山口雅也さんの作品を読むのは「生ける屍の死」に続く2作品目になります。
「生ける屍の死」は生と死という重厚なテーマを生ける屍を通してミステリーとして仕上げた印象的な作品だったですし、この作品は「このミステリーがすごい!」の1位ということですから期待が高まります。
目次で「DISC-1」と「DISC-2」に分かれているので、乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」のような何か仕掛けでもあるのかと思い、さらにワクワクしてきます。
読み始めて、短編集だったんだと知りましたが、最初の「密室症候群」であまりにもメタ的な内容に「あれっ??本格ミステリーだと思っていたけどちょっと毛色が違うのかなな・・」と思いました。
そして短編ごとの物語が最後に何かの一つのテーマに収束していくのかもと思いながら読み進めました。
そして読み終わった感想ですが・・私は序盤から中盤までは、ミステリーというよりアメリカンジョークを読んでいる感じがして仕方なかったです。
そしてラスト2編の「《世界劇場》の鼓動」と「不在のお茶会」を読んで、山口さんが今まで思ってきたこと、そして書きたかった事を登場人物に語らせた意欲作、もしくは実験作だったと思いました。
そして読み終わった後にインターネットで他の方の感想を読んでもやはり同じような感想が多いように感じました。
全体に難解で、特に「あなたが目撃者です」は私にはいまだに意味が分かりませんし、「不在のお茶会」は何とか挫折せずに読み切りましたが、意味は全然頭に入ってきません(汗)。
「解決ドミノ倒し」や「いいニュース、悪いニュース」「蒐集の鬼」は面白かったですので、全てが難解だったり実験的と言うわけではないのですが、私のようなライトなミステリ読みには合わなかったようです。
理解できる人には奥が深い作品に感じるのでしょう。
(個人的評価)
面白さ ☆
不思議さ ☆☆☆☆☆
難解さ ☆☆☆☆☆
人を選ぶ ☆☆☆☆☆