エネルギーはどうしたらよいの?(1) 電力会社が自由競争なら | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

エネルギーはどうしたらよいの?(1) 電力会社が自由競争なら (4/1)



原発がなければ電力が足りない? シェールガスがいくらでもある? メタンハイドレードがよい? 天然ガスだけが有望? ・・・エネルギーや電気についてさまざまな意見が飛び交っています。



この中で普通の人が何が将来のエネルギーとして適当かを判断することはまず無理と思います。それは学問的なものだけではなく、利権や思想などが複雑に絡み合っているからで、またエネルギー問題というのは多くの環境問題の中でも飛び抜けて複雑でもあるからです。 



でも、簡単な方法があります。それは「電力を自由競争にする」と言うことです。現在は電力事業が国の統制下にあり、火力発電はほぼ自由ですが、原子力発電は国が原爆(爆弾)が欲しいので、1年に約1兆円の補助をしています。



電力の総売上は約15兆円で、利益率は3.5%ほどです。その中で原発が30%程度を占めています。利益率は原発の方がよいので原発の総売上は5兆円、利益率を5%とすると、2500億円の利益になります。



つまり、電力会社の表面上の利益は原発が2500億円と大きいのですが、国が1兆円を支出しているので、結局原発は実質7500億円の損失になります。もう少し辛く考えても、直接的な国の援助だけ(研究開発費、地元交付金など)で5000億円ほどを出していますから、実質2500億円の赤字になります。



電力会社の経営者に取ってみれば、国が原発にお金を出してくれるので、実質赤字でも原発の方が儲かるという奇妙なことになっているのです。これは個人が太陽電池をつけるときと同じで、「乞食根性」、つまり自分だけでは赤字になるが、他人のお金を当てにすれば商売になると言うことです。



だから、もし国家が「原発推進政策」をやめて電力の自由にすれば、電力はリスクが高く、収益性がない原子力をやめて、火力発電所を主力にしてやっていくと思います。

(電力会社は東電ばかりではなく、九州電力、北海道電力などがやらせメールなど間でして、原発をやろうとしています。電力は公益事業ですが、「国が税金を出してくれるから、原発はお金になる」という理由だけで原発を強行しようとしているので、全く支持することはできません。しかし、長期的には(1000年後)原発などの電源も必要になるかも知れませんが、1000年後のことは今、考えても無駄です。・・・1000年前は紫式部の世界ですから・・・)


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第二の問題としては、これほど社会では「太陽光発電などの再生可能エネルギー」が有望だと言っているのに、電力は電力中央研究所など長期的な電源確保の体制も持っているにもかかわらず、なぜ「再生可能エネルギー(科学的にはあり得ないが)」を開発しないのでしょうか?



「税金をもらう」というのは不健全なことですから、電力会社のような資金豊富な会社が将来を見て開発し、かついわゆる再生可能エネルギーが有望なら、研究をやるはずです。でも、太陽光発電にしても他の方法にしても、火力発電より2倍から3倍のコストがかかるので、健全な民間企業ならやらないでしょう。



科学的な発展は、原理原則や基本的技術ができてから30年ほどで実用化され、もしその時期に実用化されないようなものは、仕切り直しになるのが普通です。蒸気機関と蒸気機関車、電気と電灯、半導体とトランジスタなどいずれもこのような経過をたどっています。「超伝導」のように発見から80年ほど経って、注目され、膨大な補助金が投入されたような礼は実用化が難しいのが普通です。



つまり、もし国がいらぬちょっかいを出さずに原子力の補助金も含めて、民間企業として自由競争の中に電力を位置づければ、コストの安い火力発電だけになり、その中でも自然に天然ガスとか石炭などになり、我々が何が有望かなど考える必要もなくなります。



電力会社が悪徳でも、近いうちに石油や石炭がなくなるか高騰するとわかっていれば、それに対する原料の代換えを考えるのは、ごく普通の企業活動だからです。



つまり日本の電気代をアメリカ並みにして、エネルギーの選択を正しくするには電力を自由競争にすればよく、そうすると税金も格段に安くなると言うことがわかります。消費税の増税をやめて電力の自由化をするべきでしょう。



今のエネルギー論争のほとんどは、自分の研究にお金を呼び寄せたいというような不純な動機のものが多いようです。一人一人の専門家が空気を事実としたり、自らのお金や名誉を優先するのではなく、明治天皇がご誓文で言われたように「万機公論に決し」て、日本の将来、日本の子供たちのために魂を呼び戻して欲しいと思います。

(平成24年4月1日(日))


--------ここから音声内容--------




電力のこととかですね、エネルギーのことが非常に議題になってるわけですね。えー、「原発が無ければ電力が足りない?」とか、「アメリカではシェールガスがいくらでもある?」、「メタンハイドレートは良いんじゃないか?」、「天然ガスが有望だ?」と、こうあるわけですね。





ええと、私もまぁずいぶん長い間、資源とエネルギーを専門としてきましたが、なかなかですね、この問題難しいんですよ。ええと、難しい理由は二つあるんですよ、学問的にも難しいんですね。えー、埋蔵量の関係とか、エネルギー効率の問題とかって非常に難しいんですが。





それにあの何かですね、何かエネルギーつうと利権とか思想が絡んでるんですね。「こういうエネルギーは適当じゃない」とかですね、「私はそれは嫌いだ」とかですね、ま、こういうのが入ってくるのでまた更に面倒なことになるわけですが。




ま、簡単な方法があ(る)んですね。それはあの、電力を、「日本の電力を自由競争にしたら良い」というかですね、世界はほとんどが自由競争ですから、ま、その状態を見たらいいとも言えるんですけどね。ええと、現在は電力事業が国の統制下にありまして、火力発電はほぼ自由ですけど、原子力発電所は国がですね、原爆が欲しいので・・・爆弾ですよね、これが欲しいので、まあ1年に約1兆円、5000億円と言ってもいいんですが、ま、そのくらいの補助をしてるわけですね。





電力の総売上約15兆円ですから、利益率3.5%、ま、だけどもその中で原発が30%程度を占めていて、ま、原発の利益率が、ま、5%ぐらいとしますとですね、えー、2500億円ぐらいの利益をまぁその、原発で上げてると、電力会社はですね、ま、そういうことなるわけです。




ええっと、まぁその利益は大きいんですが、国がまぁ1兆円出してるとすると、ま、実質7500億円の損失になります。ま、あの直接的なものだけを計算しますと5000億円ぐらいなんですね。私がまぁ1兆円ぐらいつうのはですね、例えば廃棄物処理とかですね、そういうところに働いてる人、それから原子力の安全機構関係、これ国が全部出してるわけですね。それを全部入れた数字なんですが、ま、直接的なだけで5000億円ぐらい、そうすっとやっぱり実質2500億円の赤字になるわけですよ。





えーつまりですね、電力会社の経営者にとってみれば、原発っていうのは国がお金を出してくれるので儲かるという、そういう奇妙なことなんですね。これはあの、太陽電池が個人がつけるときと同じで「乞食根性」ですね、僕に言わせると。ていうのは自分だけでは赤字になるので、他人のお金を当てにすれば商売になるなんて・・・こんなこと、これが商売になるんだったら何でもできちゃうんですよね。えー、自分がやったら赤字になるけども、税金を入れてくれれば黒字になる、だからやります、なんていうのはですね。





ですからまぁ国家がですね、原爆を、まぁ作りたいという希望をやめてですね、えー「原発推進政策」をやめてしまえば、えー、電力はリスクが高くて収益性のない原子力をやめるということになると思います。




ええとですね、これ実はちょっと複雑な問題が含まれて、また別の機会に整理したいんですけども。電力会社は東電ばかりじゃなくて、九州電力なり北海道電力などもですね、やらせメールとかいろんなことして原発をやろうとしてるわけですね。しかしですね、電力は公益事業ですから、国が税金を出してくれるから、赤字になるんだってこと知ってて原発を強行するっていうのはちょっと問題なんですよね。





えーもちろんこれとですね、長期的、ま、例えば1000年後にですね、原発などの電源が必要になるということはあるんですが。ま、1000年後っていうのは、今考えてもちょっと無駄なんですよ。ていうのは、1000年前つったら紫式部の世界ですからね、紫式部に「原子力発電所はどうですか?」って聞いても無駄なようにですね、現在の我々の思考能力を超えてますから、ま、これはちょっと別の問題にしたらいいと思うんですね。





それから第二の問題としてはですね、もう今、日本の社会では「太陽光発電などの再生可能エネルギー」が有望だと言ってるわけですが。なぜ電力は電力中央研究所なんか持ちながら、えー、「再生可能エネルギー」の研究をしないか?ってことですね。もちろん、元々あの「再生可能エネルギー」っていうのは科学的にあり得ないもので、これ言葉、間違ってるんですけども。こういった間違いが大手を振って、そのなんか新聞とかそういうのに書かれるっていうのもですね、非常に残念な気がするんですね、科学者としては。





元々その・・・「税金を貰う」っていうのは不健全ですしね、電力会社は資金豊富なんですから、えー、有望なものをやるんですよ。再生可能エネルギーなんていうのやったらですね、もちろん電力費を2倍3倍にしなきゃいけませんから、いくらコスト主義だつったって、やっぱりこれは世間の批判を浴びると思うでしょうね。





結局どういうことかっつったら国がですね、国とかまぁ、その…一般の人はあまりちょっかい出さずに、電力会社が民間企業として自由競争の中にいればですね、おそらく火力発電だけになるでしょう。そして、そん中で天然ガス使うか石炭を使うかはですね、更にどういうプロセスが良いか?って、それはもう更に専門的なんですよ。私には私の意見ありますけどね。えーそれは私、言うことをちょっと避けてるんですよね。私、あの石炭が良いなんて言っても、石炭でも天然ガスでもそんなことはどれだっていいんですね、そんなこと言ってるんではなくて。





ええとまぁそれはですね、電力会社が競争の中でより適切な、あの電力方法を選ぶ、と。しかしそれは競争がないとですね、いい加減になります。そうすると結局ですね、えー電気代をアメリカ並みに1/2にして、エネルギーの選択を正しくするためには電力を自由競争にすればいいんですよ。そうしますと税金も格段に安くなりですね、えー、電気も安くなるってことで助かりますね、ええ。家計にとってはすごい助かりますよ。もう一ヶ月に大体1万円から2万円違ってくるでしょうね。もちろん消費税の増税もやる必要ありません。ですから消費税の増税をやるんじゃなくて電力を自由化する、と。そっちに向かうということが、私はもう絶対に大切だと思いますね。





えー、ごまかされないで、やっぱり有識者の人もですね、えー、自分の利益とか名誉ではなくて、またあの「空気」がそう言ってるから俺もそう従うんだ、じゃなくてですね。一人一人の人が、自分の専門に基づいてですね、えー、心をきれいにして「次世代の子供たちのために、日本を良くするんだ!」と、そういう考えでいて欲しいと思います。


(文字起こし by danielle)