専門職が立ち上がって欲しい(2) 実は、私の家は岩手県・一関のお米を食べていました (3/6)
あるテレビ番組で私が「一関には放射性物質が降下した」と「事実」を述べたら、一関市長と議会から猛烈な抗議を受けました。一関市が抗議するのは私でなく、放射性物質を飛散させた東電(当て字で恐縮ですが、本当は「盗電」と呼びたいぐらいの気分ですが)と、一関の汚染を知らせなかった文科省や国交省と思います。
危険をお知らせしたので、感謝されると思ったら思わぬ反撃でびっくりしました。公的な活動も制限されましたが、それだけ一関市の人は震災や汚染で苦しみ、切羽詰まっていたのでしょう。
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ところで、私の家では一関の信頼できる農家の方から送られてきた汚染されていない(ベクレルの測定された)お米を食べていました。
今回の事故で東北の農家の方が苦しんだのは、「風評」ではありません。むしろ「風評」を創り出したのは、政府、自治体、そして東北の農業関係者でした。消費者はもっと素直で「汚染されていなければ食べたい」という気持ちであり、「東北の人を助けたい」という日本人だったのです。
本当の意味で「東北の人を助けたい」と思っている人を東北の自治体が裏切ったように私は感じます。日本人はそんなにダメな民族ではありません。
一関のお米が食べられないのではありません。ベクレルが測定されていないお米が「危険」だからです(もちろん1キロ40ベクレル以下です)。ものごとは「それを作る過程が問題ない」か、「そのもの自体が測定されている」ということによって「安全」になるのです。「それを作る過程で問題があるのに、測定されていない」のを無理矢理「安全」といって「風評」を作り出したのは自治体と農業の方だったのです。
一関のお米は実に美味しいので、汚染さえされていなければもちろん食べたいのは当然です。私たち食べる方が「汚染されていない」という確信を持つことができるのは、「農家の方が安心して食べることのできる農作物を作ろうという意思があり、汚染地域ではベクレルを測定している」という2つの条件が必要だからです。
法律で定められた被曝限度をねじ曲げたり、「政府が1キロ500ベクレルまで安全だと言っているから、それでよい。我々は自主的に決める力はない」という農業団体も問題です。「農作物が供給できないから、健康を損ねても良いから被曝限度を上げる」とした食品安全委員会のメンバーはさらに責任が重大ですからすぐ辞任し、原点に戻り、風評を無くすように努力してください。
私の知り合いの「安心して食べられる農作物」を目指してきたある福島の農家の方は生産をおやめになりました。安心して食べられる農作物を作ることができないからです。このような本当の意味でも農家の方は「被曝しても大丈夫。汚染された農作物をみんなで食べよう」というねじ曲がったキャンペーンで苦しむのです。
汚染を測定すれば、一関の農作物の10分の1も汚染されていないでしょう。そして信頼されていたはずであることを考えると、実に残念です。
でも、日本は本来、官僚が支配する国ではありません。善良で誠実な日本人の国です。農家の方がもっと意思を強くして、「目の前にお米が二つある。一つは汚染の心配のない鹿児島のお米、一つは10分の1だけれど汚染されている一関のお米。どちらを選ぶお母さんが日本のお母さん?」という問いをここでもう一度、考えてください。
日本人の農家らしい善良で誠実な農家になってもらいたいと思います。日本国は私たちのものです。原子力の通常予算(約5000億円)は汚染された農作物を全量買い上げても、その6分の1以下にしか過ぎません。農家が頑張れば測定して、汚染された農作物を通常価格で全量、買い上げることができるのです。
今こそ、大切な日本の食材を提供している農家の方、立ち上がってください! 消費者、子供を被曝させないでください。
(平成24年3月6日)
--------ここから音声内容--------
えー、私があるテレビ番組で、「一関には放射性物質が降下した」という「事実」を述べましたら、ま、一関市長と議会から猛烈な抗議を受けました。私はですね、一関市が抗議するのは私ではなくて、放射性物質を飛散された「盗電」(東電)、ま、当て字でちょっと書きましたけどね、それから一関の汚染を知らせなかった文科省や国交省の方だと思います。ま、私はその当時、まだ日本人が普通の考えを持ってると思ってましたので、一関に放射性物質が降ったんだという危険をお知らせしたので、ま、感謝されると思った、対策はとれますからね。ま、思わぬ反撃でびっくりしたわけです。
その後、武田は、なんて言いますか、トンデモだ!とかいう話になってですね、ま、若干いろんなところから排斥されました。そんなことは私は全然、意に介しません。えー、学者としてですね、事実を言うということはほんとに大切なことなので、そんなことは気にしません。ま、それだけ一関の人がですね、震災とか汚染で苦しみ、切羽詰ってたのかなぁ・・・と。だけど、もう少し大人として、ま、一関市の子供を守る、もしくは日本の子供を守るという態度に終始してほしかったなぁ、というふうには思っています。
ところで、私の家では、一関の信頼できる農家の方から送られてきた汚染米、これはベクレルも測定されとりますけども、そのお米を食べておりました、実は。今回の事故で東北の農家の方が苦しんだのは、「風評」で苦しんだのではありません。むしろ「風評」を創り出したのは、政府、自治体、そして東北の農業関係者なんですね。消費者は「東北の人を助けたい」と思ってました。私もそうでした。しかし「汚染されたものは食べたくない」と思ってました。ま、これは人間として当たり前の感情だと思います。
しかし、私のように東北の人を助けたいと思ってる人を、ま、裏切ったような感じがします。日本人は・・・庶民はですね、そんな変な人は多くないんです。私が思うに、一関のお米が食べられないわけじゃないんですよ。ベクレルが測定されてないお米は「危険」なんです。ま、もちろんベクレルが測定されててもですね、1年に500ベクレルじゃ話になんないんですが。ま、1年40ベクレル、つまり法律に沿った汚染のお米、それですね。つまり、物事が安全だっていうのはですね、「作ってる過程が問題無い」、例えば「このおしぼりは、ずいぶん熱い温度で消毒してます」とかですね、そういった過程が問題ですね。
汚染されてるかもしれない畑に植えていたコメということになりますと、今度は「それ自体が汚染されているから、測定されてる」ってことが必要ですね。ところが、「畑はもしかすると汚染されてるのに、安全だと言って測定しないものを売る」っていうのはですね、そりゃあ無理やり「安全」というわけですから、それは「風評」が立ちますのは決まってるわけですね。
一関のお米は本当に美味しいんですよ。だから、汚染されてなければ、もちろん食べたいわけです。で、私たちは信頼関係にあると思うんですよ、農家の方と我々…農家の方の作ったものを食べる我々は、信頼関係があるんです、「農家の方が、我々が安心して食べることのできる農作物を作ろうという意思がある」と。それはその、「国が1キロ500ベクレルと決めたから、それでいきます」なんて、そんな冷たい言い方はダメなんですよね。
1年1ミリシーベルトと決まってる、空間線量で0.4ミリシーベルト浴びる。だから皆さんは、今度の事故で0.4ミリシーベルトしか食材からはとれないでしょう。食材はこういうのも作るから、お米はこのくらいにします。ま、それは例えば1キロ50ベクレルです、と。まぁ、これは国もそう言ってるわけですね、「給食の基準を50ベクレルまで下げよう」なんて言ってんですからね。
しかし、法律で定めた被曝限度を1キロ500ベクレルとか、セシウムだけとかねじ曲げたりですね、食品安全委員会、もっとひどいですよ。「農作物が供給できないから、国民の健康損ねても良いから、被曝限度を上げるんだ」つって、500ベクレルにしたわけですね。これはもう辞任して欲しいですね、風評無くして欲しいですよ。風評作ってるのは、食品安全委員会であり、えー、自治体であり国であり、ま、そう言う人たちなんですからね。
私の知り合いで、「安心して食べられる農作物」を目指してきた、ある福島の農家の方はついに、可哀想に生産をお止めになりました。安心して食べる農作物を作れないんですよ。どうして作れないかっていうと、「500ベクレルでもOK」とか言ったりですね、それから「測定しない野菜を出してるから」、本当の意味で安心した食材を提供しようとしている農家の方が止めざるを得ないという、ま、ひどいもんですね。
私が思うには、もし一関の農作物を測定したら、10分の1も汚染されてないと思いますよ。40ベクレル以下ですよ、絶対そう思いますね!実に残念です。しかしですね、まぁ官僚が支配する国じゃないんですよ、日本は。誠実で善良な日本人で作ってる国なんです。もっと農家の方が意思を強くして欲しいですね。一人一人が意思が強くなければ、やっぱりダメなんですよ。子供を守ることできません。
「目の前にお米が二つある。一つは汚染の心配の無い鹿児島のお米、一つは10分の1だけど汚染されてる可能性のある一関のお米、どちらを選ぶのが日本のお母さんですか?」と言ったらですね、測定されなかったら鹿児島のお米を食べざるを得ないですよ。しかし一関のお米が、1キロ10ベクレルとか20ベクレルしか汚染されてないっていうんだったら、ま、私は迷わずそれを買ってもらいたいと思いますね。
えー、日本人の農家は、農家らしい善良で誠実な農家になってもらいたい。そのための財政的な裏打ちは、十分あるんですよ。原子力の通常予算つうのは、4500億円から5000億円あるわけです。これを全量買い上げても、その6分の1以下にしか過ぎないんですよ。だから農家の人が頑張ってですね、「測定は我々全部する」と。「国民の信頼をここで損なうわけにはいかない、我々の子々孫々まで、日本の農家を日本の人が信頼してくれなきゃいけない。そのためには全部測定する。そしてもし40ベクレル以上のものは全量、政府が買い上げろ」と、「それで後に東電に請求しろ」と。こういう力強い行動をですね、農家の人には求めたいと思います。ま、ちょっと力入っちゃってましたけど、ほんとにそうしてもらいたいですね。
(文字起こし by danielle)