それは一見、何もない全ページ白紙の本だった。
しかし、各ページ鬼文字で何かが書かれてある。
鬼文字が視えない人からすれば、何でこの本が図書館にあるのか不思議に思うだろう。
視える人にしか視えない本。
どうして日和がこれを見つけられたのかはすぐにわかった。
本の外部にも鬼文字で装飾されていて、本全体が赤く発光しているからだ。
「日和、どんなことが書いてあるの?」
「……」
好奇心いっぱいだった日和の顔が徐々に険しくなっていく。
そう言えば、日和はページがめくりやすいように、少し人型に近付いた姿になっていた。
「何だろう……人類が滅ぶと予言されている年号と内容が書かれている……いっぱい」
「人類が滅ぶ……」
日和が内容を現代訳して読み上げていく――
「1999年、恐怖の大王が空から降りてくる。
2000年、新人類が誕生する。
2002年、戦争が起き、キリストが復活。
2006年、宇宙人が来襲……」
日和が呼んだところは近年に関する記述だった。
しかし、予言書に書かれていることは何一つ起こっていない。
現に僕らは今、この本を手にしている。
「2012年12月23日。人類は、この星の生物は選ばれる。生き残る者と、消え去る者と。すべての者が一つになる。性も生も星も聖もすべてを超えて……」
「今年の内容?」
滅びの予言が年代順に記述されている本。
そんなに何回も滅ぶはずがない。
どれも適当な言いがかりと思った。
しかし、来年の部分だけ、何故か日付指定まで詳細に書かれているらしい。
「その先は?」
「ある。
2017年、ハルマゲドンが起きる。
2137年、最後の審判が訪れる。
3797年、星の並びが入れ替わる。
3936年、天使が舞い降りる……」
今年より先の予言もあった。
しかし、奇妙なのはやはり今年。
何故来年だけ、細かく記されているのか?
「……」
「……」
僕らはこの本を見つめて黙りあった。
本には作られた年代も作者名もなかった。
「この本、借りれるかな。ちゃんと読んでみたい。ミトオシサマにも聞いてみよう。アキ、この本は今はあたし達だけの秘密。ちゃんと読んでからみんなにも話そうと思う」
「……わかった」
ミトオシサマの先見とも一致する。
何とも言えない不安に駆られる。
2012年12月23日に、一体何が起こるというのだ……?
もしかしたら、僕らは、この本と出会っていなければ、何も知らずに滅びることができたのかもしれない。
しかし、僕らはこの本を手にしてしまった。