正直じゃいけん | お役に立ちません。

お役に立ちません。

本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

正直じゃいけん/町田 康
¥1,575
Amazon.co.jp


町田康のショートエッセイ集。
バラバラの時期、バラバラの掲載誌に載ったものを寄せ集めたもので、
町田通には評価が低いけど、入門編としては充分面白い。
もちろん、内容がいいから。

あの、眼力のありすぎる、破天荒そうな外見、
それを裏切らない、硬質かつ昔気質の文章からは想像できないダメっぷりが最高。
上がってんだか、下がってんだかわかんないテンションで、
真面目なんだけど、なまけもの、
世の中に怒ってみるけど、巻き込まれ型でいかんともしがたい日常が面白すぎる。

イメージ的には、昭和初期の融通の利かない作家先生の華麗なる日常、みたいな。

礼儀のなってない編集者が嫌いで、
電話は設けないとか、
一日3回小分けして寝て、夜中に仕事する、独特の生活時間とか、
ちょっと意味不明なこだわりと、それによって生じる世間との確執、
そんな偏屈さ。

偏屈親父で近付きにくそうー、と思わせておきつつ、
時間には正確で礼儀正しいところ、
猫が大好きで、遊び盛りの猫のため、
腰にひもをつけておしりをぷりぷりしながら仕事、生活をするという、珍妙な優しさ。
思わず噴出し、こんなひととお友達になってみたいと思ってしまう。

そんな康ちゃんの魅力が存分に詰まっております。

相当くせのある文章だけど、
センテンスは短いから、テンポつかめれば読みやすいし、
なにより独特の言い回しがくせになる。

なお、強烈かつシュールな表紙が実は好き。
内容とはあまり関係ありません。
というか、違う装丁のほうが売れると思われ。