5時間以上かけて飯豊連峰の奥懐まで入り込んだ我々。
此処から先は稜線を散歩気分で歩いていけるはず。



しかし、飯豊はそれほど甘くないのでした。
杁差岳まで繋がる稜線には、なかなかえげつない登り返しがあることに気がついてしまった。
ペンギン「かなりアップダウンがあるように見受けられるのですが…」
お茶「うむ、そのように見えるな…」



一旦ガッツリ下り…



よっこらしょと登り返す。
アップダウンが厳しいことに加えて、大石山から先は道がか細いものになってしまった。
両側からの草に覆われている場所も多いので足元に気を使う。



鉾立峰に到着。
鉾立峰直下の登りはかなりきつかった。
思わず荷物を放り出し地面にひっくり返ってしまった。
ペンギン「我々だけじゃないっペ…」
お茶「来る人来る人みんなへばってたもんな…」



鉾立峰の先にももう一度登り返しがある。
この区間は精神的にも肉体的にも厳しかった…。
ペンギン「寝不足だし荷物は重いし疲れてきてるし」
お茶「危ない時間帯だよね。焦らずゆっくり進もう」



登り返しでモタモタしている間にガスかかっちゃうしさぁ…。
ペンギン「せっかくの大展望が…」



ガスの中から小屋と山頂が見えた時には万感胸に迫るものがあった。
ペンギン「それはちと大げさだっペ」
お茶「いやー、やっと荷物下ろせる!って思ったら感極まったよぉ」



今晩のお宿に到着!
ペンギン「おじゃましまーす!」
ちなみに我々が到着した時点では小屋もテン場も無人だった。
最終的には小屋泊5人、テン泊4人で快適な一夜を過ごすことができた。



そうそう、水場が枯れているという情報は実は誤報だったのだ。
杁差小屋の水場は小屋下の雪渓の融水だ。
雪渓下部に溜まった雪解け水を汲んで使う。
ジャバジャバ出ているわけではないので「水が出ていない」という事になったのだろう。
溜まり水を使うのに抵抗が無ければ水はある。



小屋から山頂までは徒歩3分。
空身でピークを踏みに行こう。



ペンギン「杁差岳、のぼったどー!」
お茶「疲れたけど、この達成感よ!」
ガスに覆われてあまり視界が良くないのは残念だが、なに、まだ時間はたっぷりある。
翌朝にここを出発するまでにガスが晴れるタイミングもあるだろう。



山頂を踏んだものの、夕食までにはまだ時間がある。
せっかくなのでお散歩に行くことにした。
前杁差岳まで行ってみようか。



少し歩くと長者平と呼ばれる湿原が現れた。



もう終わってしまったと思っていたヒメサユリが僅かだが残っていた!
ペンギン「まともに見れたの初めてだっぺ!」



長者平には木道一つロープ一本設置されていない。
原初の湿原の姿を見る機会はもはや貴重ではないだろうか。
このままの姿を保ってほしいものだ。



前杁差岳への稜線。
下から盛んにガスが湧き上がってその全貌を覆い隠している。
なかなか迫力のある風景だ。



長者平から前杁差岳までは800mほどの距離なのだが数字以上に遠い道のりに感じる。
アップダウンを伴った稜線通しの道はなかなかに手強い。



それなりに苦労してたどり着いた山頂には標識一つ見当たらず拍子抜け。
とりあえずここを山頂とする!
GPSでも確認したからたぶん合ってると思うが…。



満足したので杁差岳に戻ろう。
…また登らなくちゃならんな。
結局、この日の累積標高は登り1800mを超えた。



再び杁差岳に戻ってきた。
とある筋から耳寄りな情報を得たので山頂に陣取りその時を待つ。
小屋の管理人さんが草刈りをしながら上がってくる、冷たいビールも持ってきてくれる…というのだ。

しかし、待てども暮らせども、現れたのは草刈り?しながら登ってくる鹿一匹。
ペンギン「あれが管理人だっぺか?」
お茶「しかのこのこのここしたんたん」
ペンギン「???」



結局、本日の夕食はアルコールなしの健全なものになりました!
ペンギン「冷たいビール~!!!」
お茶「期待させてから落とされると辛いね…」

つづく