ねこのばば | お役に立ちません。

お役に立ちません。

本・漫画・映画のレビューブログ。
本は月に10冊ほど、漫画は随時、
映画はWOWOWとTSUTAYAのお気持ち次第(笑)

ねこのばば (新潮文庫)/畠中 恵
¥500
Amazon.co.jp

シリーズ第3弾。
サリオの特徴は、好きな作品ほど文句&ツッコミが多いです(・・)b

珍しく元気な若旦那、グレ若旦那、若旦那の色々な面が見れる3作目。
兄やたちの過去話、へヴィなミステリも加わり、
華やかなエンタメ性のある作品。

この作者は、よほど努力の人なのでしょう。
話のバリエーション、ミステリー、よく練られてとても面白いです。
前作より中身が濃くて質がいいと言ってもいいかな。
キャラクターメイン、エンタメ重視から、ストーリーの内容、ミステリの内容も肉厚になり、
バランスがいいです。
簡単に言えばライトノベル臭、ヤングアダルト臭が抜け、
本好きが読んで素直に面白いと言える作品。

ただ、暗い、重い話の比重が増えたのが引っかかるところ。
人は悲劇を好む傾向があるのか?
明るい、楽しいキャラクターで人気が出たシリーズものって、次第に暗くなってく傾向があるよね…
ハリポタとかさ。
ずっと同じ調子じゃあマンネリなのも確かだけど(西森博之の漫画みたいな)、
このストーリーに求めてるのはへヴィさじゃなくて、
仲間に入りたいような明るい楽しさなんだよなぁ、と思ってしまう。

しかし、元気絶好調の若旦那、グレ旦那、といった”軟弱若旦那”のイメージを裏切る展開も、
最後はやっぱり元鞘だったりして、安定感は変わらず。
表題作が一番面白かったかな。

文句なくオススメできる1作。
いいところはキープかつ、大活用、
力及ばずのところは頑張って工夫して伸ばしていく作者に好感。
多分、目指すところは宮部みゆき的、大衆に受け入れられる時代小説を目指してる感があり、
そのための努力を忘れない姿勢が見て取れます。
そこまで、今時点で及第してるかはともかくとして、ほんわか時代劇作家として生き延びれそうな予感。
…まぁ、今のところ他のシリーズ読んでないケドね。
キャラクター重視が抜けて、シリアス一辺倒だとちょっと読む気しないし。