日本だけ・・・原発を地震地帯の海岸に作る
日本だけ・・・というシリーズも2回目。物事は「自分の頭で考える」というのと「他人は何を考えているのか」とを組み合わせるとさらに理解度が高まります。ただ自分が日本人の時には日本人同士では同じようなことを考えるので、「他人」を「外人」とするとかなり勉強になります.それがこの「日本だけ」です。
今回は原発立地です。世界の原発は、アメリカ、ヨーロッパ、日本の三極にあります。アメリカは主として東海岸からミシシッピーより東側の内陸にあり、ヨーロッパは全体的に拡がっています.
一方、世界で「震度6以上の地震がくるところ」はとても少なく、ほぼ「太平洋の端」しかありません。たとえば南米のチリ、日本、フィリピン、インドネシアなどに限定されています.下の地図の紫色の丸い点が原発の場所、赤い筋が震度6以上の地震が来るところです.
一見して判りますが、「震度6以上の地震が来るところに原発が立っているのは日本だけ」といってそれほど間違いはありません.また大西洋(アメリカとヨーロッパの間の大洋)は誕生してまだそれほどの時間が経っていないので、地震も津波も無いのです。だから英語でもフランス語でも「津波」という単語が無いのもうなずけます.
さらに、アメリカとヨーロッパの原発はそのほとんどが内陸に建設され、川の水(淡水)で冷却されています。原発ばかりではなく、およそ発電所というのは石油やウランを燃やしたらそれを冷やさなければなりませんので、どうしても海水か川の水が必要です.
原発は発電所で電気を扱うので、潮水は苦手ですから、できれば内陸に作って川の水や湖で冷やすのが適当です。それになんと言っても海岸はハリケーンや台風が来たり、気象が変化しやすいので、内陸で気象が安定した穏やかなところに建設する方が安全に決まっています.
日本なら、利根川上流、木曽川上流、そして琵琶湖のほとりが、もっとも良いことは間違いありません.
ということで、アメリカ、ヨーロッパの原発は、「地震なし、津波無し、内陸、淡水冷却」ですが、不思議なことに日本だけは「地震あり、津波あり、海岸、塩水冷却」ということになっています。「どちらが安全」と聞けば、その答えは決まっています.
おまけに、日本の原発はアメリカの内陸で設計されたものをほぼそのまま使っていますし、事故後問題になったストレステストも津波のないヨーロッパで生まれたものです。
なぜ、日本だけが「地震があり、津波がある」という土地柄なのに、さらに「海岸ふち、塩水冷却」問い特殊な立地条件を採用し、さらに「日本の設計」ではなく、アメリカの設計で原発を建て、津波で事故が起こると津波のないヨーロッパの安全審査方式をとるのか、それを考えてみなければいけないでしょう。
「日本の原発は基本的に危険だ」というのは原発がまだ不完全であると共に、立地が日本だけ特別ということが問題なのです.なぜ「日本だけ」なのか、なぜ「日本だけなのにアメリカの設計、フランスの安全基準を使っているのか」についてはまた別の原因があります.
(平成24年3月21日)
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えーと、日本だけというシリーズをやってるわけですが、これもまぁどう考えるかっていうのと同じなんですけども、えー、自分の頭で考えるっていうのが一つあるんですが、それを他にですね、他人の考えてるのをよく聞く、と。この中でも特に日本人だとですね、似たような考えになってしまうので、そうではなくて、えーと、ま、外人に他人というのを求めるとけっこう違うわけですね。
まぁ、これをあの、今度は原発の立地ということで見てみますと、えー、世界の原発はアメリカ、ヨーロッパ、日本という、ま、三つあるわけですね。ま、アメリカを主として、東海岸からミシシッピまでの東側の内陸にあります。ヨーロッパはほとんど全体的に広がっております。一方ですね、世界で震度6以上の地震が来るところってのはほんとに少ないんですね。まぁ日本にいますと、もう、地震ってのは毎日のように、まぁあるわけでありますが、そんなところはほとんどなくて、ほぼ太平洋の端しかないわけです。例えば南米のチリ、日本、フィリピン、インドネシアと…まぁいうとこに限定されております。
ま、大変にすごいところに日本は住んでいるということになるわけですね。ま、地図をちょっと示しましたけども、紫色の丸い点が原発のあるところ、それから赤い筋のところが震度6以上の地震が来るところですね。ま、一見してわかりますけれども、震度6以上の地震が来るとこに原発が建っている、というのは、ま、日本だけなんですね、ええ。不思議なもんですね、ほんとに日本という国は。
あのー、原発もですね、ほんとにこんなとこによく建てた…と、まぁいうような感じですね。まぁ、あの、一つの原因は、大西洋と太平洋とよく言いますけど、大西洋と太平洋と相当違っててですね、大西洋っつぅのは、まぁ、今できつつある…誕生しつつある海なんですね。広がっているって言ってもいいんですけども、ですから地震もない、原則として津波もないわけですね。いずれどっかで(地震や津波が)起こるようになると思いますが、それが1億年後なのか5000万年後なのか、なんかそういったことになるわけですね。
ま、そういうことで、英語でもフランス語でも、とにかく生まれてこの方津波(を)見たことがないもんですから「津波」という単語がないわけです。それからもう一つの特徴はですね、アメリカもヨーロッパもけっこう原発は内陸に建設されております。これはあの川の水で冷やすんですね。まぁ原発事故の最初にですね、原発は、あの…水で冷やさなきゃいけない、と。だから欠陥があるんだなんていう変なわけがわかんないテレビのコメンテーターいましたけど、発電所ってのは全部水で冷やさなきゃダメなんですよ。
えー、人間は今、熱を起こして電気を取るっていう方法ですが、こう…熱から電気に変える時に2/3は冷やさなきゃいけないんですね。まぁ、無駄に回して無駄に捨てるんです。これ、熱力学の原理があって、エントロピーの増大の原理っつって言ってもいいんですけども、まぁ、効率がありまして仕方がないんですね。えー、だから石炭とかウランを燃やして熱が出ると、それを冷やさなきゃいけない…っていうことで、どうしても川か海がいるんですね。
ところが、もちろんご存知の通り、原子力発電所って、発電所ですからね。電気を扱いますから。ですからまぁ、海水はほんとは苦手なんですね。ほんとは淡水ですから、川とか湖で冷やすのが大切なんなわけですね。えー、また海岸付近っつぅのはハリケーンとか台風が来たら高潮になります、気象も変更しやすいので内陸がいいわけです。まぁ日本でしたら利根川とかですね、木曽川とか、琵琶湖っていうことになるんでしょうね。
えー、したがって、アメリカ、ヨーロッパの原発は地震なし、津波なし、内陸、淡水冷却っていうことになるんですが、不思議なことに日本では地震あり、津波あり、海岸線で、えー、塩水冷却っていう…ひどい状態なんですね。えー、どちらが安全ですかって言ったら、もうそれは言うまでもなく、あのー、内陸がよくて淡水で、地震がなくて津波がない方がいいわけですね。
じゃあなんでそうなってんの? それからまさに、それなのにかつ日本の原発がアメリカの内陸で設計されたものをそのまま使って、ま、事故後出てきたストレステストも津波のないヨーロッパのもんだ、と。なぜ日本だけが地震あり、津波がある…という土地柄に、さらに、えー、海岸付近に建て、塩水冷却という、まぁそういう危険な立地条件を採用したのか? しかも、日本の設計ではなくアメリカの設計を使い、ヨーロッパの安全審査方式を採るのか? ま、ここまで極端ですと、もう考えなくてもすぐわかりそうなもんですけども。
えー、したがって、日本の原発は基本的に危険なんですよ。これは原発がまだ不完全である以上にですね、不完全な原発をなんでこんな特殊な立地条件を選んだのか? それはなんで日本だけなのか? ま、そこですね。私たちの、ま、後進性っていうか、えー、日本人のだらしなさっていうの言いにくいんですけど、まぁそんな感じがいたします。