男と女の深い関係(2)・・・草食性男子誕生の深層 (6/12)
男と女の深い関係が密かに大きく変化していたのが1950年から1990年までの40年間でした。この時期、男は一所懸命になって「男は要らなくなるように」と言うことに全力を注いでいました。
この活動が終わりかけていた1990年頃、私は「廃人工学」という言葉を使い、「私たち男性は、全力を注いで私たち自身が廃人になろうとしてきた。それは正しいのか?」と書いてきました。それは今の私の発言としての「男は生きている意味を失った」と言うことでもあります.
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1945年に大東亜戦争、つまり日本が戦うのは終わったのですが、朝鮮では朝鮮動乱が残っていましたから、硝煙のにおいがし、さらには見ない太平洋での核実験、インドネシア、ベトナムなどの独立戦争などがありました。
でも、戦争は次第に消滅し、東西ドイツの統一、ソ連の崩壊でほぼ最終的に「戦争のない社会」になりました。
それと並行して、家電製品、NC旋盤、アクチュエーター、電子制御、コンピュータ、高速度通信、センサーなどを発展させ、労働自体を追放していきました.つまり「仕事の追放」です。これによって男性の仕事は大幅に消失、女性は家事労働から解放されたのです.
1000年ほど続いた「男は戦争と生産、女は子どもと家事」という役割分担のうち、戦争と生産がどんどん縮小してきたので、男が存在する意義がなくなってきたのです.もちろん戦争も小競り合いは残りますし、仕事も「仕事を作って仕事をする」というのはありますから、まだ新しい時代の全体像はハッキリしていません.
この時代に、男と女にどのような変化が現れたかというと、男性の「草食化」と女性の「男性の仕事への進出」でした。何しろ戦争がないのですから敵に向かって突撃する勇気は要りません.また大規模工業などが衰退してサービス業主体になったのですから、肉食系より草食系が大切なことは言うまでもありません。
「短期的視野、腕力不要、機械無し、対人関係重視、保守志向、優しい、穏やか」が求められるのですから、草食系男子と女性が望まれるようになったのです。このような社会的な変化の中でやることを失った男性は「亭主元気で留守が良い」とか「粗大ゴミ」という人格を傷つける言葉で呼ばれるようになります。
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現代の世界、アメリカの苦悩、ヨーロッパの通貨危機、日本の停滞などは「男がやることを失った」事に大きく関係していると私は考えています。男性が「長期的視野、腕力、機械に強い、改善志向」が求められなくなって、目先の利益を追求する社会に変わっていったのです.
1000年間の戦争と仕事の時代に形づけられた男性の性格は乱暴なところはありますが、良いところもありました。たとえば、「我が身を捨てても家族や祖国を救いたい」と願って敵に向かって突撃したり、「少しぐらい損をしてもプライドを守る」などです。
なにせ、家族はともかく、「国のため」というような抽象的なことで我が身を捨てるのですから、「長期的視野、プライド」がなければできるものではありません.逆に女性は赤ちゃんのわずかな変化に気を配り、生育を見ていたのですから「今日、明日のこと」と「ともかく子どもを守る」ということで精一杯だったのですから、国のために命を捧げていては赤ちゃんも死んでしまいます.
その意味で、「女性の社会進出」というのは男性の仕事(医療制度、家電製品など)によって「育児、家事」が簡単にできるようになって「滅び行く男性の仕事」に参入してきたことを意味していました.
それに対して男性は自らの役割を失い、「廃人」となってうろうろしています.そのうちの何人かは草食に変化して女性化し、何人かはかつての男性の「長期的視野」によって「不要なこと」を創造して社会を混乱させています.
アメリカの金融騒動、日本やドイツの環境幻想などがそれに当たります.つまり悪い言葉で言えば「マッチ・ポンプ」で、本来は普通の生産活動を支えるお金を、お金だけで仕事になるようにし、本来、環境は良いのに「悪い」という幻想を抱かせて仕事を創造するということです。
このように廃人工学の発達によって、男性も女性も変革期の苦しみの中にいます。それは新しい時代への助走・・・産みの苦しみであり、それが故に日本でもこれほどの矛盾、虚偽、詐欺が追う横行しているのです.
私は自らの役割を自ら崩壊させた男性が、これも自ら「社会の発展のために何をなすべきか」とハッキリさせることがまずは第一にすべきことであると考えています.
(平成24年6月12日)
--------ここから音声内容--------
えー、男と女の関係が、この、大きく変わっていったと、それも密かに変っていったですね。その時期というのは、1950年から実は1990年までの40年間だったんですね。この時期ですね、男のやってたこと、一所懸命になって「男は要らなくなるように」と言うことに全力を注いでいたわけです。これは歴史的なことなんで、あの、まぁ当たり前と言えば当たり前なんですが、気が付いてはいなかったわけですね。
で、ちょうど私1990年頃、この「男をなくそう」という運動と言いますか、活動の最終時期に「廃人工学」という随筆を少し書きます。「私たち男は、全力を注いで自分たちが廃人になろうとしている。それは正しいのか?」というようなことを書いてたわけですね。そのあと私は、「男は(生きている)意味が無くなった」というふうに、ま、言い出すわけです。
これをちょっと振り返りますとですね、私がなぜその時に…今から20年前にそう考えたかっていうとですね、1945年に太平洋戦争‥大東亜戦争が終わりまして、朝鮮動乱は残っていましたし、勿論、核実験あり、インドネシア、ベトナムなどの独立戦争(が)あったわけですけども。
次第に戦争は縮小していきます。更に東西ドイツの統一とか、ソ連の崩壊ということで、ほぼ世界的には「戦争のない社会」というものになるわけですね。この「戦争のない社会」が男性のひとつの役割を無くします。
それと並行してですね、家電製品、NC旋盤、アクチュエーター、電子制御、コンピュータ、高速度通信、センサーっていうのが出てくるわけですが、これらはですね、それまでのいわゆる自動車だとかですね、要するに20世紀全般に出てきた自動車とか、原子力発電と…こういったものと全く違ってですね、自動車とか原子力発電というのは、生産を拡大する‥つまり、仕事の量をどんどんどんどん増やすという方向でやってきたわけですね。
ところが、戦後のこの技術開発というのは、どちらかというと労働をどんどんどんどん減らすという方向に変わっていきます。つまり「仕事を追放」していくわけですね。で、このことによって男性が大幅に仕事を失いました。女性も同時にですね、家事労働からは解放されるわけですね。女性はね、三つあったわけですね、つまり「子どもを産む」 「子どもを育てる」 「家事労働をする」という三つのうちの「家事労働」の部分が無くなったわけです。
で、そうするとですね、「男は戦争と生産、女は子どもと家庭」といううちですね、女の「子どもと家庭」はやや残るというよりか、女の「家庭」もやや無くなって、男はもう完全に無くなるという、そういう状態が生じたわけであります。そうするとですね、そこにおいて男女がどう変化したか、勿論男性は草食化したわけですね。これはあの、草食化せざるを得ない…つまり、戦争も仕事も無いわけですから、優しくなってぶらぶらするという、ま、そういうふうになります。
女性は今度は家事労働が無くなるので暇になって、その捌け口を「男性の仕事へ進出」するわけですね。これまた面白いんですよ。っていうのはですね、男性が仕事を失っていくのに、女性が男性の仕事を取っていくっていうそういう形になったわけですね、結果的にはなったわけですね。
で、勿論この「なぜ草食系か?」と、これは簡単でですね、戦争とか仕事が無いと必要なものは「短期的な視野」‥ここ一週間位のこと。それから「腕の力要らず」。「機械は無くてもいい」、つまり、もう機械はですね、いじらなくてもですね、パッケージになっておりまして、スイッチを入れれば動くわけですから、いいわけですね。それから「対人関係が重要になってくる」し、あんまり改革しなくていいから「保守的」になりますね。それで、「性格は優しいとか穏やか」が求めらるわけです。ですから、当然男子はですね、草食化すると、いうことですね。
で、その中で生まれた社会的な言葉っていうのが「亭主元気で留守が良い」とか、それから「粗大ゴミ」というのは、まぁ人格を傷つけるような、これはもうほんとに女性に対して言ったらですね、一遍で社会的バッシングを受けるわけですが、それを女性が笑いながら言うっていう、そういう時代になるわけですね。
これは男性が仕事を失っていく…戦争と仕事を失っていく過程で起きた社会現象だったわけですね。それで、「そのあとどうなっていったか?」というとですね、それから20年、1990年から私が「廃人工学」ということを言い出してから20年。世界はですね、アメリカがこう非常に今苦悩していますね。ほとんど生産が無くなって、お金と、それからlaw‥法律ですね、その二つでアメリカは今いってるわけです。ヨーロッパもぐちゃぐちゃになって通貨危機になっています。日本も停滞してますね。これは当然だというふうに思います、私は。
「男がやることを失った」わけですね。男っていうのはですね、今まで「長期的視野」があり、「腕力」があり、「機械に強く」て、「どんどん改善していく」というそういう存在でありました。どうしてかって言いますと、そうしないと戦争に負けちゃいますからね。あの「女性の短期的視野」って仕方ないんですよ。何しろ、今日の赤ちゃんの食べ物とか、赤ちゃんの様子がどうなのかってことを考えないと死んでしまいますからね。だからこれはしょうがないわけですね。ところが、戦争をやるってことは長期的視野を持って、機械に強くなきゃいけないし、どんどん改善しないと相手が改善してきますからね。
よくあの家でですね、夫婦喧嘩なんかで、旦那が改善しようと思って、(それなのに)奥さんがまぁ「これでいいじゃないの」って、あれは当たり前のことでですね。男は戦ってる気分ですからね。女性は守ってるわけですから。これはこういうふうになるわけです。これは男がそういう性質とか、女がそういう性質かどうかは分からないんですよ。本当は逆かもしれませんが、いずれにしても、1000年間の戦争で、男性っていうのはですね、乱暴でもあるし、良いところもあったんですよ。これはまあ、またこれもですね、一方向だけではないわけです。
例えば「我が身を捨てて、家族と祖国を守る」とかですね、「敵に向かって突撃する」わけですよ。で、「少しぐらい損をしてもプライドを守る」っていうとこもあったんですね。これはね、「なぜか?」と言いますと、「男はプライドが高い」とかなんか、よく言いますね。「プライドを傷つけたら怒る」と。それはそうでね、あのー、赤ちゃんを守るんでしたらですね、「国のため」に自分が死ぬなんてことをすると赤ちゃんが死んじゃいますからね、できないんですよ。
ところが、男は今度「国のため」という非常に抽象的なことで自分の身を捨てる‥死ぬんですからね。これはやっぱり「長期的視野」とか「プライド」がなければ、とてもできないわけですよ。ですから、「男性がなぜ敵の銃弾に向かって突撃して死ねるのか?」と。なぜ女性はですね、「まぁここんとこはとにかく、今日はとにかく凌いでと、少しでも得な方がいいや」と思うのは、それぞれの仕事の役割が違ってたわけですね、社会の。
で、ところが、まぁなかなか難しくなってきたわけですね。「女性の社会進出」‥例えば、「医療制度が整った」ことですね。赤ちゃんが死ななくなった。「家電製品が自動になった」っていうことで、出産・育児・仕事、三つとも軽くできるようになる。ということで、そこに‥そこでですね、女性がもし創造的なら、女性独自の社会とか仕事とか作ったでしょうけども、やっぱり女性はそのときはですね、創造性はないので、「滅び行く男性の仕事」に参入してきたんですね。
で、「滅び行く男性の仕事」に女性が参入してきたので、最初男性は機械の保全とかそっちの方にいったわけですけども、ますます‥今でもちょっとそういう傾向がありますね。例えば、自動化するのは男性が今でもしてるんですが。自動化する前の仕事はやっぱり女性がまだやってるんですね、社会の。やがてこれが自動化されますから、今度はやっぱり男性‥無くなりつつある男性の仕事に進出した女性もまた職を失うことになります。これはしょうがないですね。
ところが、まだ「長期的視野」を持った男性っていっぱいいるんですよ。この「長期的視野」を持った男性が何をし始めたかっていうと、「不要なこと」を創造し始めたわけです。それがアメリカの金融であり、日本やドイツの環境(幻想)なわけです。言えばちょっと言葉は悪いんですが、「マッチ・ポンプ」なんですね。通常の仕事っていうのは、生産活動を支えたり、そういうことをするんですが、そうじゃなくてお金だけで仕事をする、と。環境は悪くないのに「悪い」と言うという、そういうですね。自分で作って自分で騒いで自分で稼ぐっていう、そういう男性が非常に多く現れました。
現在、日本の官僚の問題が言われてますけど、官僚がまさにこれですね。昔のようにですね、日本列島を改造する、大規模工業団地を造る、戦争を計画するってことになると、これは実体的な仕事なんでありますけども、今の官僚は数だけはいますけども、何もやることがないんですよね。ですからやっぱりまぁ、官僚が悪いことするってったって、これはもう、仕方がない。何もやることのない世界ですからね。
この前、ある県の施策を聞いておりましたらですね、何の関係もないのにその県はですね、一生懸命おままごとみたいな太陽電池を作って、それを使って、子どもたちと遊ぶっていうのを、金掛けてやってるんですよね。これはまぁ、当然の勢い、ということですね。
今はですね、廃人工学の発達によって、男性の仕事と女性の家事という二つのことを失ってですね、産みの苦しみ‥新しい時代への産みの苦しみの中にいるわけです。そこで、日本もですね、原発の事故をはじめとした、矛盾、虚偽、詐欺というものが横行する、と。まぁいうことですね。
私が実は、ずーっとメッセージを送っているのは、「男はもう生きる価値無いよと、社会で」と。だから今度は自分たちで「社会の発展のために男性は何をなすべきか?」ということをハッキリさせるのがまずは男性の役割である、というのが私のまぁ、最初のメッセージなわけですね。今後このシリーズを続けていって、「いったい新しい時代っていうのは男性はどういうふうになるのか?」と、それに伴って「女性もどうなっていくのか?」ということを明らかにしていきたいと思っています。
(文字起こし by haru)