瓦礫問題を再び整理する・・・明らかにして欲しいこと(3/11)
瓦礫問題がこじれている。日本は「民主主義」だから、「実施する方は説得する努力」が必要で、「判らない奴は黙れ!」などという人は日本から出て行ってもらいたい.民主主義を育てるには、面倒でもキチンと説得する力が必要で、民主主義では説得がイヤな人は実施側の担当を止めた方が良い。
今、瓦礫のことを心配している人を説得するには次のことを誠意を持って説明することだ。
1) なぜ2300万トンの瓦礫の内、400万トンだけを広域処理(被災地以外の処理)をしなければならないのか。もし1900万トンを10年で処理するとすると、それが12年に伸びるだけであるし、もし被災地が望んでいる「新しい処理施設」を2割ぐらい作ると、それで解決する.なぜ、簡単に思われる「被災地処理」をせずに、多くの人の心配を押し切るのか?(今の説明では「思想的指導」、あるいは「被災地以外で心配している人をいじめる」ことが目的ではないかとも思われる.) 説明さえされていない。
2) 瓦礫の汚染度をどうやって特定するのか。焼却灰は1キロ8000ベクレルと決まっているが、比較的、均質なので測定することも可能だが、瓦礫はどうするのか? 1キロ1万ベクレルを超えていれば、法律上「放射性物質」として扱わなければならないが、瓦礫のどの部分がそれに当たるかを特定する方法は無い。法律では「平均」は関係が無い。
3) 瓦礫の基準がセシウムだけだが、ストロンチウムやプルトニウムの基準がない。プルトニウムの毒性については議論があるが、多くの人がプルトニウムが焼却炉からでて肺に入ることを心配しているのだから、「おれは知らない」という態度では不安は消えない。
4) セシウムは「金属セシウム」の沸点が640℃程度で、金属としては水銀に次ぐ揮発性の金属である。焼却炉は一般的に酸化雰囲気だが、一部、還元雰囲気で運転される(炭素が多い場合)。金属セシウムのガスについての説明がない。また酸化雰囲気で酸化セシウムができるとさらに沸点は低く250℃だ。焼却炉の温度は1000℃から1200℃程度だから、「セシウムは粉ではなく、ガス」の可能性が高いのに「フィルターで除く」と言っている。ガスはフィルターではとれない。日本は科学技術立国なので沸点の説明はいる。
5) 「危険か安全か」を議論するときには、「平均」を使うことはできない。障害者は「平均で障害を受ける」のではなく、バラツキの危険側で障害を受けるからだ。つまり、「上限」だけが意味があって「平均」は危険性を議論するときには何の意味もない。この世には「統計学」という学問があり、少なくとも3シグマ(全体の99.7%の人が外れる)を「安全」の境界としなければならない。それでも1億人で30万人が被害を受けるという基準になる。日本は科学技術立国であるので、統計的処理の結果を説明しなければならない。
6) (これは何回か言っていますが)今回の原発事故で漏れた放射線量は政府発表でも80京ベクレルで膨大。これが日本全体にまかれたら日本人は日本列島に住むことはできない(一人平均80億ベクレル程度になるから)。国家の計画は最初の基本を決めて、それに応じた個別の計画でないと、最終的に国家がどのようになるか判らないし、それで専門家がOKというわけにはいかない。
瓦礫の問題がこじれるのは、「ヒステリックに瓦礫の危険を叫んでいる人」にあるのではなく、「黙れ!と言って、相手が納得できるような肝心なことを説明しない人」にあり、それは日本の指導者が民主主義を信じていないことによると思う。
(平成24年3月11日)
--------ここから音声内容-------
私は瓦礫の移動については、まあ、批判的なんですけども、まあ、日本は民主主義ですからね。えーっと、まあ実施したい、と言っている人がですね、充分に説得をしてくれればですね、その内容が合理的であれば、あのー賛成のほうに変わったっていいわけですね。えー、人間ていうのは、正しいことがわかって、その意見を変えるのはなんにも恥ずかしいことじゃないわけです。ところがわからない奴は「黙れ」と、言われるとですね、ま、自分で考えざるを得ない。ま、自分で考えれば、もちろん瓦礫の移動は…あの、よくない、というふうな結論になるわけですね。えー瓦礫を移動しようとしてる人、そいからまぁ、そういうことを窓口で…市役所の窓口で言う人はどういう気持ちなのか。えー、まぁそこら辺をですね、少し推し量りたいと思ったわけですね。
えー、まず一つはですね、なぜ2300万トンの瓦礫のうち、400万トンだけをですね、広域処理をしなけりゃいけないのか、と。えー、例えばもし1900万トンを10年で処理するとする…だいたい1年に200万トンくらい処理できるわけですから、えー、それが12年にのびるだけなんですね。えー、もしも、2割…ですから増大するということですから、今被災地は、私の行ったところではですね、新しい処理施設を、まぁ作る…(作り)たいと思ってますからね。そうしますと、もう簡単に現在の被災地の方の生活を守るようにすればですね、瓦礫問題はなくなってしまうということですね。だからこれがなぜ説明されないのか、っていうことなんですけど、多くの人が心配してるのに「黙れ」と言うのか、と。
これはですね、私はなんか思想的な指導なのかな、と。ようするに人の困ってるのを、そのままに放置するのか、とか、それから被災地以外の人を、どうもこの際ですね、自分のことを心配している人をいじめたい、というふうに思ってるのか、まぁ私にも伝わってこないんですね。えー、ただ、その…被災地の人を救おう、ということだけなんですね。これはやっぱり民主主義としては全然ダメですね。
それからもう一つ、科学的に二つばかりあるわけです。一つは、瓦礫の汚染度というのは測定できないわけですね。私はまあ…焼却灰1キロ8000ベクレルっつのはまぁ使ってるわけですが、ま、それはですね、瓦礫の汚染度っていうのはですね、瓦礫ってのは山のように積んであって、ま、そん中に…どこかに1キロ1万ベクレルを超えてるところがあれば、移動もできないはずなんですよ。じゃあ、そんな濃いところはないはずだ…じゃなくてですね、あのー、受け入れる側の心配も考えればですね、瓦礫というものを…(瓦礫)の汚染度をこうやって測ります、と、従って1キロ1万ベクレル…セシウムだけですけどね、これ、…を超えているというものはありません、と。やっぱこれ言ってくれないとですね、そのー、それが合理的に理解できない、と。
まぁ一応小学校・中学校卒業してればですね、合理的な説明っていうのを理解することができるんですよ。だからこれ…えー、瓦礫の平均値はどのくらいですか? とお役所に聞いたらこういうふうに言いました、と。…いや、それだけじゃですね、あのー江戸時代の農民って感じですよね。まぁ、江戸時代の農民でもそれで納得しなかったと思うんですけどね。まぁ、そういうことがある、と。ま、これをどうするかっちゅう問題がありますね。
そいからあの、セシウム、これをですね…あの瓦礫を移動して焼いた時ですね、焼却した時に、金属セシウムってのが沸点が650度ぐらいなんですよ。で金属セシウムってのはまぁ水銀に次ぐですね、揮発性の金属で、えー、金属にしちゃぁ結構危ないものなんですね。えー、ですからあの焼却炉ってのは一派的に酸化する雰囲気ですから、まぁ還元された状態の金属は出ないとは言えるんですが、しかし炭素を多く含みますからね、あのー焼却炉は。還元雰囲気で焼却する炉ってのはあるんですよ、現実的に。ま、そういう炉ではですね、セシウムがどういう形で出てくるのかっていうことが問題なわけですね。
そうしますとガスですから、これはまぁ危険なわけですね。それから逆に酸化雰囲気の時は酸化セシウムができるんですが、この酸化セシウムもちょっと分解性ではあるんですが、沸点は250度なんですよ。ですから焼却炉が1000度から1200度という点から言えばですね、セシウムが粉ではなくてガスで出てくる可能性があるんで、えー自治体が言っている、フィルターで除くっていうことがどういうことなのか…っていうことですね。ま、これの…ちゃんとした専門家が納得できる説明がいるということですね。
それから三番目がですね、危険か安全かって議論する時には平均を使うことはできないんですよ、ええ。えー、平均的に障害を受けるっていうんじゃないんですね。ばらつきがこうあるんです。ここにちょっと図だけ示しますけども、統計的な処理っていうのがあるわけですね。よく3シグマというんですけども、まぁ安全を見る時には、まぁ99,7%の人は安全だけど、0,3%の人は危ない、と。ま、そういうようなですね、話をしなきゃいけないんですね。
で、そうしますと、例えばまぁ3シグマ以上であってもですね、もし世の中全体が…日本人全体が被害を受けると30万人(1億2千万人の0,3%のこと)、まぁその1/10の県が引き受けたとしても3万人の被害がある、ということなんですね。で、これは、今度の瓦礫の移動っていうのは、こういう点から言ってどのくらいの危険性があるものなのか、と。ま、これはリスクとか、ま、そういうものを研究されてる方はよくわかっていることで、ま、その専門家がどう考えているのか、と…まぁいうことですね。
ま、放射線に対する害とか、水銀の害とか、アスベストの害とか、みんな同じなんですね。全員が…水銀で全員がなるとか、それから一定量の水銀を、あの、取れば、かなりの人が同じようになるにしてもね、それを…魚を食べる比率の人とか、食べる魚がまたばらついておりますからね。ま、水銀でもそうなわけですね。ま、ここでついでに言いますとね、水俣病で水銀の時に、「水銀を食べて…水銀で汚染された魚を食べて漁民を助けよう」なんて話はありませんでしたしね、そいからアスベストの害の時に「アスベストはすぐ、10年後に被害が出るんだから、今は元気だったら関係ないじゃないか」なんていう説明はありませんでしたね。
私、今度でねぇ、ほんとに特別な説明が次々と出てくるのを、やはりこれ、恐怖心のあまりですね、やっぱり放射線が怖いというんで、大人がですね、それを正面から受け取れないんじゃないかと思いますけども、それでは子供を守ることができないでしょうね。
えー、ちょっと話がずれましたが、もう一つ、これは私、もう何回も言ってるんですが、今度福島の原発から漏れた量が、政府発表で80京(けい)ベクレル。ま、これは非常に大きいので、国家としてこれをどうするか。それを最初にですね、ドン!と来ないとですね、やはり日本国に誰も住めなくなるっていうような状態…かどうかわからない状態で進むっちゃ(進むわけには)いかないわけですね。
私が「80京ベクレル…一人あたりに直すと80億ベクレルだ」って言いましたらね、「そんな一人あたり均等に行くんじゃないんじゃないか」って、そういう反論じゃなくてですね…そういうつまらない反論じゃなくて。確かにそりゃ80京を80億……、1億で割るんですから80億である…ここまでは確かなんですよ。じゃあそれを、そうしないためにはどうしたらいいかっていう、そういう計画を出さないといけない。この瓦礫の問題はそこの所に非常に基本的な問題があるわけですね。
ま、繰り返しますが、瓦礫の問題が現在こじれているのは、ヒステリックに瓦礫の危険を叫んでる人が原因してるんじゃないんですよ。「黙れ」と言ってですね、民主主義なのに、相手を説得できるような肝心なことをきちっと説明するっていう人がいないっていうことなんですね。これは私ねぇ、日本の専門家・指導者、まぁNHK、東大教授、全部含めて、民主主義を信じてないんじゃないかと思うんですよね。
あの、これねぇ、そんなに…まぁ急いだ方がいいんだけど、今日・明日を、この…急ぐもんじゃないんですよ。民主主義というのはですね、もともと、決まったら反対運動が起きちゃいけないんですよ。だけど、決める時に民主的じゃなくちゃいけないんですよ。日本、これ、いつも逆なんですよね。決める時に民主的じゃないんで、決めた後ゴタゴタゴタゴタするんですよ。これをこの際やめてですね、私は、決める時にちゃんと説明をして、ま、信頼できる指導者がですよ…ウソをつかないという信頼できる指導者が、きちっとしたデータをはっきりと説明する、と。ま、それはですね、あらかたの専門家とか、あらかたの人たちが「あ、なるほど」と納得できるものを出してほしい、と。私はそういうふうに強く思いますね。このままでは危ないということですね。