原発事故を混乱させたもの(これから―1) 発病時期(直ちに・・・の問題) (3/31)
原発事故から1年。原発事故後に起こった日本の混乱について考え、必要なら対策を打つべき時期にきました。また、1年前のことを正しく理解することは今後の生活にも大いに役に立ちます。その意味で批判も前向きな行為でもあります。
まず、第一には有名になった「直ちに健康に影響はない」と官房長官や保安院が繰り返したことです。後に官房長官は「7回しか言っていない」と釈明していますが、官房長官ですから間違っていたら1回の発言でも修正、説明などが必要です。修正がないと正しいステートメントだったことになるからです。
このグラフはチェルノブイリ原発事故の時の子供の甲状腺がんの発生状況です。このようなデータは内閣府に専門家がそろっていることを考えると、当然、官房長官などの方はご存じだったと思います。つまり、放射線の被曝によって発症するがんなどは4年目から、妊娠などの障害は15年目などの遅い発症があります。
だから、「直ちに健康に影響はない」ということを政府が繰り返したことと、強制的な避難手段(バスなど)を提供しなかったことから、「直ちに健康に影響がないから、政府は国民を被曝させた」ということになります。
その後、有識者、マスコミなども「福島原発事故で死んだ人はいない」、「原発の上を元気に鳥が飛んでいる」、「原発周辺の住民に被爆の疾病が認められない」などを繰り返しました。
この記事に示したグラフを出すまでもなく、放射線による被曝による疾病は遅発性(少し時間がたって発症する)ことは一般的にもよく知られているので、それに反することを発言する専門家はなぜ即発性の疾病だけを言ったのかを明らかにするべきでしたし、そのような専門家を登場させたマスコミもその理由を1年を経た現在、発言した専門家やマスコミが「誤っていた」ことをはっきり言う必要があるでしょう。
これをごまかすと、今後のことを考える人もどう考えてよいかわからなくなるでしょう。少なくとも日本国民を被曝からまもる法律に大きく反したことを公の人が言ったのですから、訂正かなにかをしなければ今後、被曝を避けることを考えるにも大切と思います。
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今、多くの人が「このままここに住んでいて大丈夫だろうか?」、「このままの食生活でOKか?」と不安を感じておられます。この原因は「直ちに健康に影響がない」というし、「法律では1年1ミリ」だし、とダブルスタンダードだからです。
私は終始一貫、「学問的に被曝と健康の関係がわからないのだから、3月11日以前の法律の基準を守っておけば、原発事故前の状態の中で生活するのだから、それで安心するしか方法はない」という考えで、それは「被曝総量1年1ミリ、少し我慢するなら1年5ミリ。子供は可能か限り1ミリ。内訳は、外部0.4ミリ、内部0.4ミリ、水0.1ミリ、土ほこり0.1ミリ。住むところの土壌は1平方メートルあたり4万ベクレル以下、物質は1キロあたり1000ベクレル以下(セシウム)、食材は1キロあたり40ベクレル。水1キロあたり10ベクレル」というところです。
このような値は被曝の内訳(外部0.4とか)が決まれば自動的に決まるもので、被曝の数値はとにかく「外部、内部、水、土」からの被曝量を決めないと計算ができません。また注意が必要なことは「東大教授はじめ偉い人」は「足し算ができない」ということを親としては欲知っておくことです。
足し算は、1)外部、内部・・という足し算、2)これから30年間の足し算、の二つが必要です。つまり、たとえば「瓦礫の危険性」という意味では、瓦礫だけを考えればOKでも、薪ストーブからの被曝、焼却炉からの被曝・・・などを足しているかということです。
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また数年後に子供に被曝による病気が起きたとき、政府や自治体はいいわけをし、1年1ミリ以上でも大丈夫といった専門家は逮捕されない可能性がありますし、そのときに責任者が罰を受けても、子供の健康とは別問題です。このところを親として覚悟を決めておく必要があります。
つまり1年1ミリ以上の被曝は「これまでの日本人が経験していない長期被曝」になりますから、その責任は親や学校の先生にあると言うことです。
(平成24年3月31日)
--------ここから音声内容--------
えー、少し、あの原発事故を振り返って、ま、これは振り返ると共にですね、えー、今後のことを考える、と。今のことを考える、とこういうことに繋げていきたいわけですが。えー、原発事故からまぁ1年を経ちまして、一体、原発事故を混乱させたものは何だったか?ということですね。
ま、やっぱり一番の混乱の最初は、ま、有名になりましたけども、「直ちに健康に影響はない」という、官房長官や保安院の発言でしたね。えー、このときに整然と、えー「被曝については健康に影響はあるから、これこれこういうところは退避をさせる」と、「バスを行かせるから、それに乗ってくれ」と、こういうふうにですね、きちっと言ってる必要があったわけであります。
えー、一つグラフを、ま、示しますが。これがチェルノブイリの時の10歳児(14歳児の間違い)までの甲状腺がんの発生状況で、もちろん被曝直後に病気が出るわけではない、と。えー、その後、まぁ4、5年経ったときに、ガンが発生するということはよく知られております。
したがって、「直ちに健康に影響はない」ということを政府が繰り返してですね、かつ、まぁソ連でも行ったように、えー、普通だったらバスを出して、危険のあるところは退避をさせると、ま、いうようなことが必要だったわけです。これは今でも尾を引いておりましてですね、多くの人たちが「政府はいいっていうから、このまま居たらいいだろうか?」とか、「強制退去地域っていうのは、一体なんで強制退去になってるのか?」。現在でも20キロ圏内とか何とかって、被曝量って言いますか、汚染量とは関係ない領域が、あの示されておりまして、大変に混乱を招いております。
えーそれから、ま、有識者、マスコミがですね、「福島原発(事故)で死んだ人はいない」とか、「原発の上を元気に鳥が飛んでいる」とかですね、「原発周辺に今のところ、住民に被曝の疾病が認められない」などを繰り返しました。えーこれはですね、非常に混乱を招きましたね。
というのは放射線による被曝がですね、遅発性である、つまり少し時間が経ってから発症するってことはもう常識なわけですね。これに対して、どうして、ええと、すぐ病気になることだけを言ったか? これはまぁ、早くですね、いい機会に専門家とかマスコミがですね、えー「誤ってました」と、「原発の病気は遅く出るんだから、直ちにとか、今元気だとか言うことは間違っておりました」ということを言った方が良いですね。そうしないとですねこう、迷う人が多いと思うんですね。また、被曝する人も多いと思います。
で、今多くの人が、「このまま、ここに住んでて大丈夫だろうか?」とかですね、「今の食生活でいいんだろうか?」と不安を感じている原因の一つは、このような政府および専門家およびマスコミのですね、発言に基づいているわけですよ。何しろ、後10年か経ったら出るかっていう病気ですからね、むしろ責任者が注意を促すというのが正しいわけですね。
ところで私はもう終始一貫、えー、「学問的に被曝と健康の関係判らないんですからね、3月11日以前の法律の基準を守っとく、ということにすればですね、原発事故の前の状態ですから。ま、これで安心するしかないと、これしか方法がない」と、こう言ってるわけですね。
それは「被曝総量で1年1ミリ、少し我慢すれば1年5ミリ、子供は可能な限り1ミリと。内訳は外部被曝0.4ミリ、内部被曝0.4ミリ、水0.1ミリ、土ぼこり0.1ミリぐらいが普通です。住むところの土壌は1平方メートル当たり4万ベクレル以下、物質としては1キログラム当たり1000ベクレル以下…ま、セシウムですけどね。食材は1キログラム当たり40ベクレル以下、水は10ベクレル以下」というとこですね。
ま、これはあの被曝のシーベルトを決めれば、土壌だとか全部決まるわけですね。ま、これが政府はどう決めてんのか、今例えば瓦礫の8000ベクレルというのはどう決めてるのか、ハッキリ判りません。
えー、またですね、まぁ東大教授のような偉い人は、足し算ができませんから。これは良く分かっててください。ま、みなさん東大教授は足し算できると、こう思ってますけどできないですね。外部、内部という足し算をしなきゃいけませんし、これから30年間の足し算もしなきゃいけません。
例えば「瓦礫が安全です」って言うのは、30年計算して瓦礫が安全じゃなくちゃいけないんであってですね、瓦礫だけの安全性、こう言ったらですね、どれもこれも安全になります。つまり、0.1ミリシーベルトを浴びるものが10個以上になれば、危険ですからね、ま、足し算が必要だ。もうあの、東大教授足し算できませんから。この際、我々が足し算するしかない。
もう一つの重要な点、これが厳しいんですが。えー、1年1ミリ以上浴びてお子さんが病気になったときに、えー、政府や自治体は言い訳をするでしょう。専門家は逮捕されない可能性がありますね。そうするとですね、またそういうときに罰を受けたところで…責任者が、自分の子供の健康とは別ですね。このところを親が覚悟しといて欲しいつったら、ちょっと言い過ぎなんですけどね、やっぱり1年1ミリシーベルト以上子供が浴びた場合、子供が病気になる可能性がある。ま、それを知っていたんだ、ってことですね。
ま、いずれにしても「1年1ミリ以上の被曝を長期受けるっていうのは、日本人が経験してない」わけですね。えー、原子炉作業員ですら、1年1ミリシーベルトの自主規制をしてて、一般人は法律として1年1ミリシーベルト。お医者さんは実績として、1年0.7ミリシーベルトでしたからね。これを子供っていうのは、もう親の言う通りですから。親とか先生が、もしも1年1ミリシーベルト以上の被曝をさせて、ま、10年後に何かの病気になったらですね、この責任はやっぱり親とか先生にあると、ま、いうことを、ま、辛いけどもやっぱ分かってる必要があると、ま、こういうことですね。
ま、こういった考えをハッキリさせるために、一番最初言ったように、「直ちに健康に影響がありません」と言ったのは、国民を誤った方向に導く、間違ったステートメント(公式声明)であったと、ま、いうことをですね、政府、その他の人がやっぱりここで言うべきだろうと、私は思います。それで物事がかなり、スッキリすると思いますね。
(文字起こし by danielle)