■马马虎虎de ALS■
この子は宝子
胎児性患者、
ユージン・スミスの写真集によって紹介された、風呂に入れる母親と痛々しいまでの智子の姿は、世界中の人の心を打った。そうして智子さんの「生と死」は、「生きる価値とは何か」を教え、人の何倍もの輝かしい生命を生きたといえないだろうか。
自分を偽る
死んでゆく父親をナイロン紐でベッドに結わえ縛って、それが「看病」そうしておかないと苦し紛れに転げ落ちるし、それに一糸まとわぬ姿で外へ飛び出して行き転んで怪我をする、苦しさのあまり暴れて結わえたところの皮がむけて血が滲んでいた、それでもなおそうせねばならぬのは、自分自身も水俣病で満足に歩けもしない、その状況下で毎日が父の病状との戦いで、父のことを縛るしかなかったのが悲しくてかなしくて・・・。
さらに酷烈なことはその息子のことで、故郷が水俣であることや、自分及び家族が水俣病であることを、ひた隠しに隠し出郷し、昭和世代の彼らにとって故郷はすでに「恥」そのものでしかなく、自らこれを捨て去ることにより生き延びるのである