タバコ・・・中間まとめ(感情的対立の原因)-1 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

タバコ・・・中間まとめ(感情的対立の原因)-1



タバコの記事の最新号を削除しましたが、その理由も含めて、私たちはタバコの問題をどのように考えれば良いかということについて、私見を述べさせていただきます.ただ、私の論理は「先入観・価値観は一切、入れない。科学的合理性の無いデータはそれが明らかになるまでそばに置いておき、論理の展開には使わない」というものです。



さらに、「タバコの問題を解析したからといって、直ちにタバコの価値観には触れない」ということもあります.社会的な運動は否定しませんが、科学的な論理展開を楽しんでください.



1) タバコは肺がんの原因の主要な一つである


たびたびこのブログでも指摘しているようにタバコは肺がん(断らない限り、気管支、気管のガンも含みます)の原因になります。世界的に見るとアングロサクソンに多く、ラテン、黄色人種は若干、なりにくい傾向にあります。


日本では、扁平上皮癌や小細胞癌は喫煙者にしか見られず、かつては肺がんの半分がこれらのガンでしたし、ヨーロッパでは扁平上皮癌が多い傾向にあります.
しかし、最近は線癌が増えていて日本ではすでに肺がん全体の7割ほどになっていて、それも女性の線癌はほとんど喫煙とは無関係です.


(注)扁平上皮癌と小細胞癌が喫煙者に限定されるということは「喫煙が癌の引き金になる」というのは間違いないのですが、だから「喫煙は健康に悪い」ということではありません.これが科学の難しいところですが、かつて肺がんの半分を占めていたこれらの癌が喫煙者からしか発生しないとしても、喫煙者は他の癌になりにくかったり、他の病気になりにくい、もしくは自殺が少ないなど(これは論理であってデータは後述)、別の要因で「タバコを吸った方が健康に良い」ということになる可能性があります。



2) 喫煙者の死亡の危険は肺がん以外にあった


嫌煙運動が起こり始めた今から40年ほど前には、肺がんはきわめて少なく、男性では喫煙者が4000万人に対して、その年に肺がんになる人は1万5000人でした。喫煙者4000万人の内でその年にお亡くなりになった方が100分の1の40万人とすると、肺がんにかかった人は26人に1人ということになります。


また、肺がんでお亡くなりになった人の3分の2が喫煙者であるとしても、40人に1人ということですから、第一に「タバコを吸うと肺がんになる」という表現は誠実な言い方ではないこと、第二にタバコを吸う人の主たる死亡原因がわかればタバコを吸っている人はよりそれに注意することができると考えられることです。


つまり、肺がんの治療をしている医師としては目の前の患者さんが喫煙をするから肺がんになり、その肺がんを治療するのが困難である時に、「ああ、この人が喫煙していなければ」と残念に思うのは医師の倫理として誠に正しいことです。しかし、その医師が社会的に「タバコは禁止すべきだ」ということになると、タバコの害について、肺がんばかりではなく、40人の内、39人はなにが原因で無くなっているのか、タバコを吸う人の健康や寿命はタバコを吸わない人に比べてどういう状態なのか、彼の人生がより「幸福」になるためにはタバコは必要なのかどうかなどかなり広範囲で調べ、研究しなければなりません.「健康の縦割り行政」になって人の健康をもしかすると損なっている可能性があるからです。


このことは「医師として肺がんの主要な原因はタバコである」というのはまったく問題はありませんが、だから直ちに「タバコは害である」ということができないのが「自然」というものです。




3) タバコを毎日、吸う方が肺がんが少ない可能性が高い


この問題はこのブログでも示しましたが、二つの証拠があります。一つは「喫煙率が下がると、肺がんが増える」という統計上の相関関係であり、二つ目は(これも有名ですが)厚労省とがんセンターが中心に進めている「喫煙と肺がん」の関係(もっとも多く引用される論文)です。


第一のことについて、統計上の相関関係をもって、結論をだすことはできず、相関関係などを慎重に検討する必要がありますが、それでも、これほどはっきりした相関関係がある場合は、たとえ因果関係がある程度判っても結論は慎重にするべきなのです。


ところが厚労省やがんセンターの説明を見ると、「喫煙率と肺がん死率」についての記述すらないのです。説明できないものは説明に入れないというのはそれだけで「科学ではない」ということが言えます.


特に「タバコを吸うと肺がんになる」と「喫煙率が下がれば、肺癌が減る」といのはごく自然に繋がる相関関係です.これを否定する論拠に「タバコを吸ってから20年後に肺癌になる」ということも言われますが、それを補正しても相関関係自体は変わらないことをすでにこの記事でも示しました。


次に第二の点ですが、厚労省やがんセンターが主として使用している論文には、「喫煙する人が10万人あたり495人が肺がんになるのに対して、タバコを吸わないかたまにしかタバコを吸わない人は568人」で、明らかにタバコを毎日吸う方が肺癌になりにくいというデータなのです.


ところが反対になっているのは、このデータの一部が「隠されていた」のです。公表されたデータは一部で、それによると結論は逆転するのです。


このように、厚労省とその研究費を使って研究を続けたがんセンターのグループは、第一に論旨に反するデータを説明しないこと、第二に科学者が読んで判るような整理をしていないということ、第三に整理されたデータの根拠となる粗データを公表していないということです。
従って、「タバコを吸うと肺がんになる」という厚労省やがんセンターの研究は「科学ではなく、政治である」ということが言えます.科学は常にオープンであり、新しいデータや概念がでたら、その根拠を明白に示さなければなりません.


この種の科学的詐欺事件としては、常温核融合事件、韓国の生体系研究の事件があります。いずれも実験の詳細を出さず、多くの人から指摘され、追い詰められて詐欺事件とわかったものです。しかし、タバコと肺癌の関係は、国際機関ではWHO、日本では厚労省が力を入れていて、権力と資金で圧倒的な地位にありますから、すでに多くの研究者がデータの公開を求めていますが、未だに公開されていません.



話が長くなりますので、今回はこれで終わりますが、実は私の最近の記事を取り下げたのはこれが原因しています.整理された結論が示され、元データがないので、それでいろいろ解析をしたのですが、それではどうしてもつじつまが合わないのです.


また、整理をするごとに結論が少しずつ変わります.これは元データが公表されていないので、しかたなく整理されたデータを使うと出典によってさまざまに変わってしまうからです.これでは科学的ではないので、私も削除しました。



他人が整理した結果になっとくが行かないときには、科学者は元データに戻って検討します.最初は「おかしい?」と疑っても、元データを詳細に見ると納得することも多いのです.


もともと科学はそれまで「是」としてきたことを覆すことが多いので、そのためには根拠を明白にしなければならないのは科学者にとって当然の義務であり、厚労省とがんセンターがデータを出さなければ「タバコと肺癌の関係」についてすべてを白紙に戻す必要があります。



私たち科学者は社会的な判断をする立場にはありません.それは医師も同じです.私たちは「科学」というものを立脚点にして、研究し、教育し、治療しているのですから、魔術は一切、受け付けません.また、思想によって左右されることもありません.それによって科学は社会の信頼が得られるからです.



私が一つわからないところは、以上のことは科学者、教師、医師などの職にある人は誰でも同意することですから、だれも厚労省やがんセンターの論文を使わないはずなのに、「それしかない」ということで、ほとんどすべてが「根拠を示していないいかがわしい論文」を参考にしているのが不思議です.



喫煙が肺癌の元になることは確かですが、だからといって喫煙が「短命、不健康」になるとは限りません(喫煙が短命、不健康になるという論文は多いのですが、根拠が示されていないか、厚労省かがんセンターのデータです)。このぐらいの良識と科学に対する厳密性、国民に対する誠意を持ってもらいたいものです。



つまり結論はともかく、求められても元データを示さず、得られているデータの一部を論文に出すなどの「いかがわし論文」はたとえそれが娑婆では「最高権威」であっても、学問的には無視するぐらいの見識は欲しいと思います.

(平成24年3月18日・・・その2はさらに書きます.これは重要なことのように思いますので。)




--------ここから音声内容--------



えー、タバコの問題っていうのは非常にこう難しい問題ですね。えー、これまでずいぶんタバコをやってきました。えー、それから最近非常にこう…この問題がですね、被曝の問題と非常に深く関係してるってことに気がつきまして、相当この…ぉー、切り込んでやりましたけど、えーあまり切り込みすぎて、えー、最新稿を削除したりいたしました。




えー、どうして削除したのか、というのも含めてですね、えー、私たちはタバコをどう考えなきゃいけないのか、私がなぜタバコのことを、この…話しているのか…ということについてですね、少し深く入ります。えー、このことについてはずいぶん多くのお医者さん、その他の方からご意見を頂きました。えー、これはずいぶん私に…その、役立ちましてですね、考えも深くなりましたし、ま、具体的なこともわかりました。




えー、しかし私の論理がですね、先入観・価値観は一切入れてないんですね。えー、タバコが肺がんの原因になるとか、ならないとか、どっちも考えておりません。それから科学的な合理性のないデータは、一応頭には入れとくんですが使ってはいません。つまり側に置いとくだけで、ま、論理の展開には使わない、と。これはまぁ科学的にはそうなんですね。ま、一応無視するわけじゃないんですが、採用するまでに至らない、とまぁこういう感じですね。




それからもちろん、私、目的を持って私なんかやるってことはほとんどありません。えー、目的を持ってっていうか、ま、子供を救うとかそういう目的はあるんですけど、例えばタバコが優れてるとか優れてないとか、そういう価値観には触れません。少なくとも解析してる間は触れません。えー、社会的な運動ってのは非常に大事なんですが、私の役割は科学的な論理展開なんで、それを楽しんで頂きたい、とまぁいうふうに思います。えー、ぜひいろいろ皆さんと考えていきたい、と。




えーと、まずタバコは肺がんの原因の主要な一つであることは間違いありません。これもう何回も私言ってんですけども、あー、「武田はタバコは肺がんの原因じゃないと言ってんのか」と…いや、そんなことまったくありません。もう、ずーっと前から、タバコが肺がんの原因であることは間違いないんですよ。えー、これ、非常に難しいんで私が言います。




ま、肺がんてのはまぁ気管支とか、気管支のがんも入ってるわけですが、ま…原因となります。どっちかっていうと世界的に見るとアングロサクソンに多くてですね、ラテン民族や黄色人種は若干肺がんになりにくい傾向にあります。で、日本ではですね扁平上皮癌だとか小細胞癌っていうのはですね、実は喫煙者にしか見られません。えー、そういったものが肺がんの半分でした。ヨーロッパではもともと扁平上皮癌が多い傾向にあります。




つまり、がん…今からかなり前ですね、まぁその、ようするに、えー禁煙運動が起こったころっていうのは、えー、肺がんの半分が喫煙者なんですよ。喫煙者に限られてるわけですね。ですからもちろん肺がんの原因はタバコなんですよ。これはまぁはっきりしてるわけですね、ある意味で。




ところがちょっと最近ではややこしくて線癌が増えてるわけですが、もう全体の7割ぐらいにはなってるわけです。でまぁ女性の線癌は喫煙とほとんど無関係なんですね。ま、この問題はちょっと後に置きたいと思うんですよ。ようするに、ま、いろんなことがあるんで、今私はですね、ずっと1990年ぐらいのいわゆる禁煙運動というのが始まったころのですね、あの…ことをやってますので、また最近の問題はですね、これが入るとまたややこしくなりますので、ちょっと割愛してる。




このことについては、えーと、ある人からですね「武田は禁煙運動がおかしいというデータだけを持ってきてる」……いや、全然私そのつもりありません。えー、この線癌の問題なんかはですね、禁煙運動には反対側の意見…アレなんですけど、僕はやっぱり今のところちょっと横に置いとります。




えー、それからですね、ここんところちょっと詳しく説明しますと、扁平上皮癌と小細胞癌が喫煙者に限定されているわけですから、喫煙ががんの引き金になるってのは、これは間違いないんですよ。これ否定しないんですよ私。だから喫煙は健康に悪いかどうかわからない、とこう言ってるんですね。それはまったく、まったく論理が離れてるわけですね。ま、ここが科学的に難しいわけですが。




かつて肺がんの半分を占めていたこれらのがんが喫煙者からしか発生しないわけですが、だけども喫煙者はもしかすると他のがんになりにくかったり、他の病気にならなかったり、もしくは自殺が少ないとか、いろんなことがありますからね。だからタバコを吸った方が健康に良いということになる可能性はあるんですよ。つまりですね、喫煙ががんの引き金になるということと、タバコを吸った方が健康にいいっていうことは、もう、悠々と成り立つんです、両方とも。だからその、そんなことを、まぁ、そのねぇ…その、ゆっくり考えなきゃいけないわけですね。




それから喫煙者の死亡の原因は肺がん以外にあったっていうことも、これがねぇ、もうデータが難しいんですよ、実は。もう…あれこれと調べると違うデータが出てきてですね、困るんですが、ま、禁煙(運動)が起こり始めて、今から40年ぐらい前、例えば1970年ぐらいはですね、肺がんがきわめて少ないんですね。えー、男性では喫煙者が4000万人ぐらいいたんですが、その年に肺がんになる人はまぁ15000人ぐらい。ま、そのうちお亡くなりになった人が、まぁ104年ぐらい生きるとすると、まぁ400万人としますとですね、400万人…40万人ですね。40万人としますと…40万人としますとですね、肺がんにかかった人は、えー、実にですね26人に1人と…まぁこういうふうになりますね。




えー、まぁ、もしもですね、えー、肺がんなる人全員は喫煙者じゃなかったので、そうすると2/3とすると40人に1人なんですね。まぁ、この前の計算30人に1人で、これちょっと1980年…いろいろデータがあった難しいんですが、ま、30人とか40人に1人ですね。ですからタパコを吸うと肺がんになるという表現は不適切だってことが、これはっきりしますね。40人タバコを喫煙して1人しか肺がんにならないわけですから、これはまぁいい、と。ね。




それから第二に、タバコを吸う人の主たる死亡原因がわかれば、まぁタバコを吸う人がそれなりに注意をすることができるわけですね。つまり39人の人が亡くなったのは肺がんではないんですね。ですからあまり肺がんだ肺がんだって言うとですね、みんなが肺がんに注意しちゃうんですけど、えー、実は39人は違うっていうことですね。




で、これね、お医者さんは、あの、「タバコをやめた方がいいんですけどね」って言うのはこれもっともなんですよ。だって肺がんを治療してるお医者さんにしてみればですね、肺がんの治療って困難ですからね。だからそうすると「あぁ、この人が喫煙していなければならないのになあ」と残念に思うのは、これお医者さんとしてまともなんですよ。




これはですね、個別の患者さんを扱った時の医者の話なんですよ。この医者がですね、その患者さんがまぁ不幸にしてお亡くなりになった、それでカッとこられてですね、「タバコは社会的に禁止すべきだ」ってのはダメなんです。もしもそれを言うんだったらですね、えー、その…40人のうち39人が何の原因で亡くなってるのか、えー、タバコを吸う人の健康とか寿命(は)どうなってるのか、彼は人生がより幸福であったのか・不幸だったのか、ま、これを広範囲に調べて研究しなきゃいけないわけですね。




ところが現在では健康の縦割り行政になっていて、一つ一つのことでみんなが言うから、もう聞き手はですね困っちゃうんですよ。これ、あの、今の被曝と一緒ですね。えー、外部被曝の人は外部被曝だけで1ミリ、と。内部被曝の人は内部被曝だけで1ミリ、と。で、あっちから(違う方面から「2つ足すと2ミリになりますよ」と…「俺、知ったことか」っちゅう、そういうやつとちょっと似てるんですね。




ま、良心的なお医者さんが「肺がんになるんで、タバコはやめた方がいいですよ」ってのは、これまともな話なんですよ。それとですね、社会的にタバコは排斥するべきかどうか(とは)まったく違うっていうことですね。




それからですね、これが私がもう苦戦惨澹したとこなんですが、データが隠されてるんですよ。ま、一つはあの、喫煙率が下がると肺がんが増えるという統計上の相関関係ですね。もう一つはですね、厚生省とがんセンターがほんとにねぇ…なんていうか、環境省と厚生労働省と同じようなもんかもしれませんねぇ。えー、ほんとにこう…最も多く引用される論文がねぇ、とてもいかがわしいんですよ。




まぁ、第一のことについて、統計上の相関関係を持って結論を出すことはできない、相関関係を慎重に検討する必要があるけども、まぁ、因果関係も相関関係もみんなきちっとしなきゃなんない…まぁ、いうことが問題なんですが、これちょっと今日軽く見てですね、実はですね、喫煙率は肺がん死の逆の相関については説明をしてないんですよ。シートを見てもそこだけ抜けてるんですよね、実に困ったことに。




それともう一つはですね、えー、あー、だからこれは「タバコを吸うと肺がんになる」と言うとですね、喫煙率が下がれば肺がんが減らなきゃいけないですよ。これが逆なんですからね。それから20年ぐらい後だって言うから、僕がやり直したらそうでもない、と。




だけど、問題は第二の点なんですよ。ま、がんセンターがしょっちゅう使用する論文があるんです。これはがんセンターばかりでなくて、他の人も引用してるんですよ。それはですね、実は逆なんですね。喫煙する人が10万人あたり495人が肺がんになるのに、タバコを吸わないか、もしくはたまにしかタバコを吸わない人は10万あたり568人肺がんになってるんですよ。だから明らかにですね、タバコを毎日吸う方が肺がんになりにくいんですよ。これ絶対、常識的に理解できませんよ? 常識的に理解できないったってデータがそうなんですから。




ところが、この結論が反対(のもの)で、タバコを毎日吸った方ががんが多くなるってデータはなんで言われてたかったら、この数字がですね、隠されてたんですよ、ええ。いやぁ、公表されたデータは一部だったんですよ、患者さんの肺がん死と。これじゃあねぇ……。




それからもう一つはですね、こういったデータはいつも同じグループから出てきてるんですよ。これね、あの…あれがそうでした。洗剤とせっけんの時ね。私は200ぐらい論文読んでみたらですね、洗剤でがんが出るという結果が、ある大学のある研究室からしか出てないんです。それが40報ぐらい多いんですけどね。あとの160報は全部否定されてるんです。




でねぇ、こういうことってあるんです。あの…悪意であれ、悪意じゃなくてもですよ、研究者の。それはあの、そういうふうに思い込んだり、そういうデータが実際に出たりすることがあるんですけどね。でもそれはちょっとダメなんですよ。広くそういうデータが出てこないと、ですね。まぁ、つまり、論旨に…自分の論旨に反するデータを説明しないってのがまずダメです。それから、科学者がそれを読んで理解できるように整理しなきゃダメですね。




それから第三に整理されたデータを根拠となる素データを公表しないってことなんですね。だって昭和45年からとかっていうの書いてあるんでが、どうやってデータが残ってたのかってなことは非常に疑問ですからね。その点では厚労省とかがんセンターの研究発表ってのは実に科学じゃありませんねぇ、政治です。ま、こういったものは世の中あるんですよ。




えー、常温核融合事件だとかですね、韓国の細胞の研究なんかで大きく新聞なんかに出たものいっぱいあるんです。こういったあの…科学的に詐欺事件ていうのは。で、これはもうデータを最後まで出さないってことになるんですね。で、これは…この、こういった厚労省とかがんセンターがやってるデータは、まだデータ公表されてないんですよ。




で、私ね、使ったデータがね、右往左往して取り消したりなんかしてるのはなぜかっていうと、こっちのデータ見るとこうで、あっちのデータ見ると違うんですよ。それはもうどうしてかっていうと、元データが公表されてませんからね。ダメなんです。ま、辻褄が合わない、と…まぁいうことですね。




ただですね、私あのー、えー、まぁあの、その…一番こう…なんか、基本に思うのはですね、こんなにおかしなデータしか出てないのに、なんでお医者さんだとか科学者がですね、この魔術みたいなデータをなぜ信頼してるかってのがわからないですね。それはたぶんね、がんの原因…肺がんの原因はタバコなんですよ。それと、タバコを吸うとがんになるっていうのが違うってことに、ちょっと気がつかれてないんじゃないかって…まぁ失礼なんですけどね、ま、そんなように思うこともあります、ええ。ですから、えー、ここん所ですね、問題です。




ところがもう一個問題ありますね。それは、えーもー、いかがわしい論文をですね、なぜ使ってるか、と。それはね厚労省とかがんセンターとかいう社会的に…娑婆(シャバ)の権威なんです。だけど学問はですね、娑婆でどんなに権威があろうと、そんなことは全く関係ないですよ。えー、これについてもですね、おそらくは地位が高い人が出したものを信用してんじゃないかと思うんですね。これはあの、学者じゃないですね。学者は、相手が地位が低くても高くても、科学的に立派なものはちゃんと採用し、科学的に不備のあるものは、「ま、先生のご発表ですから尊重はしますが、ちょっと」…って言って使わないのが、やっぱ見識ですね。




ま、これ長くなりましたので、これで一応一段落しますが、もう一回ですね、実は書いて…えー、長く続いている、えー、このタバコの問題っていうのは一体なんなのか? と。私は全く最終結論に先入観持ってません。えー、読者の方で「武田先生は何を言いたいのか?」…いや、何を言いたいのか決まってれば、それを先に書きます。それを回りくどくですね、ぐずぐず説明しません。




私はですね、科学的に、この…タバコの問題を進めていった時に、どういう結論になるかっていうのが興味なんですよ、私は。私はなにかこう…こういうことやると得になるとか、そういう最終結論からいくんじゃないんです。あるものがボンヤリあった場合、それはほんとにそうか? ということを考えるプロセスですね、これがまぁ科学者…それで科学者になってるわけですからね、ええ。




普通の人にはもしかしたら「結論先に言えよ、そんなことめんどくさいから」って言われるでしょうけど、我々科学者はですね、考えていくプロセスが楽しいわけです。そこで、まぁ…ほんとかな? と疑う…地球の周りを太陽が動いてるってのはほんとかな? と思って疑う。そして色々調べる、と。これが科学者である…とこんなふうに思いますね。



えー、もう少し続いて…続けてやりたし、というふうに思っています。