時事寸評・・・国民投票、総選挙、そして元首相 (6/4)
菅前首相が「原発の選択を国民投票で、あるいは総選挙で問うべき」と発言した。すでに福島原発事故が起こって次のことがわかっている。
1)原発は危険なものだ、
2)被害は地元だけに留まらず、日本全体に及ぶ、
3)政府は隠しごとをしていたし、する。
従って、原発の選択は政府(首相などの決断)や国会などでは決めることができず、解散総選挙で国民の判断を待たなければならないが、困ったことにこれもダメである。
自民党も末期は「解散すると敗れる」ということで任期ぎりぎりまでやって敗北した。自分たちが支持されていないことを承知で政治をするのだから、その意味では自民党も民主党も選挙自体、民主主義そのものを支持していないことは明らかであり、これほど明らかでも報道も評論家も厳しく批判しないことは不思議である。
前の選挙で民主党が政権を取ったが、そのことによって現在の日本は総選挙について次のような状態にある。
1)選挙で主たる公約としたことの正反対が行われる、
2)公約と正反対なことに首相が「政治生命をかける」ということが起こる、
3)従って、総選挙は意味が無い。
来年の総選挙に原発が争点になっても意味は無い。というのは、原発反対を公約にした政党が政権を取ったら「原発推進に政治生命をかける」と変化するからだ。その意味で、
1.今、民主党政権が解散を決めるか(公約を変更)、
2.あるいは増税案を撤回するか(公約重視)、
3.総選挙に変わる制度を作るか、
その3つしか選択肢がないと考えられる。
「国政」というのは簡単ではない。また「国の首脳部の発言」は小学生の発言ではない。「原発は安全と言っていて爆発したのに、首脳部が引責しない」とか、「増税無しを基本政策にしたのに増税に政治生命をかける」ということを一度やってしまったら、後戻りはできない。
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また、菅前首相の発言という意味では、「前首相や元首相のなし得ること」、「元首相の言動をマスコミはどのぐらい報道するのか」について、見識を示さなければならない。
これまでの世界の各国の動きは、元大統領や元首相は儀礼的・平和的外交や儀式でその役割を果たすということで、特に今、天皇陛下がご高齢なこともあり、元首相は「見るからに立派な人だ」ということを「儀礼的活動」で示すべきであろうと思う。その意味では今回の菅前首相の発言は不適切である。
(平成24年6月4日)
--------ここから音声内容--------
この社会には当然なものというのがあるんですが、ま、当然なものでもですね、やっぱり当然な事は言わなきゃいけないとこう思いますね。えー、菅前首相がですね、「原発の選択を国民投票でやった方が良い」と言って、「そのあと総選挙で問うべきだ」と、来年の総選挙、つまり任期満了した総選挙で問うべきだという風に発言しております。
すでに原発についてはですね、誰もが同意する事があると思いますね。
1) つまり「原発は危険なものである」と。これ仕方がないですね、事故起こりました。
2) それから「被害が地元だけに留まらず、日本全体に及ぶ」ってことですね。これもあの、地元の同意を得たとか、それから地元が了解すれば良いといったもんではなくて、原発はもちろん福島県全体とか、福島県ばかりでなくて東京とか、岩手県まで影響がある。またもしくは経済とかですね、物流、食事という意味ではですね、日本全体に及ぶということはハッキリした。
3) そいから「政府が隠し事をする」っていうことは明らかになり、また「これからもするだろう」と予想されるわけですね。
従って、原発の選択はですね、上の1、2、3から言って政府とか首相が判断できる事ではなくて、国会でも判断できずにですね、やっぱり国民の判断、だから国民投票か解散と、まぁいうことで判断を待たなきゃいけないんですが、これもダメなわけですね。
ええと、非常におかしな現象だと私は思います。というのは自民党は末期はですね、「解散すると負ける」ということで任期ギリギリまでやって敗北しました。つまり、これは何ていうかって言うとですね、「自分がもう国民から支持されてないということを十分に知っている、それで政治をする」っていうんですから。
これはもう、心ん中では「民主主義は全く信用してない、民主主義よりか自分の身」ということですからね。つまり「国民が自分たちを支持していないから解散できない」ということは、「自分たちがやることは国民に支持されてない、支持されてなくても政治を行って良い」と、これはお殿様の政治であります。
それに対して新聞だとか、それから評論家ですね、もう政策は実行しないぐらい批判しなきゃいけないんですが。まあ、日本らしくてですね、その「どうせダメだ、この民主党は。みんなも民主党を支持してないのが分かっている。だから言わなくて良い」と、こいういうことで政治が行われるわけですね。
で、民主党の今の状態っていうのをもう一回整理しますと、
1) 選挙で主たる公約にしたことの正反対のことが行われる。
2) 公約をしないんではなくて、正反対のこと行われてる。例えば、「増税」というですね、公約と正反対のことに首相が「政治生命を懸ける」と。一体、主要な公約と首相の政治生命が正反対であると、「増税」と「減税」と。ま、減税とはっきり言ったかどうか分かりませんが「増税なき財政再建」、もしくは「増税なくして高校の授業料無料化だとか、高速道路無料化とか色んなことをやる」っていう風に宣言したわけですね。
3) 従ってですね、ここの驚くべき結論が登場します。それは「総選挙自体が意味が無い」ということです。
つまり、来年の総選挙に原発が争点になってもですね、原発反対を公約にした政党が政権を取ったら、「原発推進に政治生命を懸ける」わけですから、これダメなんですよ。
その意味ではですね、どうなるかって言うと、
1. まず「今、民主党政権を解散を決める」、つまりどうしたってですね、任期は絶対任期までいかない、と。
2. それから「増税案を撤回する」、ま、これは公約を重視する。
3. もしくは「総選挙に代わる制度でなくちゃいけない」、例えば重要政策を毎回、電子投票にするとかですね、「国民投票を頻繁にやるという方式にしなければならない」ということですね。
つまり信用を回復する、日本を建て直すためには、今この3つのうちどれかをしなきゃいけないってことですね。
私はね、「国政」というものは簡単なもんじゃないと思うんですよ、そんなこと言ったらみんなに当たり前だと言われますけど。「国の首脳部の発言」っていうのも、小学生の発言とは違うと思うんですね。ですから、原発というような国が進めていた政策を「安全だと言ってたのに爆発した」と、これは「首脳部が必ず引責辞任」しなきゃいけませんよ、これは当たり前ですね。これ何て言うんですか、今でもですね、原子力発電所を爆発させた人たちが同じように仕事をしてるっていう・・・どうなったんですかね?
それから「増税なしを基本政策にしたのに増税に政治生命を懸ける」。ま、こういったことはですね、一回やってしまったらもう後戻りもできません。つまり、責任者が責任取らないってことがハッキリしてますからね。こういったことは、私はですね、このブログばかりでなくてですね、首脳な…主要な日本の人たちが頑張って欲しいですね。経済評論家、政治評論家がですね、一回解散総選挙があったからって、日本の政治がゴチャッといくわけじゃないんですよ。
まぁまた変な屁理屈が最近あってですね、「総選挙すると金がかかる」とか、いや、そういう問題じゃないんですよね。またですね、ちょっと角度が違うんですが、これだけ政治が間違ってるので菅前首相の発言もですね、何か良いような感じはしますが、「前首相とか元首相の成し得る事」、それから特にですね、「元首相の言動をマスコミがどのくらい報道するか」ってことについて、これは首相側もマスコミ側も見識を示さなきゃいけないですね。
大体ですね、やっぱり元大統領、元首相というのは儀礼的・平和的外交とか儀式とか、そういうもので役割を果たすわけです。特に今、天皇陛下がご高齢ですからね。元首相っつうのは「みんなから一応尊敬を受けてる人」なんですよ。だから「儀礼的活動」が良いんですね。今の首相が尊敬を受けないということもあるんですが、ま、一応尊敬してですね、やるということが大切で。
その点では、政策的に最も重要なとこに踏み込んだ今度の菅前首相の発言というのも、これはやっぱ不適切であるということですね。外国に儀礼的に行かれても、全く儀礼的に留まりですね、現在の政治に影響を及ぼさないような活動をされて帰ってくるっていうのが、やっぱり元首相の見識だと私は思います。ずいぶん酷いことになりましたが、これはですね、我々の国ですから我々自身で建て直す必要があると思います。
(文字起こし by danielle)