映画 『青春18×2 君へと続く道』 | 裏街道を往く

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 昨日は、心が満ち足りた一日だった。

 

夕がたの5時から、かねてから一度ライブで聴きたかった城南海の「ウタアシビ 2024 ~爛漫~」があるので、昼間、映画でも観ようと思った。タイミングよいことに、4月26日読売新聞夕刊映画欄に、評を読んで、これ絶対観てみたいというのがあった。

 

 映画のタイトルは、『青春 18×2 君へと続く道』(藤木直人監督)。どうして観たくなったかというと、2つの理由があって、1つは、ヒロイン役が、清原果耶だということ。もうすでにテレビや映画でも活躍しているが、昨年は、舞台「ジャンヌダルク」でも、第31回読売演劇大賞で、杉村春子賞と優秀女優賞を受賞している。着実に歩を進めており、若手屈指の実力派女優の一人で、目が離せない。もう一つは、只見線の雪景色のシーンがあること。このローカル線は乗り鉄の憧れの線であり、沿線の光景の美しさは有名だ(僕も昨年夏に乗車でき感激した)。映画でも、第一只見川橋梁を見渡す、雪景色の絶景のサービス(?)があった。

 

映画も、放映時間約2時間があっという間に思えるほど魅了された。僕としては、5つ星をつけたくなる。ストーリーは、最近のテレビドラマでいつも感じる無理な展開はなく、切ない。主人公のジミー(シュー・グァンハンという台湾の人気俳優が演じる)が、18歳の時、バイトしているカラオケ店に、日本から台湾旅行中に財布を無くしたアミが勤めることに。ジミーはアミに恋するものの、ある日突然、アミは帰国すると告げる。18年後、ジミーは来日し、かつて二人で交わした約束を果たしに、鉄道旅(鎌倉、松本、長岡など)をしながら、アミの古里、只見町を訪ねる。

 

映画は、18歳の時の、二人で行った台湾各地の場面と36歳の時の鉄道旅の場面が回想も織り交ぜて交錯する。特に台南の様々な光きらめく夜の街の光景と、日本の雪国の心を洗ってくれるような白い光景が好対照をなしていて、印象的だった。

 

僕を喜ばしてくれたのは、二人で映画を観に入ったところ。その映画は何と「Love Letter」、1995年公開された岩井俊二監督の名作で、ヒロインを中山美穂が演じ、小樽の冬の街が舞台。僕も当時、小樽の街が大好きになっていて、「聖地巡礼」のごとく毎年訪ねたものだ。映画では、中山美穂が雪景色の中で「お元気ですか」と叫ぶ場面が、韓国でも有名になり、話題を呼んだという。事実、この映画でも、ジミーも「お元気ですか」と叫んでいる。

 

日本文化のオマージュはこればかりではなく、「SLAM DUNK」やMr.Childrenの曲に対しても(主題歌は「記憶の旅人」)など。残念ながら、これらはあまりよく知らない。

 

最後に、日本の俳優陣も素晴らしかった。長岡のネットカフェ店員役に黒木華(今までに見たこともないイメージをこなしていて、さすが!)、松重豊(主人公をアミの家に送り届ける場面だけの役なのに、存在感がすごい、まさに名優)、最後にアミの母親役、黒木瞳(今朝の「チコちゃんに叱られる」放送に何と出ていた!単なる偶然に思えず、飾らぬ人柄に好感抱く。他に道枝駿佑という人気急上昇中の若手も(残念ながら、知らない)。

 

この秀作を監督した(脚本も担当した)藤井直人についても全く知らなかった。『余命10年』が国内興行収入30億円超のヒットだったという。ロード・ムービーとしても優れていて、今後も注目したい。

 

最後にこのタイトルだけは、あまり感心しなかった。「青春」という言葉がどうも手垢にまみれている気がするからだ。僕だったら「18歳恋をして、36歳旅をして」ぐらいかな。 

 

 

青春18×2 君へと続く道 公式サイト