〈今の日本国憲法というのは、えー、日本がアメリカに占領されて、占領軍、アメリカ軍が日本人に押しつけたものでは、ございません〉

 

は、はい?

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

のっけから私事ではございますが、ワタクシ、愛知県の東端に住んでおりまして。仕事では静岡県の西端をかすめたりしております。

 

で、ですね、目に入ってしまったんですよ。湖西市の某市議会議員さん(立憲民主党)連絡事務所前で、徳川家広さんのポスター。枝野幸男クンとのツーショット。

 

 

「う、うん? 徳川家広? 何処かで聞いたような・・・」

 

ということで、頭の片隅に置いておいたら、ウチで取ってる新聞(大阪発行)にこんなベタ記事がありまして。

 

 

(産経新聞5/30大阪6版)

 

あー、そういうことだったのか、です。

 

でもって、愛知県民のワタクシ、静岡選挙区は本来関係ないんですけど、ついつい興味本位でネット検索・・・してたら「徳川家広 出馬会見」なるステキな動画を見つけてしまいました。

 

 

それほど長いものではないので(8分余り)、お時間ある方は、それぞれに見ていただければと思いますが、

 

とりあえず、ご本人曰く、出馬を決意した理由が3つあって、それは、①浜岡原発の閉鎖・廃炉、②社会的平等性の回復、そして③日本国憲法(の改正阻止?)なんだそうです。

 

いずれも、それなりに「あー、そうですか」なのですが、特に③はですね、何と言えば良いのか、ちょっと目眩がするくらい「そ、そうなんですか?」なので、ついうっかり文字起こししちゃいました。動画では4:15くらいからです。

 

 

えー、そして第3の、出馬を決意しました第3の理由でございますが、これは、あのー、ま、ちょっと、えー、浮世離れしているように思われるかもしれませんけれども、えー、日本国憲法の問題でございます。

 

ま、皆さんもよくご存知のとおりですね、あの、今では、あのー、ま、右も左も、憲法は、やはり古くなったから変えるべきではないかと、いうような、あのー、ま、お住まいをリフォームするような感覚で言っておられる方が非常に多いんでございますけれども、

 

あの、まず、今の日本国憲法というのは、えー、日本がアメリカに占領されて、占領軍、アメリカ軍が日本人に押しつけたものでは、ございません。

 

占領時代に作られたものなのは確かでございますけれども、帝国議会の衆議院、そしてこの参議院の前身である貴族院での、徹底した議論を経て作られたものでございます。で、最終的には、昭和天皇のご裁可もいただいておりまして、日本人の歴史的経験と叡智が詰まった、日本人が誇るべき文書なんですね。

 

えーと、これを、とにかく衆参両院で、えー、憲法改正に、改変に必要な2/3以上の多数を獲得しているということから、とにかく変えてしまおう、こういう方が非常に多くなっております。

 

えー、あの、ま、現在の自民党で出している、憲法改正のために、あのー、何で憲法を改正するのかっていう文書を見ましてもですね、例えば教育の拡充ですとか、非常事態への対応といった、まあ、普通の立法で対応できるようなものが羅列してありまして、とてもこれ、真面目に考えているとは思えないわけでございます。

 

あの、ま、国会というのは言論の府でもございますので、その点を徹底的に議論していきたいと、それが、私が出馬を決意しました第3の理由でございます。

 

 

いやー、どこから突っ込んでいいのか、こちらが迷うくらい、一切迷いのない発言ですよ。何ともはや、徳川宗家19代目にして、その頭ん中は天下泰平ですな。三河男児のはしくれとして、ワタクシ複雑な気分です。

 

 

被占領下の国会において徹底した(自由な!)議論ができるのかしら? とそこからして疑問なんだけれども、百万歩譲って「日本国憲法というのは、日本がアメリカに占領されて、占領軍、アメリカ軍が日本人に押しつけたものでは、ございません」という見方もアリとしましょう。人それぞれ、ですからね。

 

しかしながら、日本国憲法が「日本人の歴史的経験と叡智が詰まった、日本人が誇るべき文書」とまで言われてしまいますとですね、ちょっと上様、こちらをお読みください、ですわ。

 

 

 日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。
 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 

※衆議院:日本国憲法

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_annai.nsf/html/statics/shiryo/dl-constitution.htm

 

 

そう、日本国憲法前文ですが、これを普通に読めば(と言うか、普通には読めない文章なんだけれども)とてもじゃないけど誇れません。ワタクシは日本人じゃないんでしょうか? いや、まったく「真面目に考えているとは思えない」のは、上様の方ですよ。

 

もうひとつ「自民党で出している、憲法改正のために」云々は、コレのことだろうと思いますが、

 

 

 

※自民党 憲法改正推進本部:憲法改正ビラ

http://constitution.jimin.jp/


これにある「1、自衛隊の明記」に触れないのは、上様、わざとですか? もちろん、普通の立法で対応できるはずもないですよね?

 

「徹底的に議論していきたい」というのは素晴らしいんだけれども、こういうね、今時、調べればすぐに分かってしまうようなことについてまで「由らしむべし知らしむべからず」的な物腰は、いかにお殿様と言えども感心しませんよ。

 

そう言えば、上様が頼みとする(?)立憲民主党というところは、アレヤコレヤと、とにかく難癖つけて憲法審査会審議にすら応じようとしない人が党首をやってましたっけ。あ、隣にいましたか。


 

さて動画の最後、7:40くらいからですが、こう締めくくられてます。

 

それと、もひとつ、立憲民主党でございまいすけれども・・・ま、あのー、で、このような私の感覚に一番自然にフィットするのが、あのー、立憲民主党さんなんですね。

 

あのー、ま、原発反対・脱原発、これは勿論でございますけれども、あのー、ま、企業優先にかわって、個人も企業もという経済運営についての人間重視の姿勢、えー、そしてですね、えー憲法に関しましても、これ、機械的な護憲ではないんですね。えー、改めるべきは改めるけれども、その前にきちっと議論をしたい、そうした知的な誠実さ、えー、そういうところに惹かれまして、えー、私は今回、立憲民主党さんからの、出馬を希望したわけでございます。

 

 

「機械的な護憲ではない」「改めるべきは改める」「きちっと議論をしたい」・・・うん、立憲主義、スバラシイ。

 

スバラシイので、そうね、まずは、上様の横でニヤニヤしている御仁(枝野クン)の説得から始めましょうか。

 

 

国民投票(過半数)に至れば憲法改正が認められるかもしれない、国会での発議(2/3)も現状有り得る、だったら、すべての議論を憲法審査会(何につけ全会一致が不文律らしい)で止めておこう、みたいな戦術が、いつまでも通用すると思わないでくださいね。です。

 

 

ちなみに、徳川家広さんの政策項目は・・・

 

●すべての世代を支える やさしい政治が求められます

 

●親と子どもへのやさしい支援

人口が減少する時代でも豊かさを実感できる社会へ

 

●教育・研究の充実による成長社会の実現

一人ひとりが、その人にとって最高の教育を受けられる社会へ

 

●浜岡原発の完全廃炉

持続可能で安全なエネルギー政策へ

 

・・・となってます。

 

※徳川家広公式サイト:政策

https://tokugawa.site/seisaku

 

 

ああ上様、何とおやさしい方なんでしょう。

 

あれ? そう言えば、無いですね。憲法のハナシは何処かへうっちゃりですか?

 

・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・

 

日本国憲法が米国に押しつけられたものなのか、日本の歴史的経験の叡智が詰まったものなのか、確かに、人それぞれの受け取り方があっても良いし、何なら、それと憲法そのものの良し悪しは関係ないとも言えるかもしれません。

 

ワタクシ自身は、静謐なる環境も時間的な余裕もない中、GHQと日本政府双方がせめぎ合い、結果、このカタチになったというところなんじゃないかと考えております。

 

 

下記、過去記事。参考までに。

 

※角燈と砂時計:昭和は遠く、平成も終わり、世は令和となりましたが・・・『GHQ ゴー・ホーム・クイックリー』

https://ameblo.jp/hermitofthemask/entry-12459271756.html