※※ この本を読んで一言 ※※

有史以来人間と共存してきたカワイイ最強種!!

それはネコ(笑)。

改めて猫と文学は親和性が高い事を再認識しました。

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この本は、強運HIROKO☆様のブログ 「絶対に大丈夫!全てベストの強運人生♡」の記事「ひとめぼれ♡」で紹介されていました。

 

そのブログを読んで、そのうち絶対にこの本を読もうと思っていたところ、先週の日曜日に居住地の図書館にフラッと立ち寄ったところ、本当に偶然にも置いてあるのを見つけました。

 

そもそも図書館も時間調整のために立ち寄っただけで、予定では立ち寄るつもりは全くありませんでした。

そして図書館で蔵書を検索したわけでも自分から探しに行ったわけでもないのに見つけたというのは、これはもう借りるしかない!!という事で速攻で借りました(笑)。

 

短編集であり、本自体も薄いのでサクサクと読めます。

そして予想していた猫が絡んだゴリゴリのミステリーではなく、人間の世界のトラブルを中心に描き、その物語を彩る脇役として猫がいるという感じでした。

もっと言ってしまえば、猫はいるだけの存在です。

例外は最初の短編の湊かなえさんの「マロンの話」は猫が主体的に動いていましたが。

 

しかし脇役であっても猫がいなければ決して物語が成立しない短編が多く、主役と肩を並べていると言っても過言ではありません。

 

実生活でも猫はあくまでも自由気ままに(私にはそう見えます(笑))生活しているだけで、周りの人間が右往左往と慌てて生きているので、その辺を表現しているのではないでしょうか。

 

さて全体を通して思った事は、舞台が作家と編集者のような内輪の登場人物が多い気がします。

7編のうち4編が作家や編集者(井上荒野さんの「凶暴な気分」を作家と編集者の物語と言えるのかは謎ですが(汗))で半分以上です。

 

作家と猫の組み合わせは題材として相性がいいのでしょうか。

 

さてここからは個別のネタバレ感想を書いていきます。

 

【マロンの話(湊かなえ)】

湊さんと言えばイヤミス(汗)。

イヤミスが苦手な私は物語がいつどこでどんなイヤミスな展開になるのか気になってしまい、終始かなり身構えて読んでいました。

しかしそんなことは杞憂に終わり、物語は平穏に終わりました。

 

それでも物語全体から何とも言えない不穏な空気を感じ取ったのは、湊さんの作品だからそう感じるだけでしょうか(笑)。

 

さて物語はミル視点で進行していたようですね。だまされました!

そしてマロンはミルに憑依できるってことは、今もマロンは家の守護霊(?)として存在しているし、ミルとおばやんたち家族との生活も、おばやんに何かの霊障(?)があるようですが順調そう(?)なのでほのぼのとした終わり方でよかったです。

 

「マロンの話」は謎を提示したまま終わっているので、もしかしたら長編があるのかもしれないですね。

 

【エア・キャット(有栖川有栖)】

この話は正直印象に残っていません(汗)。

この短編の登場人物は有栖川さんの作品の登場人物なんでしょうか。

私は有栖川さんの作品を一つも読んでいないので分からなかったです。

 

【泣く猫(柚月裕子)】

柚木さんと言えば「慈雨」しか読んでいませんが、「慈雨」はあまり感動しない私を感動させ涙させた作品だったので、柚月さんのことは非常に印象に残っています。

 

そしてこの「泣く猫」は短編とはいえ、さすがは柚月さん!!!

相変わらず泣かしにきています(笑)。

この短編に感動要素を詰め込んでいます。

 

真紀の母親の無責任さを許せないと思いながらも、母親の死に涙する複雑な気持ちが読者にも伝わってきて思わず目頭が熱くなります。

 

【「100万回生きた猫」は絶望の書か(北村薫)】

北村薫さんと言えば「空飛ぶ馬」「盤上の敵」の2作品しか読んでいませんが、この2作品に共通して感じたのは、物語全体がどことなく暗く、悲哀が漂っていることです。

 

そんなイメージのある北村さんの作品ですが、これは暗さや悲哀というよりも、「人生を生きる上での苦悩」を敢えてオブラートに包んでソフトに描いているように思います。

 

私は「100万回生きた猫」を読んだ事がないのでどういう物語か全く知りませんでした。

ただ絵本というのは絵があり短い文章で構成されているため想像の余地が多く、解釈が人それぞれあるものだと思います。

だからこの短編も北村さんなりの「100万回生きた猫」の解釈なのだと思います。

 

そこで私は「100万回生きた猫」を「絶望の書」と例えるのは一般的なのかと疑問に思い、インターネットで感想を検索してみました。

 

そして北村さんが作中で表現していた「絶望」とインターネットで検索した感想の「絶望」は少し違う気もしました。

 

しかし北村さんがこの短編では、父親の

『奇跡の巡り合いに、百万一回はいらない。どの巡り合いもそうなんだ。・・・・(中略)愛とは、そういうものじゃないか』

 

というセリフと、これ以降に描かれる佐野洋子さんの「恋愛論序説」の記載こそが言いたかったことではないでしょうか。

 

【凶暴な気分(井上荒野)】

この話は7つの短編の中でもわりと好きです。

 

内容は無責任な既婚バカ男と、男に都合のいい独身バカ女との話なんですけどね(汗)。

そして正直この短編が一番猫が必要なかったと思います(笑)。

猫がいなくても物語は成立すると思います。

 

ちなみに茉莉子は自分自身を冷静に自覚していて、そんな自分にも相手の佐々木にも嫌気がさしていて、そして佐々木は本当に最低な男なので、読者としては茉莉子を応援したくなります。

 

【黒い白猫(東山彰良)】

台湾が舞台の独特の世界解をもつ作品です。

東山さんが台湾に生まれ育ったため台湾が舞台なんでしょうね。

 

正直この独特さになじむことができなかったので印象は薄いです。

 

【三べんまわってニャンと鳴く(加納朋子)】

私はこの短編が一番好きです。

 

今はスマートフォン全盛の時代で、スマホアプリの猫キャラゲームを題材にしたのは新しいと思います。

小説の題材としての猫も時代で変化しているのを実感します。

 

そして最新のスマホアプリとともに出てきた人工受精の話に絡めてくるとはびっくりしました。

 

「人生はゲームのようにリセットできない」というのは、約40年前にファミコンが登場した当初から言われていたことですが、スマホガチャのリセマラと人工受精でどの卵を選ぶかを対比させるとは、今までになかった考え方で新しいと思いました。

 

そしてスマホアプリの猫を通じて人と人がつながる・・とても爽やかな終わり方で本の締めの短編としても最高だったと思います。

 

ちなみに「僕」の母親の無神経さには腹が立ちますが、そんな母親のもとでも「僕」は常識人に成長したので、これから幸せになってほしいものです。

 

【オールタイム猫小説傑作選(澤田瞳子)】

最後の猫本の紹介は・・これは猫好きなら見逃せないでしょう(笑)。

猫好きは全部読めという事ですね!

プロの作家である澤田さんが紹介する本なのできっと面白いでしょう。

 

それにしても柳広司さん伊坂幸太郎さんも猫を題材にした作品を書いているんですね。

 

しかしまず私としては夏目漱石の「吾が輩は猫である」を読まなければいけないと思っています。

 

ちにみに・・この本を借りるときにすぐ近くに「猫ミス!」というアンソロジーがあったのでそれも借りました。

次はこの作品を読みます。

 

一つ前に読んだのは倉知淳さんの「猫丸先輩の推測」・・猫尽くしです♪

 

(個人的評価)

面白さ  ☆☆☆

ミステリ ☆☆

読み応え ☆☆☆☆

猫    ☆×100