- ファンタスティック・プラネット
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その世界の人間は虫のようなものだった。
巨大な異星人に戯れに殺され、気が向けば、テールのようにペットにされる者もいる。
テールは愛玩されるうち、学習装置で知能を身につけて逃げ出した。
人間の反抗がはじまる。
BS2をたまたまつけたらものそいシュールなペン画アニメがやっており、
「すげー、シュールだー」
と思いながら見入ってしまったものです。
我ながら凄いと思うのは、途中から見て
「これはSFだな」
「お国はフランス…いや、東欧が入っている!」
…そのとーりでした。
フランスSFのフランス、チェコ合作メジャーマイナーアニメであったよ。
このビジュアル×BGMショックはすごい!
とんでもない!
この際、ストーリーはどうでもいいのです。
よく言われるようにSFは『絵』。
衝撃的で斬新なビジュアルがあれば全ては贖われるのです。
真っ青な肌にまぶたの無い赤い目の異星人。
生物とも無機物ともつかぬ奇妙な植物や生物。
そしてなにより、ラストシーン。
蒼ざめた巨像のワルツシーン。
奇妙で美しい、SF史上に残る名シーンだと思う!
気持ち悪いというひといえばいいのだ。
これは誰がなんといおうと美しいシーンだ!
巨大な男女一対の彫像が、異星人の瞑想球を頭に据えて、
交感による愛の交換として、奇怪で優美なワルツを巡る。
サイケデリックな音楽と異様にマッチして。
しかしそれも、残酷な暴力で次々と壊されていく。
ストーリーなんかといっといてなんだけど、
この強力なビジュアルを得た物語はそれなりに意味深く、
妨げられていた人類が文明という力を手にして後、
逆に異星人を虐殺していくのは本当に恐ろしい。
虐げられてたからなんだ。
やり返して容赦なく殺していくのは道義に外れて恐ろしい。
理屈とか文明とか身につけても人間は所詮、
言葉で飾った暴力を繰り広げていくイキモノなのかな、
と空恐ろしくなります。
奇抜な作品のわりに評価が高いのは、
これが紛れもなく”芸術”作品だから。
巨匠の作なだけはあり、これだけキワいのに、
カルト好きでもない一般人を捕らえられるだけの力があるんですねぇ。
イマジネーションの豊かさが絵と音に溢れていて、
CGがなんぼのもんじゃ、
創造を形にするのは技術じゃなくって唯一その脳髄によるんじゃ、
と、珍しく熱くなってみました。
そうしてこんな作品のときにこそ熱く語るわたしはやっぱり、
カルトムービーフェチ。
もはや否定せんよ。