※※ この本を読んで一言 ※※

相変わらずの飯テロ本です(笑)。

そして今回も龍を中心とした重くやるせない人間ドラマが堪能できます(汗)。

※※※※※※※※※※※※※※※

 

一つ前に読んだ「一九八四年(ジョージ・オーウェル)」が救いのない展開だったので、次に読むのはもっと気楽に読める作品にしようと思い選んだのは太田忠司さんの「名古屋駅西 喫茶ユトリロ 龍くんは美味しく食べる」です。

 

太田さんの作品「名古屋駅西 喫茶ユトリロ」「ミステリなふたり」に続きこれで三作目になります。

 

気楽に読めるとは言っても、前作の「名古屋駅西 喫茶ユトリロ」は龍の父親との微妙な関係、名古屋駅再開発に伴うユトリロの今後、龍の医学生としての苦悩など、物語の根底に流れる暗さも特徴的な作品でした。

だからこの作品もお気楽なだけではないとは分かっていましたが、それでも久しぶりに読むユトリロを楽しみに読み始めました。

 

相変わらずこれを読んでいると、実際にその店に行って、作中の愛知の名物を食べたくなります。まさに飯テロ本(笑)。

 

しかしこの本のメインテーマはユトリロを舞台に龍が周囲の人たちとの関係を通して苦悩し少しづつ成長していき、周りの人たちもそれをきっかけに心のわだかまりが解けていく事だと思っています。

そしてその期待に反せず相変わらず龍は全編に渡り苦悩しまくっています。

苦悩してこその龍です(笑)。

 

そして今後のユトリロ、そして名古屋駅西全体の再開発の行方もまだまだ分からないですが、ユトリロにとって明るい未来はなさそうなのが心配です。

 

話の展開としては一つの短編ごとに愛知のグルメを紹介していきますが、今回は平野里央のWebマガジンで愛知の名物を紹介という流れで、全編に渡り平野が中心にいます。

 

そしてこの作品での平野を見て気付きました。

私が読んだ太田さんの三作品限定かも知れませんが・・メインヒロインに魅力がなさすぎます。

 

名古屋駅西 喫茶ユトリロ」ではメインヒロインの明壁はキャラが渋滞していましたし、人間ができすぎていて魅力に乏しく感じました。

そんな魅力を感じない明壁が今回は出てこないなと油断してたら、最終の短編で出てきました。

そしてこの作品にも出てこなくてもよかったと思いました。

 

ミステリなふたり」に関しては、感想の中でメインヒロインを酷評しているのでここでは敢えて書きません。

 

太田さんの作品の登場キャラクターはみんな生き生きとしてそれぞれの人間味にあふれた魅力があるのに、なぜメインヒロインに魅力がないのか・・極めて残念です。

 

しかし上でも書きましたが「ユトリロ」シリーズは移り行く時代の中で存在している小さな喫茶店を中心に織りなす人間模様がテーマであり、私の中ではこのシリーズの主役は龍ではなく敦子、正直、千代であり、そしてユトリロの常連客だと思っています。

 

今後もユトリロを取り巻く人たちがどのように変わっていくのか、そしてユトリロはどうなってしまうのか、この先が楽しみですが切なくもあります。

そして龍も今後どのような道を選ぶのか注目です!

 

この作品は思った通りサクサク読めて、そして面白い作品でした。

そしてこの作品に出てきたお店に行って名物をぜひ食べてみたいです。

まだユトリロの3作目もあるので、そのうち読むのが楽しみです。

 

(個人的評価)

面白さ   ☆☆☆

登場人物  ☆☆☆☆

飯テロ度  ☆☆☆☆

もの寂しさ ☆☆☆☆☆