毎日、視聴している羽鳥慎一のモーニング・ショーで、このところ、「おこめ券」を巡る問題が取り上げられている。僕は、今回、初めて「おこめ券」なるものの存在を知り、そのひどさに唖然とした。一枚額面500円の券が60円の手数料(印刷代、流通経費など)が差し引かれて、実質440円の価値しかないという。つまり、12%もの高い手数料がかかっている。JA全農と全米販(米穀卸売業者が組織する全国団体)が販売している。券を購入した人へのサービスの観念が全く感じられず、自分たちの利益、損得しか頭にないとしか思えない。
どう考えても12%もの法外な手数料を取ること自体、絶対おかしいと感じなくてはならない。そんなものを配布して(ここでも新たにコスト、時間がかかる)物価高対策に当てようとするのは愚策というしかない。早速、大阪の交野市や箕面市の市長は、「配布しない」と表明し、福岡市長も苦言を呈している。関西人や西日本の人たちは流石に経済観念が健全で、配布しない旨を大いに声高に述べてほしい、そうして全国の自治体が賛同して、このあまりにも愚かしい方策に与しないことを願うばかりだ。
鈴木農水省大臣は記者会見で、JA全農へ利益誘導する意図があったのでは、との記者の問いに、キッパリと否定したが、たとえそうでなくても、開成高、東大法学部卒の極めて頭脳優秀な大臣が、この券の手数料の高さ、配布の際の非効率などの問題点を認識していなかったとは到底思えない。疑われるのは当然というしかない。農水省の官僚出身で、選挙区が山形県第2区ということからも、生産者(より正確に言えばJA全農)の方に向くばかりで、消費者側に立つことはないうのは容易に分かろう。
一週間前ほどにも、大臣は、モーニングショーに出演し、その時は確かに、米価格高騰に「おこめ券」を活用してほしい旨の発言をしていた。ところが、先の記者会見では、「おこめ券」にこだわっているわけではなく、電子クーポンや商品券などを配布するのも、各自治体の裁量に委ねていると過去の発言を翻している。「おこめ券」に当初こだわっていたことは、高市首相が国会の答弁で、「農水大臣が大好きなおこめ券」と発言したことからも明らかだ。鈴木大臣が何と釈明しようと、言説、態度をコロコロ変えていることだけは間違いない。
このおこめ券を巡る件のそもそもの発端は、前石破政権が米増産政策に舵を切ったのを、高市首相の指名した鈴木大臣が、「米価格は、市場の動向に任せる」として、いとも安易に従来の政策に戻したことにある。備蓄米の放出により、せっかく下がった米価がまたしても最高値を更新する事態に陥ってしまった。米生産の方針という国家にとっても重要な政策が、政権が変わってすぐさま従来の政策に戻るというのは、どう考えてもおかしいし、一番困っているのは、米増産の態勢に着手した若手の大規模生産者であろう。米の生産に関して、さまざまな議論があるが、大きな転換期が訪れていることだけは異論の余地がない。健全な投資と同じように、長期的展望に立って、日本にとって自給できる数少ない最重要な農産物であり、主食である米生産の方向性をしっかりと定めてもらいたい。
僕は、今、心満ち足りた日々を過ごしていて、こうした政治が関わることには、実はあまり口を出したくない。しかし、どうしても見過ごせないのだ。この記事を現政権や農水大臣への批判と受け取ってほしくない。僕は無能だし、頭も弱いから、その資格はないし、そのつもりも毛頭ない。しかし、おかしい、愚かしいと感じざるをえず、文章にまとめたまでだ。後で、読み返した時に、自分の立ち位置を確認したいに過ぎない。
12月12日追記
12日の会見で、おこめ券の発行元である全米販が一枚477円で販売することを鈴木農水大臣は明かし、「国民の皆様に活用いただきやすい工夫をいただいた」と述べたそうである。それでもまだまだ手数料が高すぎることに変わりはない。農水大臣はどうして、おこめ券に固執するのであろうか。前日の記事で書き忘れたが、おこめ券の問題点は、手数料の高さばかりではない。仮に全国的に配布するとなると、かなり印刷、輸送などで時間もかかり、配布に際しては、近年のとみに忙しくなっている自治体職員の手間もますます増えるのは必定だろう。端的に言えば、現代はデジタル化が進んでいて、政府もマイナンバーカードなど活用してそデジタル化を促進しているのをお忘れになってしまったのだろうか、なぜ今、紙の券にこだわるのか。無駄な労力と時間とコストを費やすことでしかなく、紙券配布は時代に逆行する施策だ。物価高対策とはいうものの、詰まるところ税金の還元にすぎないのであって、それを甚だ時代遅れのやり方で、無駄な経費をかけることでしかない。おこめ券の配布は、結局、税金の無駄遣いなのだ。この他にも、おこめ券がつかわれることにより、米価格が高止まりする恐れもある。逆に、券が使わなければ、あまりの高価のため、お米離れが進み、売れなくなり(需要は減って)、米価格は大きく下落する(もうすでに、卸業者はそれを恐れていると、先日のモーニングショーで報じていた)。今しばらくは困るが、長期的に考えれば、消費者は今よりもだいぶ安く求められるようになるだろう。おこめ券の使用は、一時的には助かるものの、長い目で見れば、高止まりした価格のお米を再び買うしかない。頭の弱い僕でも、こうした予想は容易につく。頭脳明晰なはずの鈴木大臣は、なぜ問題点だらけのおこめ券を推すのか。
もし自分が住む市で、おこめ券が配布になったら、僕は使用せず、福祉団体の支援にでもあてるつもりである。out of date極まりない
愚策に与したくない。