日本だけ(1) ジパング (5/4)
大震災と言い、福島原発でも、そしてCO2の削減まで、すべて「日本だけ」のことです。なぜ、グローバリゼーションの時代にこれほど日本だけが多いのか、このことを基本的に考えるために音声で思考の整理をしてみたいと思います。
あまり気楽に録音したせいか、「硫化鉄、酸化鉄」を「硫化銅、酸化銅」といったこと、「たたら製鉄」を「ととろ製鉄」と言っています。訂正します。
(平成24年5月4日)
--------ここから音声内容--------
日本だけというシリーズをですね…まぁ続くかどうかわかりませんが、ま、少しやってみたいと。これはまぁ「日本の特質性みたいなものを見てみる」ということもあるんですが。えー、今度の原発事故とかですね、それから地球温暖化と…まぁいうようなものをですね、ま、相当そのー、日本独自というものがありますので、ま、そういったものを、ま、一つここで見てみようと…まぁいう気持ちもありますし、えー、文章つけないでですね、えー、声だけで気軽にやってみる、と…まぁいうことで、えーっと、ちょっと声が聞こえない方もおられるんですけども、あのー、イヤホンがないとかですね。えー、ま、あのー、ちょっとここんとこは我慢して頂きまして、ちょっと話をしてみたいと思います。
ま、日本があのー、世界的にまぁ、ある程度知られてきた、と…まぁ、日本だけというんですから、「世界的に」ってことなんですが、ま、それはだいたいこのー、マルコポーロ…ま、ジパングと言われた頃でしょうね。ま、その頃の地図をちょっと掲げておきましたが、ま、日本はまだないんですよね。アジアの端の方…中国の向こうはちょっとなくて、ま、なんか島があるなぁっていう感じですね。
えーっと、どうもアメリカ大陸があるらしいっていうことで、ま、その途中になんだかよくわからないけども島がある…とまぁいうような感じですね。
ま、そのぐらいの頃というふうに見て頂いたらいいんじゃないかというふうに思いますが。まぁその、まばゆいばかりの金閣寺、また平泉のですね、えー中尊寺金色堂のようにですね、まぁ金をふんだんに使った建物っていうのが日本にはありました。
えーっと実は日本は金・銀・まぁ…銅、それから鉛、水銀といったですね、ま、いわば、あー、その、「同族元素」とこういうふうに言うんですけども、それは結構多いんですね。ま、日本は鉄だとかですね、ま、そういうものはあんまりないんですけども、その、銅は…銅とか金の「属」はある、と。ま、これはあの、火山国なもんですからね。ま、日本のそばでプレートが沈みこみまして、ま、そのために地震とか火山がいっぱいあるわけですね。もちろん最近では、ま、地震はとてもいけないものでありますが、ま、日本がかつてですね、金に恵まれていた、と…まぁ言うのも、これですね、地震国ならではであります。
それから水銀もですね、非常に多かったわけですね。えー、大和朝廷が…まぁ九州からですね、ま、邪馬台国から大和朝廷の神武天皇がですね、美々津(みみつ。宮崎県日向市)という海岸を出航されまして、えー、大和の方に向かうわけですね、近畿の方に。その時に出航した…美々津の出航の港はですね、今でも、神武天皇がここから出航された…とまぁいうことで、ま、日本海軍発祥の地ということになってますね。ま、それまでは九州にずっとおられたもんですから、天皇陛下。えー、別にあの、海軍がいらなかったわけでありますが、初めてそこで舟に乗って四国、もしくは広島の方に行きましたんでですね、そこで初めて海軍っていうものができました。
美々津の海岸に立ちますと、二つの島が…小さな島が沖合いに見えます。えー、神武天皇、その間を通って、えー出航されたと言い伝えられておりますし、ま、そこには神武天皇がお座りになったという石もあります。えー、今の漁民はですね、その二つの石の間…神武天皇がお通りになった所を通らない。必ず迂回するんだと…いう話を聞いた時には、「ああさすが、天皇陛下に敬意を表して通らないんだな」と思ったら、後に聞いたらですね、「いや、行ったっきり帰ってこないからだ」という説明を受けたことがあります。つまり神武天皇は行ったっきり帰ってこられませんでしたからね。えー、不吉だからというんで、漁民はその間を通らない…まあいうようなこともあります。
いずれにしても、なぜ神武天皇が大和の方に行ったのか、っていうのは諸説ありますが、水銀という点からも説明できます。えー、水銀鉱脈っていうのはですね、えー九州から四国の真ん中を通って紀伊半島…紀伊半島から伊勢神宮を通って諏訪大社まで伸びておりまして、ま、この水銀鉱脈に沿ってですね、えー、天皇陛下の軍隊が東に行ったという説もですね、あながち否定できないように思います。
もともと西日本には例えば石見(いわみ)銀山(島根県)とかですね、それから長登(ながのぼり)の銅山(山口県)、別子(べっし)銅山(愛媛県)というようにですね、銅とか金銀が採れるものが…山がずいぶんありました。もっとも日本の水銀の鉱脈はですね、それほど大きくなくて、大体長さ50mぐらいだったそうですね。したがって表面に出てる水銀を採る、ま、少し掘り進むということですね。
金もそうで、銀もそうなんですが、えー、鉄などはですね必ず酸化をしまして、酸化鉄とか硫化鉄…ま、硫黄とくっついた硫化鉄という形で出てくるんですが、あー、金銀銅、水銀なんかはですね、えー、電位の関係…ちょっとめんどくさいんですが、その関係で金属の金とか、金属の銀、金属の銅…金属の銅のことを自然銅とこういうわけですが、ま、こういうものが産出するわけですね。
ま、したがってそのまま使える、と。昔は山肌にですね、えー、銅がピカピカと光る、と。ま、それを掘り進みますと最初は自然銅を採りまして、ま、その後だんだん掘り進みますと、今度は酸化銅になっていく、と。ま、そんなようなですね、経過をたどるわけでありますが、そういって金が採れる、と。ま、これは後にずーっと経ってからもですね、えー日本は中国地方で冶金(やきん。鉱石その他の原料から有用な金属を採取・精製・加工して、種々の目的に応じた実用可能な金属材料・合金を製造すること)の技術ってのが進みまして、石見銀山ばかりでなくてですね、兵庫県あたりでも盛んにですね、ま、製鉄も含めた、鉛・鉄の製錬っていうのが行われます。
えー、有名な山下吹き(16世紀のはじめに兵庫県の山下村で銅屋新左衛門が発明した鋳造法)ってのがありますが、ま、19世紀の半ばに日本が、あるいは、世界で最も鉄の冶金には長けてたんではないか、と…踏鞴(たたら)製鉄なんてのがありますけどね。ま、それぞれ全然製法が違うにしてもですね、えー、金属生産という点で非常に重要であった、と…まぁいうことが言えます。
えー、ところでマルコポーロは金を目指して、ま、金閣寺を目指してですね、イタリアを出航しまして、ま、苦心惨憺、元にたどり着くわけですね。そこで元のフビライ皇帝に拝謁を致しまして、えー、中国に住み付くわけでありますが、ま、その時にフビライ皇帝がですね、「私は世界中を制覇したんだが、私が一つの国にいる時は神様は決まっておる」と。
例えば日本にいたら仏様、神様とかですね、インドだったら仏様。えー、中東の方に行きますと、マホメットとかですね、イエス・キリスト…といってですね、えー、「国が小さい時は自分の国の中に神様が一人しかおられないんだから、その神様を信ずればいいけども、私はもう全領土を取ってしまって、私の領土の中にイエス・キリスト様も、マホメット様も、仏教のお釈迦様もおられるので、どの人が神様だろうか」と。まぁいうふうにマルコポーロに聞いたという話があります。
ま、マルコポーロは世界中を旅した、と…まぁその当時の世界っていうのはヨーロッパから中国までが世界でありますから、その世界を全部旅した人として、ま、元のフビライ皇帝がマルコポーロに聞いた、と…まぁいう話があります。ま、ここではですね、日本が黄金の国である、と…まぁいうですね、非常に、ある意味での特殊な存在であった、と。もちろんその頃は金銀銅、鉛…そういったものの輸出国でありましてですね、日本は大変に資源が豊富な国である、と…まぁいうふうに思われました。
ま、歴史もですね、千年もたちますとずいぶん変わりまして、今では日本は「資源がない、資源がない」と言っとりますが、ま、これもですね、非常に短い期間だけを言った話だ…まぁいうことがわかります。