霞流一さんの作品を読むのはこれが初めてです。

 

この作品、というよりは霞さんの作品はバカミスの部類に入り、しかもWikipediaによると「バカミスの第一人者」とも呼ばれているそうで・・これは期待が高まります.

 

 

個人的には軽妙な文体がツボでした。

 

私は「〇〇〇〇〇〇〇〇殺人事件 」でも書いていますが、セリフの言外に続くセルフツッコミがあまり好きではありませんが、この物語の言外のセルフツッコミはバカバカしく、面白い表現なのであまり気になりませんでした。

 

また探偵役の駄柄は他の方の感想はウザいとかキライというのが多いようですが、私は好きですけどね・・「人気と権力を濫用」した探偵は面白いです。

 

なおなぜか駄柄のイメージは俳優の北大路欣也さんが思い浮かび、最後までその姿のままでした(笑)。

 

反対に主人公(?)であるはずの倉吉警部のほうがパッとしない人物として描かれており、その姿はなんとなく「うっかり八兵衛」を思い起こさせるものでした。

 

 

また私が1番バカバカしくて笑えたのが、ラジオ番組の「直立不藤で曲音放送」です。

 

字面はともかく発音すると少しどころか結構アブナい気がます(笑)。
その放送の内容も月面の陰謀説とそれを否定する会話を長々としていて、なんだかアブナイ雰囲気が漂います。

 

ブレイクしている若手女優がゲストで話す内容とは思えません。

 

この会話が物語の後半で重要な物になるかと期待しましたが・・ちょこっと後半に触れられたくらいで・・
あの長い陰謀説のくだりは何だったんでしょうか。

 

また全編通してウサギと月づくしで、おかげでウサギと月にまつわる知識が豊富になりました(笑)。

 

 

殺しのトリックはバカミスらしく、「そんなアホな!!」と思えるものでした。

 

しかしバカミスにリアリティを求めるのも野暮かと思いましたので、割り切って楽しく読めました。

 

同じバカミスのジャンルでも「六枚のとんかつ 」や「三崎黒鳥館白鳥館連続密室殺人 」とはだいぶ違いますね。

 

この作品は語り口は軽妙ですが、人が次々に殺されていき、しかも殺され方がグロく、ストーリーは暗い&重いです。
しかし霞さんが描く全体を包むバカバカしさが、その陰鬱さを打ち消し、表向きはポップなバカミスとして成立させているのではないかと思います。

 

そのうち霞さんの別の作品も読んでみたいと思います。何を読むか決めていませんが、どんな感じなのか今から楽しみです。

 

 

(個人的評価)

 

面白さ      ☆☆☆
ミステリー    ☆☆
バカバカしさ   ☆☆☆
真香の有能さ ☆☆☆☆