(真面目に記事を読んだ上での!)素朴な感想。

ウチの奥様:いやいや、発熱してる子供を連れ回したらダメでしょ。

ワタクシ:えっと、旦那さんに仕事を休んでもらうという選択肢はなかったのかな?

 

 

思わぬところで再び全国区。ナナコちゃん(豊橋市議会議員)の話です。

 

 

●「誘導」の匂いプンプン

 

9月1日の帰宅時、ヤフートピックに「子連れの女性市議 一般質問立てず」というタイトルの記事がありまして。


「怪しさ満載だなー」と思いつつクリックすると、本タイトルは「議会の質問順抽選、子連れの女性市議の参加不可 質問機会失うことに」とありまして。

 

はて、それは如何なることかと本文を読めば・・・

 

 愛知県豊橋市議会で、女性市議が定例会での一般質問の発言順を決める抽選に、子連れで参加しようとしたところ、議長らに「子連れでは抽選できない」と断られ、質問する機会を失ったことが分かった。女性市議によると、子どもが発熱し、やむを得ずに連れてきたという。

 

う、うん? 「子どもが発熱し、やむを得ずに連れてきた」ですか?

 

 

 女性は4月に初当選した諸井菜々子市議(37)。抽選は8月30日にあり、諸井市議によると、長女(2)が前日から発熱。そのため、長女を連れて市議会へ行き、「保育園に預けられない状態。手短にくじをひき、失礼させて頂くことはできないか」などと近藤喜典議長(43)らに相談したという。

 

なるほど「やむを得ず」感は伝わってきますし「相談した」とされてはいますが。

 

 

 諸井市議は、子どもの付き添い入院での親の負担軽減などを質問する予定だったといい、取材に対し「残念に思った。私なりに問題意識を持って質問しようと思っていた。議員として質問する権利があり、抽選に参加する権利は守られるべきではないか」と話した。

 

 一方、近藤議長は1日に記者会見し、経緯などを説明。諸井市議からの相談が抽選会の15分前だったとし、「先例がなく、議会運営委員会で協議する時間的ゆとりもなかった。質問権が奪われることは重く受け止めている」と述べた。今後、諸井市議が質問できるよう対応するかは「考えていない」とした。

 

「子どもの付き添い入院での親の負担」については、ウチも体験したことで、是非質問してほしい内容ではあります。

 

とは言え、相談が「15分前だった」となると、「女性市議」の印象もかなり違ってくるわけで。

 

 

 

●地元紙面も同工異曲

 

同じ日、ネットニュースに先立つ朝刊紙面です。

 

(中日新聞9/1-1面)

 

こちらでも、見出し→小見出し→リード→本文と、(最後まで読み進めたとして)「ナナコちゃん可哀想!」から「あれ?」「いや、それは、ナナコちゃんに非があるのでは??」というふうに、受け止め方が変わっていくのではないでしょうか。

 

となると、こちらの大学教授やら講師やらの(恐らくは、詳しい事情を知らないままに答えた)コメントが、何ともありがち、かつ的外れな感じで。

 

(同上)

 

 

●そして、テレビもやっぱり・・・

東海地方ローカルかもしれませんが、テレビも扱ったようです。

 

 

 豊橋市議会の取り決めでは、発言の順番を決める抽選は原則、本人が直接行いますが、「議長があらかじめ許可した場合は代理出席を可とする」と決められています。

 ただ、今回は抽選の15分前に相談があり、協議をする時間がなかったということです。

 また、子どもを連れての抽選の参加に関して、決まりはないということです。

「議員として一般質問することは与えられた権利だと思うが、それを制限するに足る理由としてはどうなのかなと」(諸井市議)

 

 

 

う〜む、「子どもを連れての抽選の参加に関して、決まりはない」との指摘は、だからOKなのか、だからダメなのか、(法哲学も絡む?)ちょっと難しい問題でして。

 

当たり前過ぎて決まりがない、ということもあれば、そんなことは想定してないから決まりもない、という側面だってありますし。

 

 

そういうところへ持ってきて、ご本人に「権利」なんていうカクカクな言葉を遣われると、ちょっと、いや、かなり引きます。だって、問題はソコじゃないですよね。

 

権利を主張する前に、一社会人としての義務はどうした、という感もありますし。


ご本人およびテレビ局の意図はともかく、このインタビューでの受け答え、ワタクシ的には、かなり印象悪いです。

 

 

●判断は詳報を踏まえて

 

翌2日には、地元限定ながら、さらなる詳報が出ました。

 

(中日新聞9/2-16面 東三河版)

 

 

見出しには相変わらず作為を感じますが、中身としては、議長の見解をしっかり伝えています。

 

 

 議会運営委員会(議運)の決定事項では、本人の事故、病気などはあらかじめ申し出があれば、議長が許可した場合に代理出席を認める項目があり、先例もある。今回は本人の事故ではなく、申し出が会議の15分前で、議運メンバーを招集することも不可能だった。

 

やっぱり、15分前っていうのがね。子供は前日から発熱してたわけだし。その段階で、可能性の問題として一報入れるとか、せめて、家を出る前に相談しとけば、また違った対応もあった気がします。

 

 

 独断で決めるのは独裁政治に当たるという判断の下、みんなで協議すべきと判断した。もし時間的ゆとりがあれば、議員みんなで合意形成をして、決定できた場合もあると思う。

 

そりゃそうでしょう、と思います。議長は決める人ではないですし。何しろ「決まりはない」わけで。

 

 

 私も3人の娘を持つ現役子育て世代。個人的な感情でいえば、悔しい。「一番身近な家族、パートナーに対して協力していただけるような話し合いを事前にしましたか」と確認させてもらった。家庭環境の問題だから、どうこう言うつもりはないが、一番最初に身近な人間に相談してほしい。自助や共助をして、公的支援もない制度として足りない部分は皆で協議してやっている。政治家として問題提起してほしい。

 

ここはね、行間をしっかり読まないといけません。「一番身近な家族、パートナーに対して協力していただけるような話し合いを事前にしましたか」と確認させてもらった時、ナナコちゃんはどう答えたのでしょう? 

 

「一番最初に身近な人間に相談」してはいない、ということかな?

 

いずれにせよ、政治家なのに「いきなり実力行使」みたいな遣り方では、実現するものもしなくなるよって話で。

 

 

●これもお約束「市民の声」

 

これは別の局によるもの。テレビ的に、選び抜いたモノなんでしょうけれども・・・

 


 

豊橋市民:
「杓子定規で引かずにやれないんだったら、女性が政治に参加してくださいと言われても、子供がいたら無理だよね」

別の豊橋市民:
「預かってくださる所が議会にあるとか、何とかしたらいいと思いますね。しっかりと子育てもお仕事も両立できる環境が望ましいんじゃないかなと思います」


 

諸井市議:
「男性議員がというと角が立っちゃうのであれですけど、子供を任せている方の立場の考えと意見だけでは、当事者の目線に立った対応策はなかなか出てこないと思うので。当事者意識を持って対応いただけたらと思います」

 

 

 

いやいや、この「市民」さん達は、此度の事例は「発熱してる子供」をどうするか、というところが問題だと分かってて言ってるんでしょうか。

 

市議会に「病児保育担当者」を常時配置しろと? もちろん、それに越したことはないけれども、アナタ自身、その費用を負担する用意があるんですか?

 

 

「恥ずかしいなと思う。豊橋市民として」は、こっちの台詞でございますよ。

 

 

ナナコちゃんもね、「男性(議員)=子供を任せている方」と決めつけるのはどうなんでしょう。当事者意識を持って対応しなきゃいけないのは、まずはアナタのご主人ではないんですか、と思います。

 

 

●案外真っ当な世の反応

 

さて、冒頭引用のヤフー記事。ワタクシの初見の時点でのコメントは300件ほど。

 

それが、あれよあれよという間に3,000件を超えまして。それらコメントに対する👍👎の反応も相当数にのぼります。

 

 

「けれど」というか「しかも」というべきか。8:2、いや、9:1くらいの比率でナナコちゃんに対する批判の方が多くなってます。

 

本人とマスメディアが結託して「子連れの女性議員に対する不当な扱い」という方向へ世論を誘導しようとした(ように見える)にも係わらず、です。

 

実のところ、ネット、新聞、テレビでニュースを「作っている」人達自体が「子供を任せている方」に偏っていて、ナナコちゃんの言い分(だけ)を真に受けちゃっただけかも、ですが。

 

 

やはり、ただの「子連れ市議」ではなく、病院へ行くでもないのに「発熱してる子供を連れ出した母親」であって、それはダメだろうと判断する人が多かった、のかな?

 

何か、久しぶりに一般国民の良識を見る思いがして、ちょっと嬉しかったりして。

 

 

ただ、ワタクシ個人的には「夫はどうした?」「夫が仕事を休め!」という意見がもっと有っても良いような気がしないでもない、まだまだ暑さの残る9月初旬です。

 

 

 

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思えば、市議会議員選挙投票前日の豊橋駅前で所在なさげに棒立ち、ワタクシ的には不審者にさえ見えたナナコちゃん。

 

それが、どういうわけか、しっかり当選。

 

 

 

統一地方選挙 選挙カーは使わず事務所も無し 2525票で市議に初当選 元看護師の諸井菜々子さん(36) 愛知・豊橋市 最低限のお金で「若者も政治に興味を持って」

 

というマスメディア的にも美味しい話で、そこそこの露出。俄に「時の人」っぽい扱いもされました。

 

 

上の動画中、当選が決まった場面ではご主人とハグしてたりするんですけど・・・だからどうしたってこともないんですけど・・・

 

 

公式サイトも、割としっかりしてます。

 

少子高齢化、人口減少は労働人口の減少を招きます。
医療福祉、飲食等、様々なサービスの担い手がいなくなれば、今までの快適な日常生活は送れなくなるかもしれません。

 

今生活に不安がある人こそ、少子化、人口減少について本気で考えていかなくてはなりません。

 

 

※市議会議員 もろい菜々子 豊橋市

https://hamuhamuchuchu75.wixsite.com/-site

 

 

掲げている政策は・・・

 

1.就学援助の拡充

2.高校生にも就学援助を!

3.2人目の壁

4.頑張り損、働き損を作らない

5.働くママを応援

6.若者の活気あふれる街に

7.世代間交流を深める取り組み

8.お金を配るだけではない支援を

 

・・・というもので、まあ悪くない、と思います。

 

 

現在、議会では「になる会」という名の一人会派で活動中。

 

此度の「失態」を糧に、まず(自分の考えに賛同してくれる)友達を増やすとか、出たとこ勝負を挑むのではなく(自分の考えを実現するための)手順を踏むとか根回しを重ねるとか、政治家として、そういった面倒くさいことをも引き受ける覚悟を持ってほしいなあと、これは老爺心から、そう願ってます。