麻耶雄嵩さんの本を読むのもこれで12冊目になります。
麻耶さんは寡作の作家さんだそうで、確かにウィキペディアで調べると、単著未収録やアンソロジー以外で発売されているもの以外の本は読んだまたは購入済みになりました。
これから残り少なくなった未読の麻耶さんの作品の1冊1冊を大切に読もうと思っております(笑)。
さてそんな中で選んだ1冊が「化石少女」です。
読み始めてから知ったのですが、この作品は2012年に世に送り出されたという比較的新しい作品だったんですね。
久しぶりに麻耶さんの作品を読み始めたのですが、読み終わるのに10日間もかかっています。読書のほとんどを電車の中でしているとはいえ、普通は長くても1週間あれば読み終わるところですが・・この理由は明白です。
話が平坦に感じて特に続きが気ならないからゆっくり読めるからだと思います。その分、物語の初めのほうの内容を忘れてしまいますが(笑)。
10日間かけて読み終った後の感想は、「麻耶ワールドも凝ってきたな~」です。
そして他の方の解説やネタバレのサイトを読みました。
ちなみに私の場合、他の方の解説等を読んで、自分で気がつくことができなかった物語の真相や作者の思惑を知り衝撃を受ける作品と、「へ~そうなんだ~・・・・」と思う作品があります。
ミステリー小説のプロやマニアが、「赤点探偵と腹黒ワトソン」の構図や犯人を決めうちにしてから推理をするアイデア、「さよなら神様」との対比などを賞賛しているのは分かります。
しかし私にしてみれば作品自体に衝撃をあまり感じなかったので、他の方のサイトを読んで、この作品がミステリー小説としての新機軸を打ち出しているとかアイデアの奇抜さがすごいとかには納得しますが、それ以上感じ入るものがありません。
そして私はなぜ麻耶さんの作品が好きかと考えた時、作品の麻耶ワールドの強烈なインパクトや物語のぶっ飛び方が好きだったと思いました。
ただミステリー小説を読む冊数が増えるほど、ミステリー小説に耐性がついてくるので、ちょっとやそっとじゃ驚かなくなります。
それなのにミステリー初心者だった私が麻耶さんの最初に読んだ作品「神様ゲーム」から受けた衝撃が忘れられなくて、それを求めてしまいます。
「凝った麻耶ワールド」は洗練されていると思いますが、反面この作品に大きな盛り上がりを感じなかったです。
最初から終盤までまりあの推理を否定するだけ否定しておいて、真相は分からない消化不良のままエピローグに突入します。
そうなってくるとまりあの推理を否定しているのだから真相はそれとは違うナナメ上をいくものをどうしても期待してしまいます。
なおエピローグのページ数の少なさから、きっと全ての犯行は彰が犯人だったと予想をしました(笑)。
それはさすがに違ったようですが、まりあの推理が正しかったことが示唆されます。
結局真相はそれか~・・と驚きは少なかったです。
この「化石少女」は麻耶ワールドの中でもマイルドな方だと感じます。
しかし麻耶さんの作品を読んだことのない人に対して、マイルドだからと言ってこれを最初にオススメできるかと言うと・・さてどうでしょか(笑)。
さてここからどうでもいいツッコミをしていきます。
まずは古生物や化石について知らないことを教えてくれました。
ピルトダウン人捏造事件なんてあったんですね。今まで聞いたこともありませんでしたが、調べてみたら有名な世紀の捏造事件だったんですね。
そしてブロントサウルスの名前がなぜ図鑑や博物館からいなくなったのか、理由がよく分かりました。
次に、私の人生においてペルム学園に通うような人たちとお知り合いになる機会はありませんでしたから実際よく分かりませんが、去り際に「それではごきげんよう」という倭文代のようなお嬢様は実際にいるのてしょうか。
そういえば舞台が京都であるわりには誰も京都弁を話さないのは、麻耶さんが標準語に変換して書いてくれているからでしょうか。
実際にペルム学園があれば、生徒たちはコテコテの京都弁で会話がされているのでしょう。
あと突然今西理論とか灰色の脳細胞とか出てきますが、何のことかさっぱり分かりませんでした。
当然元ネタがあるだろうと思い調べましたがやっぱり元ネタがあるんですね。
それ以外でもちょこちょこ彰の心の声の中に小ネタも混ざっているのですが、感覚が私と同じくおじさん世代なのではと思います。
今の高校生が草むらに寝っ転がるのをハイジと表現しないでしょうし、自転車より遅い乗り物としてホッピングというともなじみが薄いのではないかと思うのですが・・某家庭教師のCMでハイジが使われているので、以外となじみ深いのかも知れません。
さて散々批判めいた事を挙げ連なってきましたが、つまらないと言うとこはなく、物語として面白いかったと思います。
まりあと彰のコンビは面白いのでぜひシリーズ化してほしいです。
(個人的評価)
麻耶ワールド ☆☆
麻耶理論 ☆
面白さ ☆☆☆
まりあと彰 ☆☆☆☆