仕事納め。明後日飛行機で国外に出発。


 私と雅楽の出会いはどんなだったかなあ?
 と、もう一度思い出しています。


 夏にこんな記事書きました。


 私にとっては雅楽、つまり音楽(管絃)というより

 舞楽が先でした。


 中学1年生の時に家にあった画集で見つけた

 前田青邨の絵が気に入って

 両親に何なのか聞いたら、これは舞楽だって。

 何故か、これは奈良でやってるものだって言われた

 (今考えるとなんつうバイアスw)。


 それで

 今は亡き祖父が一緒に実物を観に行ってくれるって

 ことで

 一人で新幹線に乗って、祖父とは近鉄電車に乗って

 春日大社に何度か行きました。

 

 京都と奈良は祖父にとって庭みたいなもん

 だったらしくて。


 その頃はもう京都在住ではなかったものの、

「三高」っていうキーワードが

 祖父やその周囲の

 アイデンティティでしたんで

 (旧制高校のエリート意識って特殊だと思う)

 関西を全く知らないながらも

 子供の頃から

 旧制第三高等学校(=今の京大)には

 妙な親近感がありました。


 (あなたの周りだけ時空が歪んでる?っていう

 飄々とした「イカ京」って表現がぴったりな

 親族といえば、宇宙物理学やってた叔父。

 若い頃から長くミュンヘンの

 研究所にいて私の記憶ではいつも空港のお迎えで

 妙な色のドイツの菓子やおもちゃを

 くれる人でした。

 子供心にずっと国外でフラフラしてる

 変な人だと思ってたけど…

 結果自分はその比じゃない

 もっと変な大人になったってことに…今

 気がついてしまった😩)


 祖父と春日大社のどのあたりに行ったか全く

 記憶が朧げですが、たしか

 夏の万灯籠にも何度か行きましたし

 寒い時のお祭りも?

 私が観た舞楽はいつのものだったか?

 覚えているのは

 池の周りの芝生に

 座らされて、舞台は水に囲まれてて

 いろんな意味で遠くて

 芝生がチクチク痛くて土が硬かった気が…

 お外だった気がする。椅子ももちろんなくて。


 寒い暑い地面が硬い…


 これやっぱりそうなんですね🤣


 鮮やかな寒色系(青か緑?)の衣装の

 鼻の高い白い顔の被り物の舞人が

 長い鉾持って静かに遠くから 

 鳥の声だか風だかのような音と共に現れて

 本人も周りも何も喋らず

 ゆっくり不思議な動きをして

 いつ終わるのやらどういう意味なのやら

 全くもってわからないけれど

 とにかく強烈に印象に残った、という。

 

 あれはなんていう祭祀だったか??


 写真が上手く撮れるはずもなく、売店でその時

 祖父が買ってくれたこの本を大切にしてました。


こんな画質しかネット上にはない…☟


 中学生の頃はこの本を

 何度も何度も見てたんです。


 毛べりの衣装の重ね着の面白さ

 片側だけ脱いで後ろが長い装束のスタイルは

 とても素敵だって思いました

 (女の自分が着たいとは全く

 思わないけど、絵に描いたりするとき

 構造を把握するのは実に大変だなあ、と。普通は

 平置きでしか展示がないから)。


 あとは

 正倉院にあるのと同じ外人みたいな顔のお面、

 高昌国って何処にあったんだろうね、とか

 舞楽と西域のエキゾチズムとを結びつけて

 不思議な憧れを持ってました。

 まだまだ中国に

 NHK特集番組「シルクロード」にあったような

 牧歌的歴史幻想を許容する

 発展途上国の風情が残っていた時代の話。


 特にこの陵王はキャラ設定が「ギャップ萌え」

 のプロトタイプ


 ※ あまりに素がお綺麗すぎて

  兵士の士気が下がるから

 恐ろしい面をつけて軍を勝利に導いた将軍

 という、それってラノベですか?な設定〜 


 昔の人もよくわかってたんですね、

 ギャップってのが「萌え」の源泉だって

 ことを😏


 これが演目として

 一番かっこよくて華やかだなあってことは

 中学生でも理解できたし


 納曽利の衣装は青が綺麗だなあってことと

 (たしか道明の寒色系の帯締めに

 納曽利ってのがあったような)


 舞の時に時々

 足のつま先を上げるポーズが独特だなあってことと

 

 中の人がどういう人なのかよくわからないけれど

 きっと全員何処ぞの偉いお爺さんのようで

 だいたい手しか見えない。だからこの本の

 表紙の人の爪が汚れてるのが凄く

 気になるなあってこととw


 (もしかして舞楽って手が綺麗な人は得ってやつ

 なのかも〜)


 この本のご挨拶のページに顔写真がある

 春日大社のトップの方はやんごとない

 という以外は言い方が思いつかない

 苗字だなあってことと


 この近づき難さはなんとも魅力的だけど

 所詮その辺の一般ピープルの自分の世界とは

 全然違うから、

 多分こういう異世界の高い壁の向こうにいる人々と

 自分は一生出会うことはないんだろうな〜って 

 素直に思った記憶が。


 案の定、10代から都心の学校に行って

 周囲皆英米圏志向で、その頃からもれなく

 欧州のブランドものに塗れ始めてw

 放課後は渋谷や銀座で遊んだり

 大学でフランス語学び始めてすぐ

 ヨーロッパに何度も旅行して

 20代から長期留学して…

 っていう生活を送ってるうちに。


 雅楽のことは自然と忘れてしまった。


 能や歌舞伎はいざ知らず

 東京では雅楽=皇室のイメージ、それ以外で

 宗教との縁がここまで深い雅楽やそれを

 世襲の仕事とする方なんて

 今までの人生でその存在すら存じ上げず。


 首都圏では由緒ある方です、とか言っても

 概ね近代制度の華族、

 徳川明治くらいのエスタブリッシュメントが

 現実的ですよね?

 (それ以前だと即思考停止…応仁の乱以前とかもう

 理解を義務教育レベルの歴史の教科書に

 丸投げ状態。)


 私のこの感覚って

 きっと雅楽や舞楽を知らない人の普通の感覚

 なのでは?


 ですから。

 いきなりそれを

 身近に感じるということの方がおかしい

 のではないかと…

 (天王寺区ってやっぱり特殊だってこと…)


 欧州から一度戻って

 ワンクッションで一応能楽や上方舞に

 ハマった時期はあったし

 実際、能については専門家の側で少し勉強して

 伝統芸能関係の人々との交流に恵まれたり

 外国語で発表したり書いたりもしたし、

 雅楽の意匠にはずっと魅せられてきて

 最近でも門跡寺院の文化やら

 京都の有職人形やらに惹かれていましたが、


 演奏としては結局

 雅楽との接点はこれまであまり持てなかった。

 (所詮、楽器ができないのでw)

 舞楽についても、機会があって観るたびに

 「あれはお勤めの儀式」という認識でしかなく。


 私にとっては所詮

 珍しくて雅なお飾りだったんですよね。

 昨年こちらできっかけがあって色々調べ始めて、

 今年の夏に大阪に行くまでは。


 だから、30記事以上もそういうことについて

 今書きましたってのはやっぱりちょっと

 冷静に考えると


 物狂いにも程があるっていうか😩


 だいたい私みたいな

 現代社会の世俗の穢れを捏ねて固めた様な、

 宗教心もなくて厳かなものも何も知らない、

 しかももう長く日本にも居ない様な人間に


 一体

 日本古来の

 宗教式楽の何が分かるっていうんだろうか?

 っていうことに😓


 今頃ようやく気がついてきた…


 でもどうしても分かるとしか言いようがない

 ことはあって、

 それだけは書かずにはいられなかったんです。

 こんな計画じゃなかった😩

 自分でも何故こうなったのかよくわかりません😞

 

 …こんなとこで止まってる訳にはいかない。

 今後真剣に仕事として形にするならこのままでは

 非常にまずい…

 今更諸々大変恥ずかしい気がしてきた😵‍💫


 別にこのブログをリアルライフの

 知り合いの誰が読んでる訳でもないですけれど

 「お前の方こそ未来の国連仕様ではない」説があるので

 年内目処にこのカテの方をきちんと整理したいと思います…

 season 1はDVD化なしってことで… ご了承下さい。


 いずれにせよ来年は

 もうちょっと冷静になって

 (桴とか笹の葉を徒らに振り回すのはやめて)

 基礎的な文献にあたって

 静かに理性的に

 一から勉強し直したいと思います😞