だまされるエネルギー1 「もったいない」には順序がある | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

だまされるエネルギー1 「もったいない」には順序がある (6/16)




「もったいない」といえばなんでも「もったいない」。自分が生きていれば食べるし消費するから、「もったいない」。少子化対策で赤ちゃんが増えれば消費量が増えるから「もったいない」。電気を使えば「もったいない」、車を買えば「もったいない」、家を建てれば「もったいない」。




「もったいない」、「もったいない」と言って冷房をケチり、汗だくでフーフー言っている.一体何をやっているのだろうか? そんなに「もったいない」なら環境省を解散したら良いじゃないか? 会社も解散し、田舎にこもったらどうだ? どうせ東京は食糧自給率1%でピンハネ以外には何もやっていないのだから、東京を止めたら良いじゃないか?



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「もったいない」には順序がある。節約しても日本の発展に影響が少ないものが第一、節約すると発展が阻害されるものが第二、そして節約すると死んでしまうものが第三だ。



そこで、私たちが生活をするものを5つ考えてみたい. 家、車、電気、食料、医療。家は少しぐらい小さくても活動に関係はない。快適さが少し減るぐらいだ。小さければ建築材料も少なくて済むし冷房も節約できる.




車は大きい方が疲れないし、早いけれど、新型カローラで十二分だ.電気は無駄につけるのは問題だが必要な光、冷暖房は人間の活動に直接関係する.食料は食べないと死ぬし、医療はとにかく必要だ.




食料や医療は生存に関係するので、少し別にすると、家、車、電気の中でもっとも「節約してはいけないもの」は電気だ.電気は使用量の応じて活動ができるから、節約するには最後にしなければならない。




でもなぜ国は「小さい家にしましょう」とか「軽自動車を買いましょう」と呼びかけずに「電気を節電しましょう」と言うのだろうか.この原因は単に「電気だけは独占なので高くても売れるので、少なく売っても問題は無い」と言うことだからだ。




トヨタ自動車が「車はできるだけ乗らないようにしましょう」と呼びかけることはない.トヨタの人は少しでも良い車を作り、それを買っていただけるなら本望である.それが環境を悪くするかどうかなどは国民が判断することであって、企業としては立派である.




ところが電力会社は「節電しましょう」と長い間呼び掛けてきた。これには多くの人が違和感を感じていたが、それは「独占しているから、議員と役人を待遇しておけば、電気代を高く出来るからそれで良い」と言うことだったのだ。




そして今、電力会社の経営上の失敗(原発事故)の尻ぬぐいを国民にさせて、日本の活動力を奪っている.それが環境省なのである.環境省は「小さい家を建てましょう」とか「軽自動車の黄色ナンバープレートを白に変える」とは言わない.そうすると「もったいない」の本質がばれるからだ。




環境省はつねに「最終的には消費を増やす」という方向で舵を切る.その一つが「白熱電球廃止、LEDだけ」の路線である.利権だけ、利権だけの世界だ。


(平成24年6月16日)




--------ここから音声内容--------




この世の中、「もったいない」 「もったいない」の大合唱ですが、自分が生きていれば食べますしね、物を消費します。だから、「もったいない」ですね。少子化対策で赤ちゃんが増えれば消費量が増えますから、「もったいない」ですね。電気を使えば「もったいない」、車を買えば「もったいない」、家を建てれば「もったいない」と。もう死んでしまった方が良いですね、これは。「もったいない」 「もったいない」と言って冷房をケチってですね、汗だくでフーフー言って歩いてる人を見るとほんとにね、何をやってんだろうか?と思いますね。





ま、環境省がその中心なんですが、そんなに「もったいない」って言うんなら一番いいのは環境省を解散したら良いんですよね。民主党もあの、衆議院議員80名減らすという公約で全然減らしませんが、「もったいない」ってそれほど言って国民に汗だくにさせるなら、“スーパー何とか”言って汗だくにさせるならですね、別に環境省止めたらそれで良いんですよ。会社も解散したりですねして、田舎にみんながこもればですね、良いわけです。東京はどうせ食糧自給率1%で何にもやってないんですから、東京を止めたら良いんじゃないか?とこういう風に思いますね。





何で我々は、「もったいない」と言って、冷房をケチって、暗いとこに住んで、フーフー言ってんでしょうかね?夏の電気が乗り切れないんだったら、東京止めてしまえば良いわけですね。「環境省は一カ月休止」、全然何も困りません。





「もったいない」には実は順序がありますね。節約しても日本の発展に影響ないのが第一、節約すると発展が阻害されるものが第二、それから節約すると死んでしまうものが第三でしょうね。発展に影響がなけりゃ、とにかくまぁ一応とりあえず節約できるかもしれませんね。ですけど、節約すると発展が阻害されるものはちょっと待たなきゃいけませんし、死んでしまうものはちょっとマズいなということですね。





具体的に考えてみますと、家、車、電気、食料、医療と、この5つを考えますと、家は小さくてもですね、活動には関係ありません、ええ。快適さが減るだけですからね。小さければ建築材料も少なくて済むし、冷房も節約できます。車もまぁ、大きい方がちょっと疲れませんし、速いですから多少その効果がありますが、新型カローラっていうのは非常に良くできてるんで、これで充分でしょうね。全員が新型カローラに変わる、と。ま、役所はもちろん新型カローラ使ってると思いますよ。まさか、あんな大型乗用車なんて議員さんとか使ってないでしょうね、国民にこれだけ呼び掛けてるんですからね。





電気は無駄に使うのは問題であると言うけども、これはちょっと問題で、冷暖房っていうのは人間の活動に関係します。ですからこれはですね、できるだけ節約するなら最後が良いんですね。ま、家を小さくし、車を小さくして、その他、不要不急のものを全部減らして、それが良いかどうか分かりませんよ。節約する…“「もったいない」と言うなら”ですね。だけど、最後は食料は食べないと死にますから、医療もまぁとにかく病気ん時はケチっちゃいけません。





じゃ、この食料と医療をちょっと別にしますと、家、車、電気の三つの中で最も「節約しちゃいけない」のが「電気」なんですね、ええ。「電気を小さく…節約しろ」と言いながら、「小さい家に住みましょう」とか「軽乗用車を買いましょう」と呼び掛けないのは何でか?って言うとですね、実は電力会社からしこたまお金貰ってるので、電力は「独占」にしてるんですよ。これはまぁ、「高くても売れるので、少量売っても問題ない」ということなんですね。国民が困るかどうかなんて何にも考えてないですね。





もしですね、トヨタ自動車がですね、「車はできるだけ乗らないようにしましょう」と呼び掛ければ、やっぱり変ですよね。何故かったら、トヨタの人は少しでも良い車を作って、これを市場に提供し、それを買って頂けるなら本望である、と。もちろん車ですからね、どんなに“環境に良い車”ったって、環境に良い車があるわけじゃなくて、ま、とにかく車を買えばですね、もちろん資源は使うし、ガソリンも使うんですよ。だけどもそれは、人間の生活のクオリティーと共に考えるわけで、企業としては立派な態度ですね。





ところが電力会社はあれ、『ペテン師』ですね。「節電しましょう」って、長い間呼び掛けてくるわけですよ。これにはもちろん多くの人が今までも違和感を感じたわけですが、それはですね、「独占してるから」ですね。「議員と役人さえ待遇しときゃ、電気代を高く保つ事ができる、アメリカの二倍で良い」と、理屈はいくらでも付けられると、こういうわけですね。





それからもう一つ、現在はもっと酷いんですね。電力会社の経営上の失敗、つまり原発事故を尻拭いさせるために、国民に尻拭いさしてんですよ、ええ。これですね、国民以外のところであまり尻拭いしてないんですよ、実は。国民と中小企業に尻拭いさせようとしてるんですね。環境省は「小さい家を建てましょう」とか、「軽自動車の黄色ナンバープレートを白に変えますから、皆さん軽自動車に乗りましょう」とか言わないんですね。





実はですね、「もったいない」っていう言葉は、「絆」とか、そういうのと同じようにですね、「地球に優しい」とかそういう言葉と同じように、「ペテンの言葉」なんですね。ま、「ペテンに使われてる」と言った方が良いんですかね、そういう風に使われてるわけですね。ま、環境省は常に最終的には消費を増やすという方向で舵を切るわけです。





その一つが、「白熱電球廃止、LEDだけにする」なんて路線ですね。私はもう、これについてどういう利権が働いてるか、もう言いたくないぐらいなんですが、あんまり酷いから。ほんとに、「利権だけ、利権だけ」の世界ですね。そして我々が何か、冷房を節約する事が「よい子」の証であるというようなですね、マジックにかかりましてね、NHKなんかがそういうのまた言いますから。NHKを無くしてしまえばもう、膨大なエネルギーが節約できますけどね。





まぁ、そんなことからやれば良いのに、「これをどうごまかすか?」っていうのが必死なんですよ。だから、元々不要なところが頑張るんですね。環境省元々不要です、NHK元々不要ですね、それがバレちゃうんですよ、ええ。バレちゃうもんだからこういうですね、トリックを掛けて、非常にこう入り組んだ論理を組んで、「節電しましょう」と来るんですね。





アメリカ、もちろん節電しておりません、「節電」という言葉もありません。アメリカが多消費型だからじゃないんですよ、物の本質が判ってるわけですね。「エネルギーというのは人間の活動の基であるから、節約するにしても最後である」と、「その中で特に電気は、エネルギーの中でも最も価値のあるものだから、更に節約するには最後である」と。こういう風にきちっと判っていて、アメリカの国内に日本の環境省とかNHKのようなですね、ま、言えば「こうもり」みたいな存在がいないんでしょうね、少ないって言うか力が。もう少し合理的な社会であると、そういうことが言えるんだと思います。



補足:「こうもりみたい」…鳥か獣か区別しにくいところから、態度のはっきりしない者。状況次第で有利な側についたりする者。


(文字起こし by danielle)