- 奥田 英朗
- ガール
女でいて何がわるいかぁ!
働くオンナの心意気溢れるオフィス短編集。
ちょっとだめ、悩みはたくさん、だけど愛嬌のある一般人を書かせたら最高ですな。
奥田さん。
誰かより優れていないし、誰かより最悪ではない、
いいひとでもないけど、ハートは持ってる。
これは中でも30代OL驀進な、働く女子のハートを狙い撃ちです。
最高です。
一言言うなら、④大卒、収入高めの女子ばかりなのが気になりますが、
きっと、ばりばり働くけど、ハートは普通のガールな女子を描きたかったんでしょう。
そのうち、主婦ものとか、低所得層のはなしもできるかもしれん。
フリーター女子みたいな。
お気に入りは表題作「ガール」。
38歳だけど、服もノリも20代女子なお光と、
32歳、美人、独身、だけど派手目ギャル人生はちょいと無理めなお年頃由紀子のはなし。
このお光さんが極端だけど効いてる。
CamCan系可愛いかっこ、ギャル系口調、頭の中もそのまんま。
だけど御歳38歳、若く見えても限りがある。
正直若手男子に引かれていても、
持ち前の明るさで場を盛り上げ、その場に強制的に馴染んでしまう。
そのうえ、仕事も出来る。
そう、性格的にちょっとイタイとこあっても、明るければ問題ないんですよね。
キャラクターって偉大だよね。
やっぱりオンナですもの、いくつになってもかわいいものは好き。
体や見た目が変わっても、頭の中はどんな女子も女子高生なんですよ。
小学生だろうが、主婦だろうが、ね。
「やっぱり年相応に地味にならなくちゃ」
「結婚しなくちゃ」
「こどもも必要」
そんないわゆる”一般論”に引っ掻き回されすぎないで、
すてきな自分があれば貫けばいいんだよね。
半端でなく、見事に貫き通せたら、周りも認めてくれるし。
まだ、まだ、オンナが働くには苦労あるんですよね。
だけど、明るく一直線に悩み、間違った道を驀進し、
ふと立ち止まりそろっと戻って自分の道を見つける、
ガールズストーリーに元気でました。
奥田英朗は天才だ。