原発短信 腐葉土と日本の国土の汚染 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

原発短信 腐葉土と日本の国土の汚染 (6/2)




セシウム入りの腐葉土が販売されています。読者からの情報では腐葉土で1キログラム200ベクレル程度のものが普通に販売されているようです。1キログラムを1平方メートルに直すとおよそ1万3000ベクレルになりますから、一回限りなら放射線障害防止規則の基準以下になります。




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でも、この腐葉土を3回使うと基準値を超えますので、庭に使っている人はこれまでより少なめに腐葉土を使う必要があるでしょう。もともとの土地自体は汚染されていなくても、腐葉土という形で全国で汚染された商品が運搬されますと、少しずつ日本列島が汚染されます。



ここで問題なのは、


1)これまでの法律は、大規模な原発事故を想定していないので、繰り返し汚染度の低いものを移動したときの規制がない、


2)学問的にも計算されていない、



3)現在のところ政府は「低線量被曝が全国的に広がった時にどの程度の健康被害が国民にもたらされるか」について全く知見がなく、根拠なく、ただ今の政治をうまく進めるということで「大丈夫」と言っているに過ぎない、



4)政府に追従して「大丈夫」と言っているコメンテーターなども根拠を持っている訳ではない、



5)最終的に健康を害して苦しむのは「大丈夫」を信じた人たち、


ということになります。



千葉県柏市の土で1キログラム2567ベクレルが見つかっています。これは1平方メートルあたり約17万ベクレルになり、基準値4万ベクレルの4倍以上に当たります。栃木県那須では2万ベクレル以上のものも出ています。





お手伝いさんたちのブログ 放射線障害防止規則(厚労省、放射線の障害を防止するための国の法規)の第28条に「1平方メートルあたり4万ベクレル以上のところは直ちに東電が除染する」とあります(条文には東電などの字はありませんが)。つまり、国は国民に対して「放射線の障害を防止するために」、公僕である公務員が「土壌を除染する、もしくはさせる義務を負っている」ことを示しています。




これらのデータは個人の努力でなされていますが、マスメディアはこれほどのことが起こったのですから、毎日、詳細に汚染状況をレポートして国民に知らせ、国立環境研究所などは、現在の日本の環境問題でもっとも大切な「放射性物質による国土の汚染の拡大とその阻止」について出来るだけ早く、有効な情報の提供をしてもらいたいと希望します。



誠実に仕事をすること、それが現在の日本の大人に求められます。

(平成24年6月2日)



--------ここから音声内容--------




えーっと、各地で土とか腐葉土がですね、かなり汚れてるというデータがあります。ここではですね、えーっとその中で特に汚れた物ではなくて、むしろ汚れ方が…汚染の程度が少ない物をちょっと取り上げましてですね、大丈夫だって言ってる人を何度も説得したいんですけども。





例えば腐葉土で1キログラム当たり200ベクレル程度の、まあ、物をですね、これ自体は実は規制に入るかどうかちょっと微妙なとこなんですね。えー1キログラムが一応100ベクレル以下の物が普通の物で、100ベクレル以上は一応低レベル廃棄物ですから、ただ法律に反してるかどうか、ちょうど微妙なギリギリのとこなんです。こういった物が、しかし普通に庭に、こう、敷き詰められますと、大体1平方メートル当たり13000ベクレルぐらいになる。





従って1回限りなら良いかなって感じなんですが、腐葉土なんていうのは繰り返し使いますからね。3回これ(を)使いますと基準値を超えます。だからその点では、自衛策としてはですね、庭に使っている人が腐葉土を使う場合ですね、汚染されていればやはり土地を汚さないために、あまり使わない、と。





それからこういう物が腐葉土という形で全国に飛散しますとですね、やっぱり少しずつ日本列島が汚染されると、こういう事になりますね。まあこれについては、私まあ、このブログでも再三呼びかけてるんですけども、1つ1つの物がですね、200ベクレルだから良いじゃないかとか、1000ベクレルだから良いじゃないかっていうんでは無くてですね、やっぱりもう少し原子力関係者、国の方々ですね、それから国立(環境)研究所の人なんかはですね、もう少し真面目に正面から見てもらいたい様に思うんですね。





えー1つはですね、これまでの法律っていうのは大規模な原発事故を想定していないので、繰り返し汚染度の低い物が移動した時の状態が、規制も計算も無いんですよ。で、これはですね、今、大丈夫だ、大丈夫だって言ってるんですけども、全然大丈夫だという学問的な根拠って全く無いんですよね。えーつまり、えっと、医学的に1回だけ触れるっていうんだったら良いんですけども、毎日そこで生活する場合ですね。腐葉土を毎日使う場合に、どうであるか、という事については、必ずしもハッキリしないんですね。





で、もちろん低線量被曝については学問的にはっきりしないわけですね。データが無いわけじゃないんですよ。データはあるんですが、学問的なレベルまで、まだ行ってない訳ですね。従って現在では大丈夫だって言ってるのは全く何の根拠もありません。ただ、今の政治を上手く進めるためで、大丈夫だと言ってるに過ぎませんね。





で、例えばあの、テレビなんかでもコメンテーターで『大丈夫だ』って言ってる人はただ政府に追従してるだけでデータ持ってるわけではない訳です。で、最終的に苦しむのは「大丈夫」を信じた人なんですよ。これがちょっと悲しいわけですね。大丈夫と言ってる人は本当に自信があって、それで大丈夫、根拠を持って大丈夫って言ってるんだったら良いんですけど、そうじゃないから困るんですね。





まああの、柏市…千葉県柏市の土で1キロ2567ベクレル見つかってます。まあそれ以外に挙げればですね、栃木県の那須なんかで2万ベクレルぐらいありますから、これの10倍ぐらいまであるんですけども、これでもですね、柏市の土でも1平方キロメートル当たり大体17万ベクレル相当ぐらいになって、基準値の4万ベクレルの4倍以上に当たってる訳ですね。





私、これも再三言ってるんですが、国はですね、冗談で法律作ってるんじゃないんです。国民との約束なんですね。えー、第28条に1平方メートル当たり4万ベクレル以上の所は直ちに東電が除染するとある訳ですよ。勿論、条文には東電とか無くて、東電の代わりに、えー、例えば汚染した人とか書いてあるだけですけどね。





つまり国は一体何で税金貰ってるのか、と。これハッキリして欲しいんですよ。国民に対して放射線障害を防止するという法律を作り、そのために公僕であるんですよ、公務員は。だから法律に基づいて土壌を除染するか、それをさせる義務があるんですよ。これねえ、何か私と噛み合いませんね。私の、国とか自治体っていう感覚はですね、きちっと法律を守って国民を守ってくれるために、市役所とか、そういう所に勤めてるんじゃないかと思うんですよね、僕は。だけども『何でもありません、何でもありません』って、『何であなたそんな事言うんですか』 『いや、仕事したくありません』それじゃ、ちょっと困るんですよね。





それからもう1つはマスメディア。それから国立環境研(究所)みたいなもんでしょうね。これ毎日のように汚染の状況をレポートし、且つ、私が三重県のある方の測定データで、まあ2015年ぐらいになると、かなり汚染しますよってデータ出しました。そうしましたらね、これマスメディアは逆に私を叩いたりしてるんですよ。そんな事、全然何の意味も無い訳ですね。





って言うのは、我々は国民に対して原子力発電所は大丈夫だと言って、やって来たっていう、この原罪意識っていうかね、罪。国は罪を負ってるんですよ、ええ。それを償わなきゃいけないんですよ。原子力関係者・専門家はですね、何か居丈高になってますけども、罪があるんです、我々は。だからそれをどうやって償うのかと、私、言ってるんですね。





それはですね、やっぱりデータをどんどん出して、それに解説を付けて、そして国民の多くの人がですね、原子力発電所の事故が起こったって事は本当に申し訳ないんですけども、それを超えてですね、やっぱり早く、健康障害が万が一にも出ないように措置をする、と。まあ僕は福島県のある医者が言ってる様にですね、100人に0.5人、1000人に5人ぐらいの患者さんしか出ないから良いだろうなんて、そんな事ね、私は口が裂けても言えません。1000人に5人、1万人に50人、10万人に500人出る患者さんがですね、どういう気持ちなんでしょうかね。『そんな事だったら原子力発電所やって欲しくなかった。あなた達が安全だって言ったじゃないか』と。





しかもですね、その後守ろうと思ったら守れるんですよ。被曝を避けるという事をすれば良いんですからね。私はね、誠実に仕事をする事、これを日本の大人の人に求めたいですね。是非そうして頂きたいと思います。

(文字起こし by まあ)