- 黄昏の岸 暁
の天(そら)―
十二国記〈上〉/小野 不由美
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- 黄昏の岸 暁の天(そら)―十二国記〈下〉/小野 不由美
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久々に十二国記読んでみました。
新刊が出たのは早6年前… ぶっちゃけ完成させる気はもうないんじゃないかな…(哀
慶国、王のおわする金波宮に一人の女が押し込んできた。
瀕死の女は戴国将軍と名乗り、『戴を助けてくれ』と叫んだ。
王が消え、麒麟の消えた不吉と妖魔が跋扈する戴国。
なぜ戴は荒廃したのか?
シリーズが始まった頃からの最大の謎のひとつ、戴国。
どうして退廃するに至ったのかの回顧と、
消えた泰麒を探す2軸で話が展開していきます。
以下ネタばれね。
総評。
腕、落ちたんじゃない??
んー、オチがねぇ、なんか納得が…
今までで最大の謎、かつ、どうも作者のお気に入りキャラクターのようなんだけど、
伏線段階で大きく出しすぎて、回収しきれなかった感じ。
(とはいえ、まだ謎としては解決しきってないけど)
上巻、また下巻の半分くらいまでは、
相変わらず舌を巻く筆致なんだけど、
じゃあなんで評価低いのか?といえば、
物語としての質が悪いんだよね。
このシリーズの最大のポイントは、練りこまれた世界観を磐石の基礎として、
そのうえで展開する人間模様だったんだけど、
下巻の途中で、その世界観をしきりに語ってしまう、ある種自家中毒になってる。
もちろん、そこに作者のメッセージが入ってるわけだけど、
厳格な世界観、無常な運命に抗う人間模様が魅力なのに、
この世界観はおかしいんじゃないか?
こんな穴があるけど、変じゃないか?
を延々キャラクターに語られても困るわけで。
それは読者がすべきことで、物語中でメインテーマで語られるべきことじゃないと思うんだ。
また、泰麒の捜索、奪回が若干ご都合主義というか…
そこまで麒麟集めて捜索できるならどうして今までやらなかったの?とか
(思いついて全世界に協力募る人がいなかた¥ったからなんだけど)
神が現れてケガレだけは全て取り除いてくれたとか、
えー!って。
へヴィすぎる過酷な運命、リアリティがこの人の大元であり、
このファンタジーがシリアスに成り立つ要因だったと思うんだけど、
シリーズ1作目に較べると、筆力は上がっても物語精度が格段に落ちてるとしか思えない。
世界観にセルフツッコミしてしまうってのは、図南の翼あたりでもあったんだけど、
あっちはバランスよくていい物語だったんだよね。
この出来の上下巻のあと、短編集出して6年間の沈黙があることを考えると、
作者、このシリーズに対する情熱が薄れてしまったとしか思えない。
酷評してますが、
期待の半面、つい、厳しくなるといったところです。
やっぱりこのシリーズ抜群におもしろいしね。
纏めると、
せめて戴国シリーズ完結させてから終えてくれ、というはなし。
ホラー短編はもういいから、こっち書いてほしい;;