市長に対する辞職勧告を決議した豊橋市議会。議員諸氏もそれぞれに支持者がいて、その「声」を聞きつつ仕事をしている(はずな)わけだけれども。得票率36%で当選した長坂氏には、その辺り、ほとんど頓着する気はないようです。
愛知県東南部辺境における諍いに過ぎず、多くの方々には関係ないでしょうし、特に関心もないことかもしれません。
なのでこれは、自治体首長と議会と、さらに「市民」を含めた地方政治の在り方に関するケース・スタディとして読んでいただければ、と思います。
豊橋市長長坂なおと氏の、辞職勧告決議直後のノラリクラリ振りに触れた前回記事、
の、後日談となります。
●市長定例記者会見
こちら、決議から6日後、6月25日の市長定例記者会見を伝える東日新聞の記事です。
定例記者会見で続投を明言した長坂市長(豊橋市役所で)
豊橋市の長坂尚登市長は25日、多目的屋内施設(新アリーナ)整備事業の追加負担などを巡り、市議会に辞職勧告を決議されてから初めての定例記者会見に臨み、市長を続ける考えを表明した。同事業については「大きな山を越えた」との認識を示し、事業効果を高めることに意欲を見せた。
「大きな山を越えた」も何も・・・それなりに見通せていた視界を塞いだのはアナタご自身ですよ。
「多目的屋内施設及び豊橋公園東側エリア整備・運営事業」は、首長(行政)と議会とが(諸々の瑕疵があったにせよ)一つづつ手続を踏んで、既に契約着手済みの事業だったんですから。
ま、それはともかく、本文も一部見ておきましょう。
長坂市長は、今月19日の6月定例議会最終日に辞職勧告を受けて以降、市民から激励が寄せられたとし、「改めて引き続き豊橋市長として、しっかりと任を果たしていかなければならないとの思いを新たにした」と述べ、職責を全うする意向を示した。
具体的に市民からは「長坂市長は悪くない」「負けるな」「これからも頑張ってほしい」といった声が届いた一方、批判的な意見は寄せられなかったという。
辞職勧告決議に法的拘束力はないが、定例会閉会後の記者団からの取材に長坂市長は続投を明言していなかった。
〈辞職勧告を受けて以降、市民から激励が寄せられた〉
⎯⎯「あー、そーですかー」と棒読みで反応するしかありませんね。
〈具体的に市民からは「長坂市長は悪くない」「負けるな」「これからも頑張ってほしい」といった声が届いた〉
⎯⎯決議直後のぶら下がりでも、支援者からの「絶対にやめないで」という声が「胸に染みましたね」なんて言ってたくらいですから、まあ、そう来るんでしょう。
〈批判的な意見は寄せられなかったという〉
⎯⎯応援があって批判はなかった・・・いちいち証拠を見せろ、と追求するほどのことではないでしょうけれども、まあ「言ったもん勝ち」の世界かなあと。
議決内容については触れず、もっぱら(好意的な)“市民”の声を紹介することに終始する姿勢。
記者が質問しなかった可能性もあるし、だから触れなかったのかもしれないですけれども、つまり「そういうトコだよ」であります。
●「辞職勧告決議」全文
では、実際、議決はどうなっているのかを見ましょう。
全文が市議会サイトにアップされていました。
https://www.city.toyohashi.lg.jp/secure/69606/R8.6ketugi5.pdf
いささか「ギュ〜」感があり読みにくいので段落ごとで(太字は引用者)。
●「疑惑」報道の政治利用
長坂尚登市長の就任以降、本市の市政運営は迷走と混乱を極めている。就任当初からの議会軽視に始まり、市長本人が当選を得ることを目的に制作に関わった法定ビラ1号に関する問題及びその調査に対して、長坂市長以外に確認のできない私的な情報を根拠に記者会見まで行い、行政組織におけるガバナンスに混乱を生じさせた。さらに、度重なる市長の議会軽視とも取れる行動も含め、豊橋市政初となる問責決議が令和7年3月定例会において可決されたが、この問題については未着手であり、解決に向けた取り組みが見受けられない。
馴染みのない方のために説明いたします。
「法定ビラ1号に関する問題」というのは、こちらのビラに関わるものです。
〈1 浅井市長のパワハラ体質が報じられました〉とありますね。
長坂氏は、このチラシを選挙期間中にほぼ全世帯に配布したんです。対立候補(浅井さん)はたまったもんじゃありません。
何やら、現在国政で起きていることと通じるものがある、という気がしないでもないです。
で、その効果があったかなかったかは置くとしても、目出度く市長になった長坂氏は、このビラに掲載されていることが事実がどうかと追求され、調査委員会を立ち上げて・・・となっっていくのですが、ま詳しくはこちらの記事で。
●伸縮自在の公約(スローガン)
長坂市長は、本市の重大な政策課題において、市長自身の明確な意思は示さず、最終的な判断と責任を他者に委ねる姿勢が目立ち、行政のトップとしての当事者意識を欠く態度は市長としての責任を放棄していると判断せざるを得ない。また、市の政策における方針決定や転換のプロセスにおいても、十分な説明が果たされておらず、こうした市長の姿勢は市政に混乱を招き、市民からの信頼は失われつつある。
「新アリーナ計画の中止(契約解除等)」という公約を掲げていた長坂氏。
住民投票の結果を受けてのこととはいえ、事業継続へと転じたことが「公約違反」でないなら、もう「公約違反」なんて存在しません。
ソコを素直に「ゴメンナサイ」と謝ればまだカワイイものを・・・
「自分たちのことを自分たちで決められるまちに」という公約(スローガン)を持ち出し、「選挙の結果で中止し、住民投票の結果で再開した。どちらも民意にしたがっただけ」という趣旨の逃げを打っているのです。
これまた「そういうトコ」だよ、ですよ。
思えば、浅井前市長だって、「(新アリーナは)豊橋公園以外で」と言い、また「ゼロベースで見直す」とも言ってましたしね。
その浅井氏に「出直し市長選挙を」と迫っていたのが、当時の長坂市議ですから。
●「独断」にも理由がある?
本定例会には長坂市長の独断による一時中止に起因する費用が含まれた補正予算が提出された。この新アリーナ事業をめぐっては、地方自治の本旨に則り正当な手続きで地方自治の一翼でもある議会で議決をされたが、長坂市長はこれを十分な議論や説明もせず、独断で反故にした。その結果として、事業費は当初見込みから約40億円増額されたが、この増額分は長坂市長の判断が主たる原因であり、その責任は極めて重大である。
ソコに至るにも、もちろん前段があり経緯があります。
それらを理由に長坂氏を擁護する人もいますし、実際、決議に反対した会派・議員もいます。
その言い分を全否定はしませんが、それでも、というのが私の立場です。
これはもう・・・
「テロは許せない。けれど彼等にも理由がる」
「彼等にも理由はあるだろう。けれどテロは許せない」
・・・どっちの立場にたちますか? といった問いに近いでしょうか。
●問責決議、辞職勧告、そして・・・
よって、本市議会は、市政への信頼回復と健全な市政運営を図るため、これまでの長坂市長の市政運営に対し、自らの責任を明確にした上で速やかに辞職することを強く求めるものである。
まあ、議決に賛成した議員の皆さんも、これで長坂氏が素直に辞職するなんて考えてはいなかったでしょう。
私自身、1%の期待と99%の諦観、くらいでした。
何しろ、ご自身が「市長になること」「市長であり続けること」を最大の関心事とし、そのために何を言いどう行動するのが最善か、だけ考えて判断基準としている(ように見える)長坂氏ですから。
とりえず、この先にあるであろう不信任決議への布石として捉えておきます。
来春には統一地方選挙があり、豊橋市議会も選挙ですし、不信任決議からの議会解散を恐れて躊躇する、という要素はなくなりますからね。
問責決議で姿勢は変わらず、辞職勧告でも変わらず、となれば・・・です。
問題は、その辺りが、広く一般市民の知るところ(関心事)となっているかどうかでありますが・・・
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こちら、参考までに。
東愛知新聞より「長坂市長」のこれまでをまとめたものです。
それにしても解せないのは・・・
新アリーナ事業に反対していた人達が、事業継続に転じた長坂氏をそれでも庇おうとすることです。
此度の決議においても、基本、事業に反対していた会派。議員は反対しました。
いやいや、本来、アナタ達こそ、もっと怒らなければならないはずでしょう。
長坂氏が費用増額(市民負担増加)してまで為したのは、アナタ達を裏切る「公約違反」ですよ。
もちろん、「新アリーナ反対=長坂氏支持」と決まっているわけではありませんし、実際、「転んだ」長坂氏と決別した人も少なくないようです。
沈黙している人の多くはソレかもしれません。
「事業に反対する決めたのは ’20年市長選挙の結果」「事業中止の判断は '24年市長選挙の結果」「再開・継続に転じたのは住民投票の結果」と説明する長坂氏は、判断を他者に委ねる姿勢が滲み出ています。
であればこそ、「新アリーナ反対、だから長坂氏支持」だった人は、長坂氏不支持になりましたという「声」を、ちゃんと長坂氏に伝えてほしい。
そして、今も長坂氏支持だと言う人は、もともと「新アリーナに関係なく長坂氏支持」だったのか、それとも「長坂氏支持、だからアリーナ反対」だったのか、明らかにしてほしい。
何しろ「新アリーナ賛成と反対とが二分している」という幻想の下、多くの市民が望んでいたとも思えない住民投票を「やらされた」のだから。
「長坂氏支持、だからアリーナ反対」だった人については、長坂氏の姿勢と通じるものがあり、その意味でも長坂氏と親和性があるのかもね、と思わないでもない。












