「オクトパスの神秘: 海の賢者は語る」 命の円環を感じさせる秀逸ドキュメンタリ | 走ることについて語るときに僕の書くブログ

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タイトルの通り。
ワタナべの走った記録です。時折、バスケット有。タイトルはもちろん村上春樹さんのエッセイのパクリ。

 
 

あらすじ

南アフリカ在住の映像作家が近隣の藻が茂る海で一匹のマダコ(メス)を一年間撮影したドキュメンタリー。

 

あらまし

Netflixのオリジナルドキュメンタリー。2021年アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞を受賞。

 

かんそう

ドキュメンタリーなのでネタバレありです。

 

 

 

とても心が動かされるドキュメンタリー。Netflixのドキュメンタリーは(政治団体やスポンサーに配慮不要だから??)アタリが多い。

 

「イカロス」

ロシアの国家ぐるみドーピングの実態を描いた力作

 

とか

 

「アメリカンファクトリー」

閉鎖されたアメリカの工場を中国資本が買収、再開される。中国経営とアメリカ人労働者間に顕れる文化の違い。

 

とかとか。

 

 

本作は政治臭はありません。

ですが一年間かけて地味にタコを撮影し続ける、、、という題材に金を出す映画制作会社はないのではないでしょうか。

学術的なものとは一味ちがう視点のドキュメンタリー映画ができました。

感動しましたね。

 

 

本作では以下の二つで心が動かされました。

1.マダコが知能が高い生き物で好奇心から?撮影者を認識して触れてくる生き物だと知る驚き。

 

2.生存のため知恵を絞り工夫する。その一生懸命さの美しさ。

 

 

 

マダコの寿命は一年と言われており作品は彼女が死ぬまでを撮影している。

製作側は彼女に名前をつけず、天敵に襲われても手助けしない。餌付けしている様子もない。あくまでドキュメンタリー、観察者の立場なのだ。マダコとの触れ合う交流もしないのが本来的な観察者なのだろう。本作は交流自体も観察対象という態度なのだろう。積極的に触れ合っている。

 

 

 

マダコは犬猫と同等の知恵を持つらしい。魚で遊ぶ?様子も撮影されている。マダコの好奇心は強い。

 

 

小型のサメが近隣の天敵。マダコがサメに追いかけられ逃げるシーケンスがある。

たぶん、直線的に逃げても追いつかれるのだろう。彼女は擬態を使い、墨を吐き、陸上にもあがり、逃げようとする。その方法もさまざま。親から教えられたわけじゃないからそれを知恵と呼ぶべきか自分は迷う。教えられたわけじゃなくともとっさにでてくる逃亡行動に生物の神秘を思う。

 

そばにある貝などを集めてその中に潜む。

 

擬態の一例。珊瑚や岩かな?

 

肌の色を変えて周辺に紛れる。しかしサメは臭覚に長けており居場所はすぐにバレてしまう。

 

 

サメからの逃亡はあったりまえのハナシだけど必死。健気なほど必死。サメも命がけで追いかけてくるんだけどやはりマダコを応援してしまう。

 

 

パートナーを見つけ産卵を終えた後、彼女はすっかり弱ってしまう。カラダも動かせずあっさりサメにくわえられ海の奥へと消えてゆく。産卵と死が為すサイクル(円環)を想わずにいられない。

 

作者はこの後、海の環境を守る活動を始めたらしいが納得してしまう。一生懸命に生きている生物たちをあっさり死滅させる人間の愚行さを思わせます。ネットフリックスに登録している方は是非、上映時間85分です。

 

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