美緒が手に持っていたサイフを見て、

スーツを着たおじさんが大声をあげた。

「ああー。ぼくのサイフだ。これです、おまわりさん。

ぼくが落としたサイフですよ。」

おじさんは興奮した、様子で、美緒の持っていたサイフを指さす。

どうやら、サイフの持ち主らしい。

きっと、サイフを落としたのに気づいて、相談に来ていたのだろう。

おまわりさんがにっこりと笑って、美緒の頭をなでた。

「届けてくれてありがとう。見つからないと思っていたよ」

「い、いえ。中にお金いっぱい入っていたから・・・・・・・・」

「そうなんだよー。給料入ったばっかりだったから」

おじさんが美緒からサイフを受け取りながら言った。

「本当にありがとう。君のおかげで助かったよ。」

おじさんは、サイフから一万円札を取り出して、美緒の手ににぎららせた。

「これはお礼の一割だよ。受け取っておくれ」

「えっ!一万円も?」

あわてる美緒に手を振りながら、おじさんは交番から出て行った。

「これ、もらってもいいのかな・・・・・・・」

「大丈夫だよ。拾った人にはお礼を受ける権利があるからね」

おまわりさんが言った。

「それより、気をつけて帰るんだよ。最近、この近くで不審者が出たらしい

から」

「不審者?」

「うん。コートを着たやせた男なんだけど・・・・・・」

おまわりさんは眉をひそめて、壁に貼られた不審者の情報

をちらりと見た。

そこには帽子を深くかぶった男の似顔絵が描かれたいた。

やせた頬にとがったアゴ、異常に大きな目が美緒をにらんでいる。



まだ、つづきあるからみてね!