知念実希人が子供向けに放課後ミステリクラブシリーズを描いたことは前回言及しましたが、対象が小学生向けという感じで小さな謎を子供が解決していくというもので推理小説として大人が読むと物足りなく感じます。
一方江戸川乱歩が書いた少年探偵団シリーズはそれに比べて対象がやや年長向けの小説です。しかし大人が読んでも十分楽しめる話になっていると思います。
ミステリクラブの小さな謎ではなくメチャクチャ大きな謎、ありえない謎ばかりです。笑
例えばミステリクラブは「動く亀の銅像事件」は小学校の古い亀の銅像の位置が次の日になると変わっているといった日常的な謎ですが、少年探偵団の「電人M」では望遠鏡を覗いていると東京タワーの脚のところを人間より大きなタコが絡みついて登っていくといった普通誰が考えても解けない謎です。笑
そんな謎に立ち向かうのが小学生や中学生の少年たちですから、まあ全体としては推理小説と言うより冒険小説と言えるかもしれません。
有名な明智小五郎が出てきますが、明智より活躍が多いのは団長の小林少年です。知恵や行動力で苦難を切り抜けます。何日か監禁されてもたまたま出入りしていたネズミを手なずけて脱出の助けにすることもあります。
また飼っている鳩のピッポちゃんを窓から飛ばして明智に知らせることもありました。
少年探偵団のメンバーはみんな七つ道具を携帯していますが、小林少年はちょっと特別装備も持っているようです。
因みにフルネームは小林芳雄ですが、僕の父の旧姓が漢字が違うけど同姓同名です。最近気がつきました。笑
小林少年は昭和5年ごろ大人向け小説の「吸血鬼」でデビューし昭和30年代まで活躍しましたが25年経っても少年のままでした。笑
少年探偵団は「怪人二十面相」でデビューしましたが、シャーロック・ホームズの「ベイカー街遊撃隊」にヒントを得たものだと思われますが、少年探偵団本体のメンバーはなぜかお金持ちの家の子息が多いようです。本体以外のチンピラ別働隊というのもいますが、戦前戦後の孤児が多かった時代だからこそのチームです。
なお、少年探偵団の出てくる小説名は「少年探偵団」そのものが1作ありますが、その他は「透明怪人」とか「鉄人Q」など30作ほどあります。
低学年用の漢字が少ない作品も含めてひらがなが多く本では読みにくいため、Audibleのように耳で聴く方がずっと楽に違和感なく聴くことができます。
子供向けと言われてますが、僕は今回Audibleで聴けるものは全て聴きましたが、非常に楽しめました。殺人が苦手だが推理や冒険を楽しみたいという人には特におすすめです。