日本だけ・・・家賃はもらうがトイレは使わせない?! | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

日本だけ・・・家賃はもらうがトイレは使わせない?!



マンションを経営する人が、「家賃はいただきますが、非常階段もありませんし、トイレは使用できません」という条件で5階建てのマンションの入居者を募集したら、マンションに入る人がいるだろうか? おかしなことを言う経営者だと思うか、「この人、大人?」といぶかるだろう。



大人があることをする時には、それが始まってから発生することはおおよそ予定し、覚悟し、準備をしてからする。結婚したら普通は子供ができるので、「子育てできるだけの力と覚悟」がなければ、結婚しないというのが責任ある大人というものだ。



その点では原子力発電が安全であろうと、危険だろうと、日本人はもともと原発をやる資格はないし、原発が安全とか危険ということを議論する年齢にも達していないような気がする.



原発を動かせば、電気はそれだけ使うことができる。今でも経団連は「経済活動のために原発が必要だ」と言っているし、経団連の本部は東京にある.


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東京は原発の電気を受け取っている(マンション経営の人が家賃をもらうのと一緒)。それにもかかわらず原発の危険は福島県と新潟県の人に委ねる.東京にも多摩川や荒川、そして東京湾があるのに、「そんなところに作ったら危険だ」と言う.まして多摩川の水道取水口の上流に作ろうものなら、すごい反対運動が起こるだろう.



でも、福島の阿武隈川、福島の海、新潟の海は汚れても問題は無いのだろうか? 東京の水道と福島や新潟の海となぜ違うのだろうか?



さらに東京は原発の廃棄物を引き取らない(マンションの入居人にトイレに行くなと言う)。人間は生きていればトイレが必要であり、原発は運転すれば廃棄物がでる。そんなことは最初から判っているが、廃棄物はその中間処理を青森に委ねている.



「電気は欲しい。必要だ! でも危険もイヤだし、廃棄物も引き取らない」という東京の人は大人ではない.自分勝手であること、恥ずかしい限りだ。でも、日本にはまだ原発廃棄物の最終処分場すらない。なぜ無いのに原発が必要だというのだろうか? 原発は安全でなければならない、そして原発の廃棄物は原発の電気を受け取る以上は必ず「最初から」作っておく必要がある。

残念ながら、アメリカもヨーロッパも原発を進めている国は原発立地と廃棄物でこんなに惨めな状態ではない。日本民族はしっかりしていると錯覚していたが、がっかりすることが連続してる。




今の日本人のスタンスは「運転は危険だから貧乏なところに建設して、お金を渡せばよいだろう.廃棄物は貯めるだけ貯めて、子供たちが処理してくれるだろう」とまるでわがまま一杯の駄々っ子である。



原発の再開問題は安全第一だが、それには、多摩川上流、木曽川上流、そして琵琶湖を第一候補としてまずそこに建て、廃棄物貯蔵所を東京、名古屋、大阪に付近に作るのがまずは前提である.



今回の原発事故にかかわる軽水炉の安全基準を審査していた私にとってみれば、事故のもっとも重要で本質的な原因は「電気だけもらってお金を払うお金持ちの日本人」と「危険だけをもらってお金をもらう貧乏な日本人」という二つの階級を作ったことにあると思う.


「絆」という言葉は実に白々しい。

(平成24年3月18日)



--------ここから音声内容--------




えーと、ある人がですね、あのマンションを経営しようと思って、えー、ま、マンション建てましてね、ま、入居人を募集する、と。ま、5階建てぐらい、と。「家賃はいただきますが、非常階段ありません。えー、トイレも使用してはいけません」というような条件で入居者を募集したら、そのマンションに入る人はいるでしょうかね? おかしなことを言う経営者だと思うかですね、ま、大人としてはちょっと恥ずかしいという感じがしますね。





つまり大人というのは、あることをする時に、それが始まってから発生することがおおよそ予想してですね、その覚悟をし、準備をするってのが普通ですね。例えば結婚したら、ま、家は借りなきゃいけないし、子供もできるので、ま、子育てする力と覚悟がなければ結婚しない、と…まぁいうのが責任ある大人というもんでしょうね。ま、その点では、あー、原子力発電所が…発電が安全であろうと危険であろうとですね、私は元々日本人っつうのが原発をやる資格がなかったんじゃないかと思うんですね。





今でも、まぁ、議論の本筋も非常に幼稚なんでありますが、ま、まさに、えー日本はですね、原発の安全性を議論する年齢にも達していないと…いうような気がしますね。もちろん私がいつも言うような、えー、「福島の農家を助けるために、日本の子供に被曝させる」とかですね、えー、「瓦礫を処理するのが、温かみのある心だ」なんていうのは、全部子供の議論ですからね、まぁ子供のレベルと…まぁいうことが言えるじゃないでしょうか。



えー、経団連はですね、今でも「経済活動のために原発は必要だ」と、ま、言ってるわけです。その経団連の本部は東京にありますね。えー、東京の人ってのは原発の電気を受け取ってるんですよ。原発が必要だと言ってるわけですね。これはマンション経営の人が家賃をもらうのと一緒であります。それにも関わらず、原発の危険性というのは福島県と新潟県の人に委ねる。ま、非常階段がない…というのにはちょっと似てるわけですね。





東京にももちろん多摩川とか荒川とかですね、東京湾があるんだから、そこに造ったらいいのに、そんな所に造ったら危険だと言うわけですね。えー、まして多摩川のたぶん水道の取水口が、まぁ、途中にありますが、その上流に造ろうもんなら、すごい反対運動が起こるでしょうねぇ。だけども、福島の阿武隈川とか福島の海、新潟の海は汚れても問題ないんでしょうかね? なぜ東京の水道と、福島の…とか、新潟の海とはなぜ違うんでしょうか。私はね、同じだと思うんですね。それは自分の目の前の川は嫌だけど、阿武隈川ならいいや、と…そういうことはありませんね。






だからまず東京はですね、えー、そういうことはまず考えなきゃいけません。さらに東京は原発の廃棄分を引き取りませんね。ま、つまり、あー、マンションの入居人がトイレに行くな、ということですね。人間は生きてればトイレが必要であることはわかっとりますし、原発は運転すれば廃棄物が出ることもわかっております。そんなことは最初からわかってるんですが、廃棄物は、その…中間処理を青森に委ねてるわけですね。






だから、電気はほしい、と。あるいは、まぁ、経団連の人は、まぁあれ…子供なんでしょうね。いや…顔つきもなんか子供みたいに見えますけど…「必要だ!!」と言ってるわけですよ。だけど危険は嫌だって言うんですよ。だから東京以外に造ってくれ、と。廃棄物も引き取らないよ、とこういうわけですね。大人ではないでしょうね…っちゅうか、もうあまりにも自分勝手で、私なんかも同じ日本人として恥ずかしいですね。





しかし、これは東京の人だけじゃないんですよ。実は日本にはですね、まだ原発の廃棄物の最終処分場がなくて貯めに貯めてるんですよ、ええ。もちろん原発が必要だというのは、原発が安全じゃなくちゃいけませんし、えー、原発の廃棄物は電気を受け取る人がですね、最初っから引き取る覚悟をしとかなきゃダメですね。




ところが今の日本人のスタンスは、運転は危険だ、と…原発の、だから貧乏な所に建設してお金を渡せばいい、と。廃棄物は貯めるだけ貯めて子供たちが処理してくれるだろうっていうわけですから、まぁこれはわがまま一杯の駄々っ子っていう私は感じがします。





原発の再開問題はですね、安全が第一ですけども、それにはまず多摩川の上流、木曽川の上流ですね、そして琵琶湖を第一候補としてそこに(原発を)建てて、廃棄物貯蔵所を東京・大阪・名古屋付近に造るのがまず前提です。私はそう思いますね。それによって初めてですね、原発は安全になるわけです。えー、福島とか新潟の海はですね、危険でもいい、と、汚れてもいい、と。えー、そこには貧乏人が住んでんだからお金渡せばいいなんていう話はですね、ダメですね。





えー、私は割合と長く原子力…今度の原子力事故に関わった軽水炉の安全審査の、ま、基準なんかを作ってたわけであります。えー、事故のもっとも重要で本質的な原因はですね、電気だけもらってお金をもらうお金持ちの日本人と、危険だけもらってお金をもらう貧乏な日本人の、二つの階級を日本に作ったってことだと思いますね。





最近「絆」というなんか…雛人形ができたって…もう嫌ですね、僕。もうね、実に白々しいですよ。絆が必要なのはなぜかっていうと、お金で結びついた主人と召使いですよ、ええ。そんな関係を作ってですね、えー、日本がやれるはずはありません。のちに私は、それほど好きな国ではありませんが、フランスの原子力発電所の紹介をしますが、そういうことはまったくありません。





ま、日本人がまだですね、階級制を持って、えー、貧乏人をさげすんでる、と。ま、貧乏人の方も、お金をもらって魂を捨てる、と。これではですねぇ……それでそれを「絆」という名前で呼び、廃棄物を子供たちに託して…廃棄物だけをですね、電気だけをもらって廃棄物を子供たちに託しても平気な大人。これではですね、やはり、えー、明るい将来は期待できないと思います。