副流煙・・・受動喫煙について(その1) 女性の肺がん(腺がん) (5/4)
このブログをお読みになっている人のほとんどが「タバコの副流煙は有害だ」と信じて疑わないと思います。でも私は「自分の目でデータを確かめて納得してから」しか自分の考えを述べないようにしています。なにしろ、今の日本社会は、たとえば温暖化にしてもIPCC(国連の機関)は「温暖化すると南極の氷は増える」と言っているのに、日本人は英語を読まないだろうと高をくくって国内では「減る」と言うぐらいですから、油断できないのです。
(多くの人は今でも「政府はウソをつかない、NHKは本当のことを言う」と信じておられますが、決定的なことで事実と違うことを言って来たのです。原発でも「震度6で壊れる」ということがわかっていたのに「政府が安全だというから安全だと報道しても問題は無い」というスタンスだからです。副流煙もまずはそのように考えて調べています。)
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副流煙はまず次の2つの問題があります。
1) 世界で最初に副流煙の害について論文をだした厚労省の平山論文は事実記載に乏しく、データの提出と求められても提出に応じなかった。
2) タバコの追放を続けているWHOは副流煙の健康被害について調査をしたことろ、副流煙の環境にいた人の方が肺がんが少なかったので、発表を見合わせた。
そして、より具体的には、2008年に厚労省が発表した多目的コホート研究があります。これはタバコを吸う人と一緒に住んでいた女性がどのぐらい肺がんになったかという調査です。調査は対象者が2万8千人で期間は13年間。調査中に109人の人が肺がんと診断されています。
特にこの研究では4種類の肺がんのうち、主たるものである腺がんに絞って整理をしています。腺がんは肺がん全体の約3分の2ですから、109人のうち約72人が腺がんと推定されます(詳細なデータは公表されていない)。従来の研究では腺がんのうち、2割が女性の喫煙者で、もともと女性の喫煙者は2割ですから、タバコを吸っている人の割合と、腺がんの割合は一致しているということでした。
ところが、この調査では女性が喫煙せず、夫が喫煙している場合、腺がんが2倍に増えたと書いてあります。このときに夫の喫煙率は50%ですから、72人のうち、14人が喫煙者ですから残りの58人がタバコを吸わない女性で、そのうち29人が夫がタバコをする女性、29人が夫がタバコを吸わない女性となります。
「タバコを吸っている夫とともに生活している女性は腺がんが2倍になった」ということが本当なら(数字が発表されていないので怪しいが)、腺がんのうち39人が夫がタバコを吸っていて、19人が吸っていないということになります。「変わらない」という結果に対して、わずか10人の出入りで「2倍」という数字が出てきています。2万8千人の13年間の調査という触れ込みなのですが、その実体は10名の前後で2倍になったりならなかったりするということなのです。
つまり、もしこの10名が統計的なばらつきではないとしても(タバコと肺がんの全体的な関係でも同じですが)、タバコをすう夫と一緒に住んでいる女性は1万4000人で、そのうち、10名が「夫がタバコを吸うために腺がんになった」ということですから、その可能性は1400人に一人ということになり、確率は0.07%にしか過ぎません。
とうてい、「夫がタバコをすると妻が肺がんになる」などと言うことができる数字ではないのです。逆に「夫がタバコを吸っても妻が肺がんになることは希だ」と言った方が科学的には正しい程度の数字です。また良心的な学者なら大きな母集団の中で29人と39人でこのぐらい大きな違いを言うのに良心の呵責にさいなまれるでしょう。普通なら「調査したがハッキリした結果は得られなかった」というと思います。
ところでこの報告のきっかけとなった有名な平山論文(論文と呼べるものかどうか怪しいが)ではタバコを吸う夫とともに生活をしていた40才以上の「タバコを吸わない妻」約92000人を調査し、そのうちの174人が肺がんで死んでいるので、「タバコを吸う人と一緒に生活していた妻は肺がんになる」という結論を出しています。
この場合は、「タバコを吸っていた夫とともに生活し、肺がんで死んだ妻」は、6500人に1人という低率です。6500人のうち1人が肺がんで死んだという事実を正直に表現すると、「夫が喫煙者でも肺がんにはならない。極めて希に肺がんになる妻もいるが、あまりにその割合が低いので、他の原因も考えられる」とするべきでしょう。
というのは、肺がんの原因は、タバコの他に、排気ガス、空気の汚れ、核実験の放射性降下物、台所や家の中のほこり、農薬や殺虫剤の粉など多種類があるからです。これらの発ガン率の範囲に入ります。
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科学としてこの調査を見ると、「タバコ以外の要因」をまったく無視しています。おそらくタバコを吸う家庭の平均収入は、吸わない家庭に対して低いと考えられますし、町中のアパートに住んでいる人が多いと考えられますので、自動車の排気ガスもより多く吸っているはずですし、衛生環境自体も望ましくないでしょう。
科学的に整理するもので、何かに注目するのは良いのですが、注目したもの以外の原因を無視すると正しい結果は得られません。温暖化騒動が盛んだった頃、「最近は気温が高くなった」ということと「最近はCO2濃度が上がっている」という二つを結びつけて、「CO2が上がると気温が高くなる」という人がいました。気温は太陽活動や都市化などいろいろなものが関係しますから、CO2にだけ注目すると、CO2が原因という結果が得られます。
当時、私はそのような説明をする学者に、「最近、私の年齢が上がってきていますので、私が歳を取ると気温が高くなるのではないですか?」と冷やかしたものです。このデータは日本の厚労省などが「副流煙は危険だ」という基礎的なデータになっていますが、実に不誠実なものであることがわかります。
このほかにもアメリカ保険局などのデータがありますが、いずれも「結論ありきで整理した」というもので、とうてい、国民の健康を心配したようなまじめなものではないものばかりです。大きな研究費と出世が絡んでいる研究を私はイヤと言うほど見てきましたが、その多くがこのようないい加減なデータで決定的なことを言う場合が多いのです。
学問への誠実さ、研究者の倫理をシッカリしてもらいたいものです。実はこの研究グループのトップが食品汚染の暫定基準を決めるときに「食料が足りなくなるから、基準は高くする」と発言した人で、セシウムで1年5ミリ、全核種で約17ミリの被曝を給食でさせました。このような人は、いつもその時、その時、ですね。
(平成24年5月4日)
--------ここから音声内容--------
ええと、副流煙の問題、タバコを吸ってる人が横にいるっていうような問題ですね。ま、特に女性で、夫がタバコを吸うときにどのくらい危険であるか?と。ま、これについても、もう先入観すごいですからね。ま、リサイクルは資源の節約になるとか、CO2で温暖化になる、と同じように、もう信じてる人が多いんですよ。
しかし私はですね、「テレビで言ったから」とか「新聞に書いてある」っていうんじゃあ、なかなか自分の意見にはしないんです。やっぱり「自分の目でデータを見て、納得してから」っていうことですね。
しかしこれ日本で難しいのはですね、データそのものがおかしいんですよね。ま、その典型的なのは、私が言ってるようにIPCCの国連機関の報告、IPCCは「温暖化すると南極の氷は増える」と、ま、英語を読めばそう書いてある。日本語を読むと、「減る」と書いてあるっていう、これ環境省の悪さですけど。こういうのがありますからね。ま、油断できないわけですね。
ま、だけど、これについて、今では少しの人が耳を傾けてくれるようになりましたけどね。昔はあの「政府はウソつかないんだ」 「NHKはほんとのこと言ってんだ」 「武田は何言ってんだ」なんつってですね、「じゃIPCC読んでくださいよ、英語ではですね、『・・・gain in mass・・・(集積して増える)』ってなってんです」とか何とか言ってですね、大変だったんですけどね。
原発でもそうです。ま、震度6で倒れる、壊れるってのがまぁ、ほんとなんですけど、「政府が安全だって言うのに、何だお前は」なんて言われたわけであります。そういうスタンスをきちっと守って、副流煙考えてみたいと。
私があの、副流煙について疑問に思ってること、これはまぁ、養老孟司先生なんかも言って、ものすごく社会からバッシング受けましたけどね。あの、先生は「面倒臭いから反論しない」なんつってますけども、僕はま、一応きちっっと話をしなきゃですね、いけないと思いますが。
ええと、世界で最初に副流煙の害について証明したと“言われる”ですね、平山論文。これはもう事実記載がほとんど無くてですね、データの提出に色んな人が求めたんですけども、提出に応じなかったという・・・まぁ、これはですね、データ捏造とか言って新聞だったら、普通だったら叩く内容ですね。ただ「内容が新聞の記者に嬉しい記事なので叩かなかった」っていう、まぁそういうやつですね。
えー、もう一つはタバコの追放を続けてる世界保健機構、WHOの副流煙の調査ですね。これはま、「副流煙のあるところにいた人が肺ガンが少ない」っていう、ま、期待したものと反対になったっていうんで、発表を見合わせたわけです。こんなことしちゃいけないんですけどね。
私があの、一応ここで解説したいのは、2008年に厚労省が発表した「多目的コホート研究」で、タバコを吸ってる人と一緒に住んでいた女性がどのくらい肺ガンになったかという調査ですね。ま、これ2万8千人の対象で13年間(の)調査に109人の人が肺ガンになったと、こういった調査なんですが。
えー、この研究ではですね、肺ガンつうのは4種類あるんです。腺ガンとか上皮ガンかな、それから小細胞ガン、大細胞ガン、何か4つあるんですが。ま、そのうちの一番多い腺ガンだけに注目しております。ですから腺ガンっていうのは大体(肺ガン全体の)2/3ですので、ま、細かいデータはちょっと手に入らないんですが、109人のうち大体72人が腺ガンと推定されます。
腺ガンのうちですね、元々腺ガンていうのは2割がなるんですけども、喫煙者も2割ですから、ま、大体タバコを吸ってる人の割合と腺ガンの割合、一致しているというのが今までの見方だったわけです、これタバコを吸う人ですね。
えーところで、女性でタバコを自分は吸わないが夫は喫煙してる、というときには、この報告書では腺ガンが2倍に増えたと書いてありますね。ところがこの2倍というのは、実際おかしいなと思いました。だって、たった109人しか肺ガンになってないで、そのうちあの、腺ガン72人ぐらいなんですよね。それでそのうち14人が喫煙者ですから、残りの58人が対象になるんですよ。
いや実にですね、2万8千人のうちの58人を問題にするっていう、ほんとはこれ統計的にやっちゃいけないんですよ。つまり2万8千人という対象者ですからね、ちょっとでもずれると、もう0.1%ずれますとですね、140人なんですよ。ですから、58人を調査対象にするってことになるとですね、ほんとにちょっとだけずれただけで、もうものすごく色んな結果が出てきてしまうんですね。
これはあのよく、こういう風な変な調査あるんですよ。ものすごく可能性が少ない、一人とか二人がどうだったっていうんで、あたかもそれが全部みたいに言うっていうのは、結構、悪徳宣伝みたいにね。例えば、1万人の人があれしたけども、一人だけが少し体重が減ったと、するともう、「体重が減ります!」つって、「いや、これ事実です」って、まぁこういうやつですね。
これはあの、誠意ある整理ではないんですね。しかしまぁ、そのままやりますと、腺ガンになった58人のうち29人が夫がタバコを吸う、29人が夫がタバコを吸わないとなると1対1、それが2倍となると言ってるわけですから、腺ガンになった女性の39人が夫がタバコを吸ってる人で、19人が吸ってないってことになります。えー実はですね、わずか10人ですよ。2万8千人の13年間の調査で、たった10人の差、これで「2倍」つってるんですよ。
実は私はこういう計算をしましたけど、この厚労省の説明なんかはですね、2倍だ、2倍だっていう数字しか出てこないんです。ですからこれ、中身を調べてみるとですね、何だ2倍つったって、2万8千人のうちの10名か、と。ま、これは統計的なばらつきなんですけど、もちろん統計的なばらつき。もしも、それじゃないとしてもですね、どういうことになるか。タバコを吸う夫と一緒に住んでる女性は、1万4千人のうちたった10人が、「タバコを吸うので腺ガンになった」ということになりますから。その可能性は1/1400、確率的で言うと0.07%ですからね。これはね、全然話になんない危険性なんですよ。
こんなこと言ってたらですね、いやもう、夫と一回でも口げんかしたらもうこれで終わりですね。だから「夫がタバコを吸うと妻が肺ガンになる。2倍もなる」って言うのは数字が無いんですよ、実は。むしろ逆ですね、「夫がタバコを吸っても妻が肺ガンになるのは少ない」と言った方が、「希だ」と言った方が正しいですよ。1400人に1人ですからね。ですから「希です」と、まぁ、「宝くじでもなかなか当たりません」っていう数字ですからね。
だから、まぁ普通は研究者でですね、私なんかもそうですけど、ま、論文書くときですね、やっぱこんなデータが出たら、「一応この実験では、2倍という数字も計算できるが、母集団に対してあまりにも量が少ないので、確実なことは分からない」と書きますよこれ、ええ。「調査ではハッキリした結果が得られない」と書きます。
で、もう一つね、これ大きな問題があるんですね。それはこのくらい少なくなりますとね、「タバコ以外の要因」をかなり考えなきゃいけないわけですね。タバコを吸うと肺ガンになる人が多い、例えば10%とか5%とかそれでしたらですね、ある程度こんなんでもいいですけど、0.07%なんてことなりますとね、別の要因が考えられるわけですよ。
例えばですね、タバコを吸ってる人は平均年収が少し低いんです。で、まぁどっちかって言うとですね、一軒家よりかアパートに住んでる人が多いんですよね。ですからまぁ、町の中のアパートに住んでて、タバコを吸う夫がいる家庭は、自動車の排気ガスをより多く吸ってる可能性もあるんですよ。これはもう非常に可能性高いんです、実は。
だから、これはですね、このくらい率が低くなると、「あなたは自動車の排ガス吸ったんじゃないですか?」っていう調査も同時にしなきゃいけませんし、食生活とか、それからハウスダストの状態とか、そういうの全部調査しなきゃいけないですよ、これね。
これはあの何回も言ってお分かりだと思いますが、つまりタバコを吸ってる夫の妻がですね、かなりの高い確率で、例えば100人に1人とか、まぁ10人に1人だったらはっきりしてますが、そのくらいだったらまだ・・・100人に1人じゃちょっと言えないですけど、ま、100人に1人よりか100人に5人だったらまだね、言えますけど。何たって0.07%って、これだったら他の要因考えなきゃいけないですよ。
いや、実はね、こういうのすごく多いんですね、「何かに注目して、それで整理する」。僕は学生にいつもですね、「それはね、Aに注目したらAの方になるし、Bに注目したらBになるんじゃないの?」って言うのと同じなんですね。
まぁあの温暖化騒動んときね、「最近は気温が高くなった」 「最近はCO2の濃度が上がってる」 「だからCO2が上がると気温が高くなる」って言う人がいたんですよ。“いや、あなた、ほんとに学者ですか?”と思いましたね。「最近、私の年齢が上がってます」と、ま、1年経ったら1年、年齢変わりますから。「そうすっと私が1年歳を取ると、気温が高くなるんですか?」ってよく冷やかしたもんなんですよね。“それは全然答えになってませんよ”っていうことですよね。
だからこのようなデータでですね、日本の厚労省が「副流煙は危険だ」と言ってるっていうことが問題なんですよ。もちろんあの、この他にですね、アメリカ保健局とか色んなとこもデータあるんですけども、大体見てみますとですね、ほとんど同じですね。どれもこれも、国民の健康を心配してるようなもんじゃないんですよ。
研究費が出る、出世が絡んでる、と。まぁいうような学術論文は“ほとんど、こんな”んなんですね。私はこのデータを見てですね、やっぱり学者が学問への誠実さ、ま、研究者がですね、研究費とかそういうのによらず、しっかりした倫理を持ってもらいたいなぁと思いますね。
それからもう一つ付け足しますと、実はこの研究グループのトップがですね、今度の福島原発で食品汚染の暫定基準を決めるときに、「食料が足りなくなるから、基準は高くして良い」と発言した人なんです。それで1年にセシウムで1年5ミリシーベルト、全核種で約17シーベルトの被曝を子供たちが給食でした、と。
私はね、実は私が副流煙を調べ始めたきっかけって言うか、集中的に調べ始めたのは、このグループのリーダーがですね、食品安全委員会で、「被曝(限度)もう少し上げないと、食糧自給率から言ってだめだ」って。そんなこと絶対ありませんよ。そう発言したのを見て、“あ、この人は役人に言われた通りだなぁ”と思ったもんですから、“ちょっと・・・どうかな?”と思って、タバコとか副流煙についてかなり調べてみた、と。ま、そういうちょっと私自身の経過もあるんですね。
えーほんとにこう、人の健康ですから。もう少し真面目に、ほんとに何が原因か、って違ってるかもしれないんですよ、これ。タバコじゃなくて、ほんとのところはま、自動車の排気ガスであるとか何か分かりませんけど。そうだったら、ほんとにこう違うところを治してね、余計肺ガンになりやすくなりますから。やっぱりここは真面目にやって欲しいですね。
(文字起こし by danielle)