厳かな雰囲気がある。
空気が凍てついている。
僕らは何故か怒られた後のような気持ちになって、中に入っていった。
「お主らか、外から来た者は」
「は、はい……」
目をゆっくり開いた天狗が僕らを見定めるように視線を回した。
「座れ。ミトオシサマからお主らの羽の生やし方を教えるよう命ぜられておる。ワシはコクヨウ。よろしくな」
「よ、よろしくお願いいたします!」
僕らは何故か正座して、ピシッと言った。
最も今の僕はお座りしかできなけれど……
「ふむ。お主らはまだ一度も羽を開いたことがないと見えうるな」
難しい顔の天狗がさらに難しい顔をした。
「お主らはいくつじゃ?」
コクヨウの問いかけに、僕らはそれぞれ二十前後ということを答えた。
「その年まで羽を開いたことがないとすると、少々難儀かもしれんが……まだ、獣姿になりたての者もいるようじゃし。
まぁ仕方ないのお。人世に迷い込んだ人ならざる者なら」
やおよろずのメンバーの中では僕が一番遅れているようだった。
「お主らの名を教えてもらおう」
僕らはそれぞれフルネームを教えた。
「よかろう、それでは修行に入る」
「!」
そんな話は聞いていなかったが、この空気は変えられそうもない。
コクヨウに纏う空気は常に厳冷だった。
「まず、お主らはこれが視えておるか?」
コクヨウはそう言って、空中を漂う幽霊を指差した。
全員、こくこくと頷く。
「なるほど。初期の初期は問題なさそうじゃの」
修行と幽霊はどうも関係があるらしい。
「それでは、これを取り込んだことはあるか?」
「取り込む?」
コクヨウはあろうことか、幽霊を手に取り、口を開け、一飲みした。
「え? それ食べれるの?」
日和が思わず、拍子抜けた声を出す。
「食べるのではない。体内に取り込むのじゃ」
幽霊は透けるはず。僕は今まで何度か触ろうとしたことがあったが、無理だった。どうやって手に持てたのだろうか?
「そうか、お主らにはまだこれは早そうじゃな。それでは……まず、最適な姿になってもらおうか」