増税の可否を論評してはいけない・・・最低の公序良俗 (6/22)
テレビ、新聞、雑誌、そして評論家や有識者が「増税の可否」を論じている.でも、あなたたちが戦後一貫して言ってきたことをこんなに簡単に放棄して良いのか?
戦後教育を受けた私は、若い頃から「選挙に行け、選挙に行け」とうるさく言われた.一時は、選挙に行かなければ「悪い奴」と言われたこともあった。
そんなとき、「なぜ、選挙に行くの?」などと質問でもしたら罵倒されたものだ。「民主主義のもっとも大切なことは「清き一票」だ。その権利を行使しないのは国民じゃない!」などと言われた.とくに、「選挙に行け」と国民を叱ったのはテレビ、新聞だったし、「選挙に行かないのは政治意識が低い証拠だ」と非難したのは評論家、知識人などであった。
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でも、なんで投票に行かなければならないのだ?? 2009年に国政選挙に行って、公約を信じ、マニフェストに書いてあることが実施されると信じて民主党に投票した人の権利はどこに行ったのだ??
NHKを始めとした報道、雑誌、月刊誌などは「投票した有権者の権利は消滅している.ウソをついて当選した議員の権利は存在する」というスタンスだが、この考え方は「公序良俗」に反する.
ダマされた方の権利は存在し、ダマした方は権利を失い、罰を受けるのが日本社会であり、法律であり、公序良俗である。
たとえば、訪問販売で予約を取り、玄関のベルを鳴らし、相手の了解を取って説明して、契約書に印鑑をついてもらっても、説明した内容がウソだったら、その契約は無効である.形式が整っているから権利が確定するのではなく、実質が問われる。
さらに具体的に金品を採ったら「詐欺罪」が成立する.だから、2009年の選挙は増税案に民主党議員が賛成したら、その時点で「契約は無効」になるので、賛成した議員は国会議員をクビになる.こんな場合に国会議員をクビにする法律は要らない. もともと国民との契約に違反しているのだ。
そして現実に税金を徴収し始めたら詐欺罪が適応される。首相だからとか、議員だからとか、高度な政治的判断などではない。これはきわめて低度の問題だ.
どんな社会でも「法律に書くまでもない公序良俗」は存在する.選挙というのは「演説し、有権者がそれを聞き、判断して投票する」ものである。演説した内容がウソであることは選挙の概念に入っていない.
候補者は「当選したら自分はこれをやる」と宣言する.それができない場合もあるが、「故意にやらない」というなら当選は無効である.まして「正反対の政策を実施する」場合は、懲罰付き無効だろう。
つまり、これから先も立候補できないなどの制裁が必要だ.その理由は、ウソをついて国政にムダな時間を使ったのだから、何らかの罪が生じるからだ.
仮に増税案が民主党の賛成で可決された場合、日本の選挙制度自体は意味が無くなる.従って、次の選挙までに「選挙制度をどうするか」について決めなければならない。どうするかを決めるのはもちろん「裏切られた国民」である。
まず、第一に2009 年の選挙に民主党として出馬して当選した議員で、増税案に賛成した議員は立候補できないという臨時規定が必要だ.まして「公約違反の行為を強制し、それに従わないと党議拘束で罰する」としているのだから、幹部は永久追放が適当であり、民主党という党に所属している議員は個別の考えや行動によらず立候補できないのもまた当然である.
理由は単純、第一に選挙公約をハッキリ破ったこと、第二に日本の選挙を愚弄したことである。これだけ理由がハッキリしていれば、異論はかなり少ないはずだ.
第二に世界的に恥ずかしいけれど、「重要公約について正反対の政策を実施したり、故意に公約の実施を遅滞したら、議員の資格を失い再選挙となる」という規定を設ける必要があろう。
そして、この規定は贈賄より重たいと思われる.その理由は「贈賄」なら、「金品を渡して投票を依頼する」のだから、「選挙民の希望する政策を実施する可能性は50%」ということになるが、「重要公約と正反対の政策を実施する」というのは「マイナス100%」だからである.
第三に「重要公約に反する政策を実施した場合、国政に損害を与えるので、ウソをついて訪問販売したよりも社会に多大な損害を与えるので、適切な刑罰が必要である.
このような規定を定めるのは日本国として恥であるが、なにしろ国会議員が「ウソをつく訪問販売員」よりたちが悪いことが明々白々なのだから、臨時でもこのような規定が必要だろう.
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問題はテレビ、新聞、雑誌、評論家、有識者がこの問題で立ち上がらないことだ.これは「政治課題」の問題ではない.「増税すべきか否か」が難しい政治課題であっても「選挙を実質的に破壊する」という行為は政治でも何でも無いからだ。
増税は大きな政治的問題であるが、それより「選挙が破壊される」方が巨大である。もし、今回の増税案が可決したら、日本の選挙自体が成立しなくなるのは間違いない.有権者が「選挙演説を信用できない」のだから、選挙自体が実施できない.
このような危機の時にテレビ、新聞、雑誌が「通常の報道」をしているのはいかにも奇妙で、あらゆる危機に対応できず、完全に報道や論説が臨場感を失っているとしか言えない。
思い出せば日航ジャンボ機が御巣鷹山に墜落した時、NHKのニュース番組のアナウンサーがなにか遠くで起こった事故のように人ごとで報道していたことを思い出す.身の回りで何が起こっているのか、それがどのぐらいの問題なのか、瞬時に捕らえる力が求められる。
これは福島原発事故で、現実に福島の子供達が被曝しているのに、記者はすべて福島から退避し、定点カメラだけを残し、「大丈夫」を繰り返した2011年3月の状態が、原発事故でビックリしたということではなく、すでに日本の報道が臨場感を失っていることを示すものだろう.
(平成24年6月22日)
--------ここから音声内容--------
えー、テレビとかですね、新聞、評論家、この人たちがですね、今回の消費税の「増税が良いかどうか」ということを色々議論してるわけですが。私はねあの、そんなことよりか、増税つうのも非常に大きな事ですが、それよりかですね、選挙制度を失うという方が我々には打撃は大きいと思うんですね。
まぁとにかく誰でもが選挙権を持ち、婦人参政権も得た戦後ですね、とにかく選挙に行くことは大切だと、「選挙に行かないっていうのは一体何事か!」っていう風にですね、ずっとされてきたわけですね、「清き一票」である、と。これをですね、特に新聞だったですかね、もうとにかく社説とかそういうのにですね、『棄権することは悪だ!』とかいうようなことをですね、散々書いた時代がありましたね。
ところがですね、今の「増税」。これはですね、私は今の新聞記者とかテレビの報道陣、もしくは雑誌などに論評を載せてるような評論家もしくは識者のですね、試金石ではないかと思うんですね。つまり、自分の今まで言ってきたことはほんとに自分の信念だったのか?、それとも他人からの受け売りだったのか?っていうことですね。選挙っていうのは、選挙民がですね、何かの判断でいくわけですよ。「この人に投票しよう」 「この党に投票しよう」、ま、この頃は「党(に投票しよう)」ですね。
そこには公約があり、マニフェストがありですね、特に数年前、とにかく「マニフェスト政治」っていうんでですね、マニフェストに具体的なこと書いて、「それを実施するんだ!」っていうわけですね。で、ところがですね、現在、NHKはもちろんそうなんですが、「投票した人の有権者の権利はもう無い」って言うんですよ。「嘘をついて当選した議員の権利だけ存在する」と、こういうスタンスですね。これはもう全然、「公序良俗」に反しますよ。つまり、騙された方の権利は無くなると・・・ていうのはダメなんですよ。騙された方の権利は存在して、騙した方の権利が失うっていうのが、現在の日本なんですよ。
例えば、訪問販売してですね、予約を取って、玄関のベルをきちっと鳴らし、相手の了解を取って説明して、契約書に印鑑をついてもらってもですね、説明した内容が嘘だったら契約は無効なんですよ。よくですね、私がこれ話しますとね、「いや、それは選挙で当選して、ちゃんと国会議員の選挙で首相になったんだから、野田佳彦っていうのは首相だ」って言うのがいるんですけど、違いますよ。「形式が整ってるから、権利が確定する」っていうんじゃないわけですよね。「そこで行われたことが、そこの制度に適(かな)っていれば」ということですね。
更にこれ、たとえ可決してですね、我々が買い物するときに消費税つうの取ったら、金品取る事になりますから、これ「詐欺罪」ですよ明らかに、ええ。まず「契約が無効」である、と。で、もちろん賛成した議員ですね、この増税に賛成した民主党議員、これはまぁクビでしょうね、もちろん。それから、自民党とか公明党は良いかっていうと、そうでもないんですよ。
ま、自民党は増税をほのめかしてましたから良いんですけど、自民党はですね、民主党と共同政策しましたからね。これはつまり、「選挙が要らないよ」ということを自民党も公明党も言ったってことですから、やっぱりダメですよね、ええ。
これはね、首相だからとか議員だから許される問題じゃないし、全然高度な政治的判断じゃないですよ。これ裁判になるとね、もう今の裁判官は出世だけ考えてますから、おそらく「政治的な判断だ」って言うでしょうけど違いますよね。ものすごいレベルの低い問題ですから、ええ。
それからもう一つはですね、やっぱりもう一つ考えてもらいたいのは、「法律に書くまでもない公序良俗」ってあるんですよね、ええ。投票というのはですね、その前提があるわけですよ。「候補者が演説をし、それが詐欺ではない」ということです、「嘘ではない」ってことですね。できないことはいいんですが、「やろうと思わない(ことを演説する)」ってやつはダメなんですよね。「有権者がそれを聞いて、判断して投票する」わけです、ええ。ですから、「“当選したら自分はこれをやる”っていうことを宣言する」わけですよね。だから、「故意にやらない」やつもダメでしょうね、努力はしなきゃいけない。
ましてですね、今度みたいに「正反対の政策を実施する」っていうのは、これはまぁ、懲罰付きでしょうね、きっと、ええ。まぁそいから、国政(の時間)をずいぶん無駄にしてますからですね、自分たちができないと思ったときに解散して出直さなきゃいけないわけですね。これはですね、ものすごく大きな問題だと思います。
つまり、増税とかそういうのは一つの政策ですが、今度我々が選挙に行って、どうして投票できるんですかね?例えば、「ある良い事を言ってる人がいる」と、そこに投票しようと思うけど、「その人は多分当選したら絶対にやらない」と、こういう風に思いますからね。それから、「党が何か言う」と、そうすっと、もう「どんな公約違反でも党議拘束する」と、こういう風になるわけですね。現在、党議拘束してますから、民主党の首脳部っていうのはですね、永久に選挙に出てはいけないっていう、やっぱり臨時規定か何か作んなかいけないし、僕らが落とさないけないですね。
まぁそのとにかく、第一に選挙公約をハッキリ破った、第二に日本の選挙制度を愚弄(ぐろう=人をばかにしてからかうこと)したってことですね、ええ。だからまぁ、「重要公約を実施しないような者は、議員の資格を失う」っていう、まぁ臨時規定が要るでしょうね、ちょっと恥ずかしいですけど。これはね、私ね、厳しく取り締まれる贈賄なんかよか酷いと思いますよ。だって「贈賄」つうのは、まぁ「何やるか判んない人を選ぶ」わけですが、今度のものはですね、「公約と正反対の政策を実施する」っていうんですからもう、非常に大きな損害を与えますね。もうこれはあの、訪問販売が与える社会の影響よりかもっと大きいですよ、ええ。
つまり、国会議員は現在、「嘘をつく訪問販売員」よりか質(たち)が悪い。ただ、裁判官とか検事はですね、“長い物に巻かれろ”つって逮捕しないだけで、普通だったら絶対これ、もう何かの処罰ですよね。もう一つは、どうしてもマスコミの問題あるでしょうね、ええ。やっぱり今に及んでですね、「増税の可否」なんか議論してたらダメだと、いうことでこれはやっぱり国民が何らかの措置を取らないけない。これはやっぱり、成り行きの報道をしてるんでしょうね。
ま、私、不意にこういう時って何か変なことを思い出すんですが、御巣鷹山の事故の時にですね、NHKのニュースのアナウンサーが何か他人事のように報道しておりました。あのアナウンサー、どうなったんでしょうかね?やっぱり、今動いてる世の中は何が動いてるのか?というですね、いわば臨場感を持たないってことですね。単に大きな組織の中でもう身動きの出来ない人たちを、今のNHKとか、その他雑誌、報道に見るような気がいたします。“あなたたちも魂がある”と、私はそう呼び掛けたいと思います。
(文字起こし by danielle)