おかしい。性転換するなんて話は聞いていない。
いや、性転換は手術すれば現代技術でも十分可能なはずで、むしろ獣化の方が驚くべきことなのだが、この面子では獣
化が当たり前で、性転換は前例がないというややこしい自体に陥っている。
「珍しいねー、性転換なんて」
日和がそう言いつつ、股間のあたりをまじまじ見てくる。
妙に恥ずかしい。
「女? 女の子?」
僕の頭は獣化できたこと以上に混乱していた。
それだけ変化のカテゴリーの中で、男女変化は重要なパラメータを占めているのだ。
「どうなっているのがすごく気になるよ、僕……」
ユイが興味津々。
あまりに熱視線を送られて、僕は顔が熱くなる。
何故、顔が熱くなる? 男に対して?
「あぅ……」
人間時の僕は男で、変身時の僕は女。
今は女になっていて、この場合、女の子に見られて恥ずかしがったらいいのか、男に見られて恥ずかしがったらいいの
か……考えれば考えるほどよくわからなくなってきた。
「ア、アキの頭がぐわんぐわん回ってる!」
ツバキに指摘されても僕はどうしたらいいのかわからない。
「いやはや、これは面白い! アキ、安心して、あたし、獣化して性転換しちゃう子、他にも二人くらい知ってるから。ちょうど男→女と、女→男になる子が他にもいる」
「! ほ、ホント? 僕だけじゃない?」
僕は他にもそういうケースがあると聞いて、少し安心した。
「ね、ねぇ、ぼ、僕は一体どっちなの? 男? 女?」
僕は必死になって日和に聞いた。
あれ、おかしいな、言葉遣いも女の子ぽくなってる?
もしかして僕は今まで男として間違って生きてきたのだろうか?
「うーん……アキは……女の子だ!」
「えぇっ! 本当!?」
「うん、間違いない」
日和に断言された。僕は女の子だったのか!
それじゃあ、さっきのシズとのキスもただのスキンシップ?
なんだ、泣き損だったじゃないか。しかし、そうなるとあの行為は……つまり、百合……
「こらこら、日和、からかうな。アキは男だろ」
ハルがいつもの感じで日和に言う。
「男? やっぱり男?」
「いんや、アキは女の子!」
日和は男なわけないだろと腕を組んで言い切る。
どっちでもいい。どっちでもいいからどっちかにして!
男女どちらにも属さないというのはすごく不安定になる。
「アキさん、アキさん、にひひ」
「な、何? 日和……」
日和が怪しげな手招きをする。
「今日は女の子部屋においで。女の子のヒ・ミ・ツ。いろいろ教えちゃうぞぉ☆」
「お、おお、おおお女の子の、ひひ、ヒミツ!!!!!????」
考えただけで鼻血が出そうだった。出そうだったが鼻血が出ない……
つまりこれは、僕が実は女の子だったということを物語っている?
「よいしょ。ひひっ。それじゃあ、アキはこっちにもらっていくよん」
「わわぁっ!」
僕は日和の腕に抱きかかえられた。柔らかな胸の膨らみが小さくなった僕の体の全身に当たって……なんというかいろいろ恥ずかしい。
いやしかし、僕は女の子なんだから、赤面するのはむしろおかしい?
「僕も女の子部屋行くー」
「こらこら、ユイ。お前は正真正銘、男だろ」
「うー、話してよ、徹夫くーん」
ユイが徹夫に首元を持たれてジタバタ。
「それじゃ、今日はここでお開きね。また明日!」
日和はそう言って、僕を拉致していく。
混乱している僕は為すがままに身を任せるしかなかった。