ひな人形ラブで日本にやってきたマダム————「完璧」という波動は細部に宿る | hermioneのブログ  かるやかな意識のグリッド(の風)にのる

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バシャーリアン。読むことで意識が変わるようなファンタジーや物語に出会ってゆきたい。

ニッポン愛にあふれる外国人たちを取材する番組があります。月曜日7時すぎに「YOUは何しにニッポンへ」もあり、そこから続けて見てしまいました。

 

 錦鯉大好きで、新潟小千谷市まで「昭和」なる品種を買いにきた母子、西麻布のミシュラン2つ🌟寿司店に30歳の誕生日祝いを予約した英国人男性……

 本気が半端でなく、すがすがしい……

 

🌟その番組に続けて、応援団(これはテレビ東京がわがニッポンに行きたい人を、選んで招待してくれるもの)番組が始まり、これまた圧倒的でした。

26日はプレミア回でした。

 おひな様コレクターのアメリカ人女性。大学のゼミ?でおひなさまを飾るなど啓発普及活動につとめていたジュディさん。

 

 めでたく招待に選ばれ、勇んで日本にやってきました。最初が目黒雅叙園のふしぎ展示場「百段階段」に飾る百体のおひなさまの準備……(コロナで4年とだえていた)この準備画像も豪華絢爛、そして熱愛がこもった企画でした。

 日本人って 小さいもの、細かいものに、針の先まで手を抜かないような愛情を注ぐ民族……なんだ。外国人の目を通すと、あらためて感心。

 

今年の雅叙園テーマは「源氏物語絵巻」。3月の実際の現場の飾りつけも見にいきたい。ミニチュアで「世界を創り出したい」意気さかん。

 

🌟そして次にジュディさんは京都に向かい、最高の雛職人の工房を訪ねます。

 これがもう京都ですから、おひなさまも分業、手足職人、顔作り職人、髪植え職人、そして全体のポージングと飾りつけをまとめる職人さん4人の、ひとりひとりのアトリエが紹介され、伝統の細かさと執念と美意識がびっしり盛られた世界にただ声もありません。

 

 もちろんアメリカ人のマニア ジュディさんも執念で見入り、なんとその中の「顔作り職人」の祖父の作品(浮世絵人形)を、自分が輸出先のアメリカで入手していたことに驚いて、写真を見せました。

 職人さん夫婦は思わず涙ぐみ、自分たちの作ったものが海を越えていって、生きていまでも大切にされている……と。

 

🌟このあたりから伝統と渾身の芸術魂の、針の切っ先のような妥協のなさ、繊細さに、私もTV画面に釘付け。

🌟たとえば半導体や部品を細かく作ることなら、道具としての意義はありますが、ひな人形の指や生え際や目を一週間かけて切りだす作業には、まったくなんの実用的な意味もありません。しかも○○作と一体ごとにサインが入るわけでもない。

 

 役に立つのとはまったく別の、あたかも無比の世界そのものを作る作業を、先祖から技と執念をうけついで磨き、極めつづける。

 それもひな人形なので、年に1週間ほどだけしか人目に触れません。

 でも職人さんたちの、「父よりもっとよいもの」を作りたい、これは一箇所でも間違えたらやりなおしがきかない、という発言には、この「モノ=世界」に自分を投入、一体化する迫力がありました。まさに造物主の心の真髄……

 

🌟おひなさまなどの飾りものは、「用の美」ではなく「完全な無用の美」です。それも個人のオリジナル・アートではなく、守られてきた「ワザ」の精華です。その「モノ」にどれだけの美が注ぎこまれるものなのか、

 

🌟作業台、棚、糊刷毛に細かく細かく満ちているのは「愛」でしかない。

 番組を見終わると、「細部に完璧は宿る」ということがよくわかりました。これは「完璧な秩序・できばえ」ということではありません、

 

☆☆☆たとえば、台所で、お茶碗をちょっとずらしてしまうだけで、また如雨露に心持ち多めにお水を張っておくだけで、そして買い物袋をそろえるだけで、またDVDのカドを合わせて積むだけで、

 

 そこには「完璧」という「波動」がみしっ、とはいります。全部きれいに整理すること、鬼のように見た目だけ片づけることと、「完璧の波動」は違う!

 

 

「完璧」という「波動」は神が吹きかけるひと息のようです……

 

(ジュディさんはアメリカに帰ってから、これまで収集した資料や人形、京都の職人さんからゆずってもらった「かしら」をもとに、オンラインのひな人形講座を開催しました)