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お手伝いさんたちのブログ

中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

「政治のレベルは国民のレベル」とはこのことか!(11/19)



野田首相の解散演説を聴いて「信頼できる人」と言った人が居るそうです。



1) 政治家にとって公約は命、


2) 政治家にとって口から出たことは命、


3) 国民に信を問わないで真逆のことをして、


4) 決まってから何を国民に信を問うのか?


5) 誠実な日本国民は公約以外になにを基準に投票するのだろうか?



口先で真逆のことを言う人のことを何というか、ここでは言いたくないが、そのような人がこの世にいることは確かだ。でも、これほど公約と真逆な民主党の人が一人でも当選すると、日本の政治はまたしばらく、「ウソでも政治家」が蔓延するだろう。今度の選挙はその試金石でもある。


(平成24年11月19日)




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野田首相がですね、突然解散をしまして、その野田首相の解散演説を聞いて「信頼できる人」ということで、少し支持率が上がったという、驚くべきニュースを聞きまして、ビックリ致しました。っていうのはですね、政治家にとって、公約は命であります。公約をして当選するわけですから、公約を守れない政治家っていうのはですね、ほとんど意味がないわけであります。





民主党はですね、「増税をしない」と、「増税をしないで財政再建をする」と、もう公言をしてですね、これに対し自民党は「増税しなきゃだめだ」と言っていて、自民党はまぁ正直で損をしたんでしょうね。私、自民党もそれほど支持はしておりませんが、これについてはやっぱり全然差が大きく開きましたね。





しかも、野田さんはですね、選挙の街頭演説で、「政治家にとって、口から出たことは命である、絶対守るんだ。増税は絶対しません」、しかも「紙に書いてあることは更に守らなきゃならないんだ」と、こう…自ら言っているわけですね。それで当選して首相になって、まったく真逆なことをしたわけですね。それに今度命を懸ける。





その時に国会を解散すればいいんですよ。時期としても夏ごろでしたからね。6月ごろ解散すれば、予算とかそういうものに対する影響も少ないし、色々なことがありましたね。で、とりあえずそこで解散をしてですね、「定数是正については、今回のことは緊急を要するので解散するが、解散した後、憲法違反状態は直す」というぐらいのことは言ってもいいかもしれない。事の重要さが違いますからね。





その点では、その後も憲法違反の状態で、今度の解散を強行する、と。で、決まってから「国民に信を問うた」っつったってですね、それは国民としてももう、増税の話は争点になってないわけですよ、実際争点になってませんよね。もう決まってしまってるから。





しかし、これはどういうことなんでしょうかね。そうしますとね、結局2009年の総選挙で、民主党の公約を信じて投票した人は、今度は何を基準に投票するんでしょうかね。私はですね、なんたって、野田さんは一国の首相ですから、口先で真逆のことを言う人のことをなんと言うかってちょっと言いにくいですね。だけど、そのような人がこの世にいることは確かなんですよ。本当にこう真面目そうな顔で言いますんでね。どうしても人はそれに引っかかってしまうわけですが。





しかし、政治のレベルは国民のレベルと言いますよね。ちゅうことは、我々はほんとに今、民主主義のこう…日本で民主主義が成立するかどうかの岐路に立たされてると思うんですね。どんなに都合のいいことを言っても、やっぱり公約は守れ、と。で、公約のうちできないものがあってもいい、と。それはいいんですね。





しかし、真逆のことをしてもらったら困る、と。平和を守ると言って戦争をしたり、減税すると言って増税したり、そういうことはやっぱりだめだ、と。これは当たり前ですよね。その人がいったいどういう信念を持って政治をしているかまったくわからない。つまり、ウソでも政治家、ということがまん延します。





今度、選挙が行われますが、政策が…どういう政策が問題かというふうに、色々なマスコミなんかが言ってます。私は今度は、政策選挙じゃないと思うんですよ。なんたって、自民党も民主党もですね、維新の会もほとんど同じですからね。つまりもう…先ほどこのブログでも言いましたように、目的を書いてあるような政治…政党の名前ですからね。それではやっぱりうまくいかないわけで、いっそのこと、やっぱり今度の選挙はですね、その人の誠実さを問う、と。誠実な人を選んで、その人がどう言うかを見る、と。





こういうですね、絶対に政治家は言ったことは覆さない、言ったことを覆す時は辞任する、と。そういうですね、ハッキリとしたルールを日本で打ち立てられることができるかどうか、これはひとえに国民のレベル(にかかっている)でしょうね。私とは考えが違う人が国民に12パーセントはいるわけですね。つまり、今でも民主党を支持してる人がいる。あれだけウソをついて、まだ支持できるのかっていう感じがしますが、これはまぁ個人によって見方が違いますから、これは仕方がないと思いますけども。





それでもまだ民主党はなんか党議拘束をしてるっていうんですね。党議拘束をするって、一番重要なのは党議拘束じゃなくて、国民に対する公約なんですよ。国民に対する公約を守るっていうのがとても大切で、それが党議になるなら…党議拘束すんならいいけど、国民に対する約束と違うことを党議で決めて、それで議員を拘束するということになりますとね、ほんとに小選挙区なんかの意義はまったくなくなると、私はそういうふうに思います。

犯人に「教えてください」、「ありがとうございました」と言い続ける記者 (11/18)



あまりに露骨な応対の差にほとほとイヤになってしまいます. 本当は人の非難だから言いたくなかったのですが、あまりに続くので一言.



1) 福島原発後の記者会見、


2) 「教えてください」、「ありがとうございました」と言い続ける記者、


3) 事故直後から隠蔽(3月12日、3月16日、作業中の飛散など)を続ける犯人。多くの人に被害を与えても辛い感じがしない東電幹部.


4) 食品問題の時に大手マスコミの記者がとった態度、


5) 今までのように怒鳴らなくても良いけれど少しは態度を変えて欲しい、


6) 100年後のパンダのササが不足する??という報道が食品汚染より重要??


7) お金をもらえばコロッと変わる、長いものに巻かれろ現代の日本社会を象徴する記者さん!!しっかりして!!


(平成24年11月18日)




--------ここから音声内容--------




私は人がどう言った、こう言ったっていうのはあんまりこう気になんない方で、そのために対人関係にあんまりこじれがないということがありまして、これはいい性質に生まれたなと思うんですが、実は福島原発事故からずっと続いてる東電の記者会見ですね、これだけはいくらなんでももうちょっとイヤになってきたんですね。





記者がですね、犯人に向かって「教えて下さい」、「ありがとうございました」と言い続ける、この有り様はですね、なんだと思いますね。福島原発後の記者会見は3月の下旬ぐらいから始まりまして、日本人向け記者(会見)と外人向け記者(会見)がありましたが、外人向け記者(会見)がですね、あまりに東電の発表がいい加減なので、もう誰も来なくなりまして、確か4月の25日ごろですね、記者がゼロのとこに向かって東電が普通の発表をし、「どなたかご質問はありませんか」と、誰もいない会見会場で話をするっていう、そういう異常な滑稽な状態がありました。





ところが、日本人の方はですね、どうしたわけか事件が起こったり事故を起こした会社に対して、あれほど今まで罵倒し激しかった記者がですね、東電に対して「教えて下さい」、答えがあると「ありがとうございました」と言い続けてるんですね。もちろん東電は爆発自体で大変に被害を与えました。日本国民の電気を危うくし、被曝者を多く作り、政府を混乱させ、国民を不安に陥れ、さらに例えば最近ですと3/12、3/16、それから作業中の飛散など、放射線(放射性物質)の飛散を隠してるという、その真犯人であります。その真犯人を…犯人にですね、あれですね、犯人に「教えて下さい」と言う記者ですね。犯人が答えると「ありがとうございました」と言い続ける記者ってのは、どういう気持ちなんでしょうかね。





特に私がこれ聞いてて思い出すのはですね、食品会社が色んな不祥事を起こしました。大きなものもありましたが、その多くはたいしたことありませんでした。それに対してですね、僕はある社長を知ってるんですけども、ほんとにもう夜も寝(ら)れないつらい思いをした、罵倒され罵倒されですね、新聞記者からもうほんとに罵倒された。





雪印乳業の事件が大きな事件でして、大手でしたけどね。それでも、社長がもう疲れ切ってエレベーターに乗る時に「僕ももう寝てないんだ」と言ったら、記者が「何言ってんだ、被害を受けた人の気持ちがわかんないのか」って怒鳴りまくりましたね。しかしそれがやっぱり世論を形成して、雪印の社員の中には立派な人ずいぶんいたんですが、ずいぶん雪印は痛みました。それ以外じゃないですよ。もっと小さな所で食品会社にはすごかったですね。マスコミの記者の居丈高なこと、ものすごかったですよ。





で、なんでそいじゃあ東電の場合はですね、「教えて下さい」、「ありがとうございました」って言うんでしょうかね。泥棒した犯人に「どこから侵入したか教えて下さい」、「あそこの窓から侵入しました」、「どうもありがとうございました」…言う記者いるんですかねぇ。聞いてることはそういうことなんですよ、「どこにどういうミスがあったんですか」、ね、「ありがとうございました」、こうですからねぇ。





私は今までのように食品が…小さな食品会社の人を怒鳴り散らすという記者もどうかと思いますが、少しはね、東電に対して態度変えてほしいですよ。きちっとした、犯人というかね、悪いことをした人に対する態度っていうのがやっぱり世の中ではそれなりのことがあるんですよ、ええ。それはね、痴漢をした人から始めて、何か横断歩道をですね、なんか変に渡ったとか、人を殴ったとか、色んなですね、悪いことをした人に、「ちょっとあなた、教えて下さい」、「どうもありがとうございました」(と)言うことはないんですね。それなりの記者の発言があるんです。それを思い出してほしい。





これはお金が中心だからですね。ようするに東電から広告費をもらってるから、ぞんざいな口を聞くとですね、上役から怒られるっていうことなんですね。だけどそれが、ほんとに綱紀…社会の綱紀としての報道機関、記者の態度ではないということに、もう一回目を覚ましてもらいたいと思うんですね。





それで、私昨日ですね、温暖化によって100年後のパンダの笹が不足すんじゃないかという記事をまじめに取り上げていた新聞記事を見て、ほんとにビックリしましたね。もちろんそれも要るのかもしれませんよ、100年後のパンダの笹。だけども、多くの日本人はですね、お米が汚染されてないか、魚はどのくらいなのか、ガレキを焼いた後、ガレキを焼いた新潟市の燕三条の付近とか、北九州の付近とか、静岡県の島田市の付近なんかはどのくらい汚染が進んでるのかっていうことに、非常に神経をとがらかしているわけですよ。





それをね、100年後のパンダの笹だ、中国奥地で少し不足するという研究結果…これウソですよ、ウソですけども、まぁウソでもホントでもいいけども、そういうのを報道するっていうのがねぇ。いやぁもうこれはアレですね、もうなんて言うか、そういう報道機関の報道を聞いたから、なんか得られることがあるんですかねぇ。





マスメディアというのは、その社会の先頭を切って、その社会の雰囲気を表すと言いますけども、確かにお金が全て、ええ。法の下の平等だとかですね、まったくありませんね。この前、橋下さんの、ある週刊誌の記事について、「本人を取材してないので」というようなことが随分言われましたが、私もですね、今までほとんど取材されて悪いこと書かれたことほとんどありません、ええ。もう、特にあの、一関のね、市長のやつなんか、もうぜんぜん…取材があったのはたった2社。出たのが…僕を誹謗する記事が出たのが、もう20社も30社もありましたけどね、ええ。中央新聞も含めて。全然取材来ないんですよ。





だけどこの、僕は一市民だからどうでもいいんですよ、ええ。日本人はマスコミから見るとね、国民は…一人一人の国民でできてんじゃないんですよ。偉い人だけでできてんですよね。ですから偉い人と、庶民とを区別するんですね。それがなんでこう…庶民がそういう新聞を買うかってのもちょっとわかりにくいんですけどね。わかりにくいんだけど、まぁそれが判官(はんがん)びいきとか、弱い者を助けるとか、正直な日本とか、誠実な日本っつぅのはダメになったんでしょうね。





私はですね、そういう全体的なグチはともかくとして、せっかくこんなこと書きましたから、せめて、東京電力の記者会見についてはですね、「教えて下さい」、答えがあったら「ありがとうございました」ってのはやめて下さい。それがあるとですね、聞き苦しくて聞けないですね。私はそう思いますので、ぜひ希望します。

六価クロムの汚染秘匿と東電の漏洩秘匿 (11/17)



今日、2つの注目すべき事件がありました。



1) 六価クロムの漏洩秘匿と役所の説明(1年9ヶ月秘匿)



2) 3月16日の福島原発漏洩と東電の秘匿(1年8ヶ月秘匿)



3) 法令に対する誠実さの喪失(3355倍と222倍)



4) 120トンの土砂を除去、原発付近立ち入り禁止との矛盾



5) 中国食品を嘲笑できなくなった日本


(平成24年11月17日)




--------ここから音声内容--------




残念なことながら、今日ですね、二つの注目すべき環境汚染の事件がありました。日本になんで環境省があり、そこがなんかレジ袋とかつまらないことやってですね、あと一年100ミリ(シーベルト)でいいとか、むしろ環境を汚染する方に一生懸命なんですけども、ガレキの運搬だとかですね。大切な仕事はまったくやってないということがわかるような事件でありました。





一つはですね、六価クロムの漏洩がありまして、これがですね、法令に定める値の222倍、除いた土が120トンという、かなり大掛かりな汚染でありましたが、これを昨年の2月から約1年9か月間秘匿をしておりました。これに対する役所の説明もとてもひどいものでありました。





それからもう一つは去年の3月にあった、福島原発の爆発事故でですね、3/16の福島原発付近で非常に高い放射性物質…濃度が観測されたにもかかわらず、そのデータの所だけが空白のデータを出しておりました。東電の秘匿によるもので、これは1年8か月の秘匿でありまして、これはNHKが報道しとりました。





しかしですね、このような化学物質の秘匿というものは、昔は企業が秘匿をして、それをせっかく作った環境省がですね、国民に報告するという体制を作ったんでありますが、もう全然それからしばらくたちまして、昔流に言えば、企業と環境省の癒着っていうのがますますひどくなって、地方行政にもそれが及んでいるということを示しております。





つまり、企業の社会的倫理という、まず第一の壁と…壁っていいますか方法と、それからそれでは不十分なんで、国民は税金を出して環境省を作ったんですが、もう全然だめということで、いよいよ国民はですね、残念ながら税金を払っても何の役にも立たないという時代を迎えたと思います。





これの一つの問題はですね、役人による法令の軽視ですね。これの一番はっきりしたのが、私がこのブログでも再々お話しました、福島原発事故直後のですね、保安院が言ったですね「ヨウ素が海水から3355倍…基準値の3355倍を検出したが、健康には影響がない」と。





今回も同じこと言いましたね、役所が。「六価クロムの濃度は基準値の222倍で、120トンもの土砂を除去したんだけど、健康に影響ない」。それじゃあ、一体規制値っていうのは何のために決めてたんですかね。これはですね、そういう疑問符で言うんじゃなくて、正面から言えばですね、規制値というのは、それを超えたら健康に影響があるから決まってるんです。





ただですね、健康に影響があると言う時に、色々年齢もありますし、それから接する濃度も違います。時間も違います。だから、「おおよそこの濃度を守っておけば、健康に影響がない」というのでですね、従って、法令で決められた濃度の100倍とか1000倍で健康に影響がないってことは絶対ありません。もしそんなこと言うなら、規制値の意味というものを考えて頂いたらいいと思います。





規制値が安全サイドにあると言われますけど、それは違うんですね。それは、これ大きな間違いなんですね。というのはですね、規制値を、普通の標準の人ですね、例えば年齢が20才で男性で、勤めに出てて、食べ物はこれ、これ、これと。そういう人を基準をした場合ですよ…これを基準とした場合、それよりかは安全側になってることは確かです。





しかしですね、世の中には赤ちゃんもいますし、食べ物が偏食する人もいるし、そこに長く住む人もいる。色んな人がいますね。ですから規制値ってのは平均値じゃだめなんですよ。例えば平均値で取りますと変なことになりますね。例えば福島の原発近くが汚染された、と。日本中の平均値から言えば、全然影響ないわけですよ。だけども、福島に、そこにいる人には影響が大きいんですね。





さらに海の汚染ですと、海水浴をする人には影響が多いんです。海水浴しない人にはあんまり関係ないんですね。それからスノーボード(ボディボードと言いたかったのかも)したり、それから色々ヨットで遊んだり釣りをしたり、漁船で仕事をしたりする。ですからその、規制値というのはですね、そういう場合にほとんどの人にはあまり影響がないということを以ってですね、規制値にしているわけですね。





だから、だいたい交通事故とか火災だとか、そういったものの危険性よりか少し少なめにしとくというのが規制値ですね。そうしますと、例えば火災ですと一年に2000人ですから、だから通常の問題ってのは…だいたい酔っ払い運転なんかもそうなんですが、年間200~300人から500人ぐらいというのを一つの危険の目安とします。そうすっと、日本人には1億人いますからね。1億人のうちの200人とか300人が被害を受ける、まぁこのくらいのとこで妥協しとくわけですね。





それは交通事故ぐらい5000人ぐらいなものがですね、今は交通事故だけ(音声不明瞭)、そんなのがどんどんあったらですね、六価クロムで5000人死んで、放射線で5000人死ぬって、どんどんやったら大変なんで、そういうのが100項目ぐらいありますからね。そうするともう、ものすごい死亡率になっちゃうわけですね。





ですから、見かけは安全のように見えるんですけど、実はそうじゃないんですね。だからお役所はですね、規制値を超えたら危険であると言わなきゃいけないんですよ。いや、ひどいもんですね。で、これはですね、本人たちは気がついてないんですが、実は規制値を超えたからっつって税金で120トンもの土砂を除去したんですよ、この六価クロムの問題は。それから原発付近は現在立ち入り禁止ですね。





つまり健康に影響あるから土砂を除き、立ち入り禁止にしてるんですね。「それじゃ何に基づいて?」って言ったら、「基準値に基づいてですよ」と。「じゃあ基準値は健康に影響ないの?」、「いや、ありますよ」と…これ何言ってんですかね。だからもう、こっちではああ言う、あっちではこう言うって、もう非常に誠実さを失った社会になった。





かつてですね、中国食品を我々は嘲笑しました。深く反省しなきゃいけませんね。私は今度の中国の尖閣諸島の問題で、中国にあんまりいい感情を持っておりませんが、しかしそうは言ってもですね、かつて中国から食品を日本に輸入する時に、「中国はなんだ、衛生管理が悪い」だのね、「こんなことやってる、あんなことやってる」っつって、日本人はずいぶん中国人をバカにしましたよ。しかしどっちがいけないんですかね。これでもし中国がですね、きちっとした環境基準守ってる国だったらですね、もう日本は恥ずかしい限りですね。どうしてこんな国になっちゃったんですかね。





かつてキャラメルのホルムアルデヒド事件ってあってですね、これはもうホルムアルデヒドが別にそんなに危険な量じゃなかったんですよ、量としても。食品に入っているホルムアルデヒドよりかずっと少ない量でした。なのに「入っちゃいけない」と、「そういうものは少しでも入っちゃいけない」と言ってですね、新聞4社がものすごく騒いで、ほんとにほとんど入っていない…規制値なんかよりずっと低いキャラメルを6000万個捨てましたね。





それからよくあったですね。例えば産地偽装だとか、それからもっとひどかったのは、添加物の(記載)順序が逆に書いてあるっつって、新聞が叩いて、その食品を捨てさせたりしました。まぁどういうふうな基準に日本はなっちゃったんですかね。原発という事故を経て、「法規は守らなくていい」と、「これを守れなくてもごまかせるんだ」という考えが非常にまん延したということですね。





一年1ミリシーベルトについて、この前読者の方から質問がありましてね、「一年1ミリシーベルトっていうのは業者側の規制であるから、国民の規制はないんだ」と…。一体なに言ってるのかと思いましたね。いや、その人は真面目な質問なんですよ。そういうことを誰かが発言してるって言うんですよ。





例えば交通規則でね、50キロの制限速度って、運転する人の方に制限速度をかけてんですよ。轢かれる方、はねられる方に制限速度をかけてんじゃないんですよね。義務にしてんじゃないんですよ。当たり前ですよね。なんでも、運転する…危険なことをやる方に規制をかけるんですよ。だから道路交通法では、最高速度50キロって決めるんですよ。





それと同じように、放射線の場合は、放射性物質を扱う人、レントゲンを扱う人の方に規制をかけるんですよ。一般の人は放射性物質もレントゲンも扱いませんからね。だからもちろん一般国民の規制なんてあるはずないじゃないですか。一般国民の規制を決めたらどうすんですかね。放射線扱ってないんですからね。だから業者の規定なんですよ。





こういうね、低レベルの議論が出てくるっていうのは、どういうことなのかな…これがやっぱりこの、3355倍でも健康に影響ないとかね、そういうことに繋がってるんでしょうね。やっぱりもう少し我々は、誠実な日本を作らなければいけない、と。そうしないと本当に自分の身は自分で守らなきゃいけないっていう、私たちが今まで外国人に対して「あの国はダメだなぁ。国は自分を守ってくれない、だからピストル持たなきゃいけない」とか、「いちいち謳(うた)わなきゃいけない」と、「ずいぶん野蛮な国だなぁ」と言っていた国と同じになってしまいます。


※六価クロムの秘匿…東京都江東区と江戸川区にまたがる都立公園周辺で昨年2月と今年4月、有害物質の六価クロムを含む地下水が漏れ出ていたことが都の調査で分かった。処理のため除去した土壌からは環境基準の約220倍の六価クロムが検出されたが、都は「健康に影響はない」として区や住民に連絡していなかった。


※キャラメル事件…2002年6月、無認可食品添加物が使われた様々な食品が回収される騒ぎとなった出来事を指していると思われる。記事中にあるホルムアルデヒドはアセトアルデヒドのことだと思われる。