原発再開の最低条件(3)・・・非常時の備え (4/19)
原発を再開するためには、第一に原発自体が安全でなくてはならず、もっとも重要なのは今まで「多重防御」と言っていたことを本当に実現することだということを示しました。
第二には、政府が国民を守るという姿勢を持つことで、今回の福島原発事故の時のように、
1) 法律で1年1ミリ、事故時は10万年規模で5ミリまでと決まっているのに、都合の良いように20ミリとか、食材の17ミリ(セシウムだけで5ミリ)などと変えてしまう、
2) 土壌など1平方メートル4万ベクレル以上は移動と除染と決まっているのに、福島県の3分の1になるから知らん顔をする、などをしたら、安全は守れません。
これは大変なことで事故の前に「事故が起こったらこうする」と決めておいて国民に「だから安全」と言っておきながら、いざ事故が起こると自分たちの都合の良いように決めると言うことですから、「安全だ」というそのものが意味が無いということを意味します。
そして第三に「非常時の備え」が必要です。もちろん豪華客船が救命ボートを備えているように人間が行うものはなんでも「非常時の備え」が必要です。原発にはそれが全くありません。今までの東大教授と官僚の論理は「非常時の備え」をすると原発が不安全と言うことになるのでやらないという不健全なものでした。
今回の大飯原発の再開問題でも、まだ「非常時の備え」はしないということですが、これでは「原発は安全」などととてもいえない状態です。非常時の備えは、
1) 原発がどのような状態になったら「危険」と判断して、地元消防に連絡するか、
2) そのときに風向きを気象庁が発表するか、
3) 地元消防に住民に正確に事態を知らせ、避難させる実力があるか、
4) 避難先、食料、水などはどこに設置しておくのか、特に乳児用のミルクの水など、
5) 30ミリシーベルト程度の被曝の段階になればヨウ素剤の配布、
6) 病人の移動(福島のように「自動車で逃げてください」ではダメ)、
7) その他(書き切れないから)
などです。原発の非常時に何を準備するのかということ自体をあまり考えていない節も見られ、電力会社がいかにいい加減な考えで原発をやっているのかがわかります。
これらのことは必ず再開までは解決しておく必要があります。福島原発の時に本当にかわいそうに思ったのは、水が汚染されて赤ちゃんに粉ミルクを溶いてあげることができず、泣く泣く、汚染された水道を使ったお母さんがおられました。
心中察するにかわいそうでなりません。お母さんは粉ミルクを溶く水が放射性物質で汚染されていること、それがどのぐらい汚染されているかもよくわからず、でも赤ちゃんはおなかをすかして泣く・・・どんなに辛かったかと思います。
こうして苦しんでいるお母さんに対して、データを公表するのを渋り、テレビは報道せず、そして「ヒステリー!」と非難するのですから、私には鬼畜生の行状に見えます。
船が沈み、溺れかかっている母子を救わない人がいるでしょうか? そんな日本と日本人だったのですが、それを教訓にして2度と再び、日本の母子を見捨てない社会を作りたいものです。
(平成24年4月19日)
--------ここから音声内容--------
私が考える一番その、大切な原発再開の条件ですね、それはあの、ま、もちろん原発自体は安全じゃなくちゃいけないわけで、そのためにはですね、「多重防御」と政府が言ってたことがですね、まぁほんとではなかったわけですね。で、まぁ津波が防潮堤を超えたら爆発すると、ま、それだけで爆発すると。
ま、多重防御ってのはですね、えー人間の考えることには誤りがあるので、えーまぁ普通3重ですね。例えば、えー津波が防潮堤を超えたら、その…発電機は、とか非常用電源は・・・何か非常に高いとこにあるとかですね。えーそれからもしくは、もしその津波でやられてもですね、ディーゼル発電機だけは別のとこにある、と。ま、ほんとはディーゼル発電機…非常用ディーゼル発電機っていうのは、福島第一原発の場合、えー、タービン建屋側、つまり原発よりか更に海側の建物の地下にあったわけですね。
こういったものをですね、えー政府も・・・ま、報道はどういう意図か分かりませんが、しっかりと報道してない、と。で、多重防御が色んな面で必要なわけですね。例えば核爆発に対する多重防御、ま、これは制御棒がどういう風に入るかとこういうことですね。そいから電源喪失に対する多重防御、こういったものを地震とか津波に対してどういう風にやるか、ま、テロなんかもそうですね。
ま、これをあの、ちゃんと明らかにして、今まで多重防御と言ってたのが言葉だけだったんですけども、それを今度は言葉だけではないということを示すことが第一条件だと、ま、書きました。
それから第二条件で大きいのはですね、あの、政府が国民を守るっていうことが必要ですので、法律で1年1ミリと決まっておりですね、事故の時には10万年規模の事故の時だけ、ま、5ミリまで上げ得ると、ま、いう風に日本の中で決まっていたのに、ICRP(国際放射線防護委員会)という外国のNPOが言ったから20ミリとかですね、食材は供給が間に合わないからと言って17ミリという風に、ま、変えてしまうわけですね。それから土壌なんかもですね、1平方メートル4万ベクレル以上になったら、東電が除染しなきゃなんないと決まってるのに、ま、知らん顔する、と。
ま、こういうことでですね、事故が起こる前に、「事故が起こった時はこうする」と決めといたやつをですね、それを守らないということはもう、“守る意思が無い”ということですよね。つまり、事故が起こる前に、今度もまぁ再開ですけども、再開する時に「こうだから安全だ」と言っておきながら、いざ事故が起こると自分たちの都合良いように決めるというんでは、それはまぁ、元々「安全」ということ自体が無意味になるということですね。
それからまぁ、ここで言いたいのは第三条件です。「非常用の備え」ということですね。ま、豪華客船が救命ボートを備えてるということ何を言ってるか。人間が行うものは必ず、非常時の備えが必要だということですね。えー、ま、今までですね、東大教授とか官僚が進めてきた原発に対する政策というのはですね、「非常用の備えを言うと原発が不安全ということになるから、やらない」という、非常に不健全なものでした。
ま、これは今でも続いてますね。例えばこういうことです、ヤクザの論理ですね。えー「大型客船に救命ボートを備えると、大型客船が沈没するということになるじゃないか。だから救命ボートを積まない」と。こんなこと言ってたらですね、私はもう工学的なっていうか、技術的なものを止めた方がいいと思いますよ。ま、そういうようなですね、逃げる場所、非常口を作ったらダメです、と。例えば、建物の中に非常口がある、「非常口があるってことはこれ、火災が起こるということじゃないか」と。「じゃ、そんな建物を建てていいのか」とこんな議論をですね、どれもこれもやってたら、どうにもならないわけですね。
「非常時の備え」って言うのはどういうことか、と例えば言いますとね。えー、原発が今度3月11日に爆発するというのが分かったと・・・私なんか思うんですが、どういう状態になったら「危険」と判断して地元消防に連絡するのか? 地元消防ですよ、政府じゃありません、東電本社でもありません。今度だったら関西電力本社でもありません。原子力発電所が自ら、地元消防に連絡しなきゃいけませんね。
その時に風向きが一番重要ですから、これを気象庁が発表するのかって言う問題ですね。今度発表しませんでした。それから地元消防はですね、住民に正確に事態を知らせることができるのか、避難させられる実力をその持っているのか、大飯町ですね。だからそれもちょっとハッキリしないんですね。で、避難先がどこなのか、食料は確保できるのか、水は大丈夫なのか、ま、特に乳児用の粉ミルクの溶かす水ですね。
そいからまぁ場合によっては、今度みたいに30ミリシーベルトを超える被曝をする子供たちが出てくるわけです。そん時にヨウ素剤はどこにあるのか、そいから今度病人の移動なんかも大変だったですよ。そいからその、福島ではですね、一般人でも、えー「自動車で逃げて下さい」っていうことで、自動車がないから逃げられないっていうのあったわけです。その他、書ききれません。えー、非常時というのはどういうことなのか、何を準備すれば良いのか、っていうことを考えられてない節があります。
私がですね、原子力安全委員会の地震の専門部会でですね、「これでは地震に危ないから、えーオートバイを配るとかロープを張るとかヨウ素剤をどう・・・」とか言ったんですけど、全部ダメでしたですね。そういうのを否決した人が辞めて欲しいと私は思いますけどね、ほんとに。これはもう再開までに、必ず作っとかないけないんですよ。まぁとにかく福島ん時にね、えー、水が汚染されたわけですよ。しかしそれで粉ミルクを溶かなきゃなんなかったお母さんの気持ちが分からないんですかね?それもですね、どのくらい汚染されたかもよく発表されなかったんですよ。
だからほんとにね、そういうお母さん・・・ほんとに親が子供を心配する心、まぁこの割合と右寄りな人もですね、原発再開に賛成してる人もいるんですけど、私分かりませんね。日本の子供を大切にするお母さん、これこそですね、若干右寄りな人もですね、賛成(原発反対に賛成の意味か?)しなきゃいけないですよ。そいでデータが公表されない、テレビでも放送されない、“ヒステリー”と非難される。だけどお母さんは、泣いた赤ちゃんにはミルクをあげなきゃいけないんですよ。なんという社会なんですかね?船が沈んで溺れかかっている母子を助けない社会、これが日本と日本人だったんですよ。
だけど、私はもう、それではへこたれないです。もう何とかしてですね、えー日本のお母さん・子供を見捨てない社会を作りたい、私はそう思います。ま、その第一歩としてもですね、えー現在のように、非常時をまったく想定していない、ま、そういうですね、原発の再開を本当にみなさん認めようとしてるのか? 私はそう思いますね。
(文字起こし by danielle)