NHKの中学校教育報道・・・2重の犯罪性と善良な習慣への挑戦 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
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NHKの中学校教育報道・・・2重の犯罪性と善良な習慣への挑戦 (5/15)




瓦礫の搬出が大きな政治・社会問題になっているとき、NHKと環境省が組んで、東京の中学校で瓦礫の搬出を巡る討論をさせ、その様子を放映した。全体としては中学生も「恩」、「可哀想」などを根拠に瓦礫の搬出を支持しているような編集だった。



この番組は、2つの点で明白な犯罪であり、また日本のこれまでの善良は習慣への挑戦である。これほど明確ならさすがの検察が動くだろう。



第一は放送法第3条の2の違反。
放送法第3条の2は放送が社会に与える影響を考え、中立的放送をするように決めている。その骨子は、異論のある場合は2つの考えを同時に報道すること、公序良俗に反する放送をしないこと、である。瓦礫のように明らかに国論が2分されている時、瓦礫搬出推進の環境省だけの場面を報道してはいけないということである。また、瓦礫の搬出は法律違反(低レベル廃棄物関係、およびクリアランスレベル関係)であるから、それを破っても良いかどうかという教育を放送するのは公序良俗に反する。



第二は放射線同位元素などの法律の違反と法律違反教唆である。瓦礫のほぼ90%は低レベル廃棄物に相当し、普通なら原発の敷地などから持ち出せないものである。たとえ事故が起こっても本来は持ち出せないものだから、移動や焼却などという処理は出来ない。また、基準値は法令(国会など)で決まっているので、政府(行政)が勝手に8000ベクレルなどという基準を作ることは出来ない。



放射性物質を含む物体は、そのもの自体が法律に該当しなくても、移動、処理、焼却などの過程で法律に触れる濃度になってはいけない。だから、普通の施設(放射性物質を取り扱えない施設)での焼却では灰も1キロ100ベクレルを超えることは出来ない。その意味で2重に法律違反である。



第三に教育の自由を定める憲法違反もしくは子どもと教育を尊重する日本の善良は習慣に対する驚くべき挑戦でもある。国民全部から受信料をとっている放送局が、国内で激しく賛否が分かれているものを片方(環境省)だけを学校に呼んだ中学校の放送をするのは、何ということだろう。



子どもを出汁にして、社会を洗脳しようとするハッキリとした意図が見られる。



NHKの経営委員長が東電の取締役になった。「経営委員会は番組に影響を与えない」などと「社会は全員、善人だ」ということを前提としたような形式的な話で、「李下に冠を正さず」を思い出す。


(平成24年5月15日)



--------ここから音声内容--------




このブログでも取り上げましたけれども、NHKの中学校の教育についての報道はですね、読者からも多くの反響がありました。これはですね、今、瓦礫の搬出が良いかどうかってこと、大きな政治的な問題になってるわけですね。それをですね、NHKが環境省のですね、官房長と組んで、東京の中学校で瓦礫の搬出を巡る討論をさせると、それを放送させる。どちらかと(言うと)中学生も「恩」「可哀想だ」とかいうことを根拠にですね、まぁ支持するという・・・瓦礫の搬出を支持する、と。





そこではですね、瓦礫が低レベル廃棄物であるとか、それから瓦礫の搬出によってですね、日本国土全体が汚れるとか、それによって子供たちが被曝してガンとかそういうのがどのくらい出るのが判らないとかいう、そっちの方は全く多分触れられなかったと思いますね。ま、番組は詳細に放送されたわけじゃないので、そこでどのような説明が行われたか分かりませんが、いずれにしても「NHKと環境省しかいない」んですからね。





これは二つの点で明白な犯罪で、一つは非常に善良な習慣の挑戦という三つ問題があります。一つはですね、放送法第3条の2ですね、有名な。これはですね、放送が社会に与える影響が大きいんで、中立的な放送をするようにと、異論があれば必ず二つの考えを同時に放送するんだと、それから公序良俗に反するような報道をしないんだということがまぁ、とにかく前提なんですね。ま、これは非常に大切な法律なんですよ。





瓦礫のように、現在明らかに国論が二分されてるときにですね、「瓦礫(の搬出)を推進するその役割を持っている、環境省だけの側面を放送する」と。で、一方では瓦礫の搬出が法律違反である、例えば低レベル廃棄物関係、クリアランスレベルの関係の法律に違反するわけですから、それを破って良いという放送をするのは、これは明らかに公序良俗に反しますよね。





えーそれからですね、もう一つは法律違反教唆(きょうさ=他人をそそのかして犯罪実行の決意を起こさせること。)であるってことなんですね。これは文科省の放射性同位体元素などの法律、それから瓦礫の方は90%が低レベル廃棄物に相当するわけですから、それを自由に焼却なんかできないわけですね。こういったその、日本の「法治国家であるということを中学生たちが破る発言をさせる」ということですね。





まぁ非常に色んな点でおかしいわけですね。つまり、放射性物質がある程度含まれるものは、処理してる過程で高い放射線になりますから、それを全部含めて守んなきゃいけないわけですからね。もう一つ、私はこの問題でそういった法律違反とか、第3条の2の違反つうのありますけども、それ以上にですね、やっぱり日本の善良な習慣に対する挑戦だと思いますね。





やっぱり日本はですね、子供にですね、やっぱりすくすくと育ってもらいたいということで、政治的な非常に話っていうのは小学校とか中学校ではちょっと控えて、学問とかそういうものを中心に教えるというのが今までのやり方だったんですよ、ええ。それをつまりですね、「子供をダシに使う」っていうね、それはまぁ戦前、第二次世界大戦の直前はそういうこと行われましたけどね、だけどそれは深く反省されてるはずなんですよ。





ましてNHKのようにですね、国民全部から受信料取ってるところが、国民で議論が激しく分かれてるところ、かたっぽ(片方)の肩を持ったらですね、逆の意見の人はNHKの受信料払いたくないに決まってんじゃないですか。自由な放送ならいいですよ。強制的に受信料取ってるところがですね、国論が二分してるようなものを放送するっつうのは・・・片っ方に寄ってですね。





ま、NHKの経営委員長が東電の取締役になった、今の時点で「東電の報道が非常にNHKと関係してるんじゃないか」と思われるときにですね、「経営委員会は番組に影響を与えない」っていうのはですね、非常にこう形式的で、「まぁ社会は全員、善人であるからいいんだ」っていうような形式の話は、まぁ通じないわけですね。





やっぱり、「李下に冠を正さず」(りかにかんむりをたださず=人から疑いをかけられるような行いは避けるべきであるということのたとえ。)、この時期にですね、NHKの経営委員長が東電の取締役ってのはもう考えられないことですよね、この人事は。しかし、このようなことが白昼堂々やられるということはですね、もう『NHKが終わった』ということですね。





私最近ね、“NHKのニュースっていうのは、あれドラマなんだ”と言って、割合と賛同者多いんですよ。「あ、それ確かにドラマですね」と、あれは。社会の本当に一局面しかやらないし、自分たちの都合の良いことしかやりませんね。この頃なんか「瓦礫を引き取ろう」とか「震災で助けよう」とか何かやってますけど、ちょうど5、6年前ですね、「明日のエコでは間に合わない」つうの毎時間流してました。「明日のエコでは間に合わない」とか言ってですね、タレント使ってやってましたよ、あれ思い出しましたね。





あれは「洗脳教育」なんですよ。NHKが洗脳教育をやるっていうのは、全く放送法に反すると私思いますね、許しておけないことだと思います。これでみんながですね、段々段々そうなって日本は変なとこに連れて行かれて、この前の戦争起こったんですから。やっぱりこれには多くの人が反対しなきゃいけませんね。


(文字起こし by danielle)