セシウム・・・再飛散の恐ろしさ(瓦礫と同じ新しい危険)
福島を中心にセシウムの「降下量」が12月から増え、2月になっても一日あたり100ベクレルをこえる日が続いています。これについて政府、自治体、マスコミが報道しないのは、その重要性について理解していないものと思います。
3月に東北南部・関東北部の国民は被曝の一撃を受けました。それは徐々に減少し、6月から7月頃には「空から降ってくる放射性物質」は減り、ようやく打撃を受けることが少なくなったのです。
10月、11月になるとセシウムの定時降下物は1日あたり10ベクレルを切るようになり私もホッとしていました。
ところが12月中旬からセシウムが増え始め、1月には400ベクレルを超えることや、100ベクレルを超える日が多く出てきました。2月も15日に300ベクレルに達するなど、むしろ増加傾向が続いています。
この問題の危険性は上の図に示したように、「3月、4月の一撃だけ」から「あちこちから来る放射性物質で、100年間繰り返し被曝する」という状態へと変わったことを示しています。つまり、放射性物質は100年は無くならないし、人の体を何回も通り過ぎてもその量は変わりません。
つまり、1月の被曝量が規制値の10分の1でも、1年(12ヶ月)では規制値の1.2倍になってしまうという「繰り返し被曝」が発生するからです。
初期の除染が大切なのはこれも心配だったからです。つまり、地面に降った放射性物質が土にしみこみ、そこからの放射線で被曝するばかりではなく、空気中に飛散したもので呼吸から内部被曝を受けます。
良く原理を知らない人が「セシウムの降下物が増えていると言っても、空間線量が変わらないから大丈夫」のように言っていますが、空間線量の主力は地面からで、セシウムが空気中にあればそれを呼吸で吸い込んで3ヶ月分、被曝するからまったく別なのです。
また、福島県が1月2日の432ベクレルについて、「被曝量は規制値の500分の1」という発表があり、私の計算とかなり違っていたので、「100ベクレルはとれた野菜が危険なレベル」という表現にしておきましたが、よくよく検討すると、福島県の説明はおそらく間違いと思います。
つまり、福島県の「500分の1」というのは、空中に飛散する放射性物質を呼吸で体内に取り込むことはなく(福島県の人は呼吸しないという仮定)、地面に落ちた放射性物質からの空間線量のことを言っていることがわかったのです。「福島の人は呼吸しない」という県の仮定もかなり大胆で、セシウムが降下するというのは、降下する前に空中に漂っていたからですから、もっとも注意を必要とするのは呼吸、つまり「マスクをかける」ということだからです。
瓦礫やゴミの焼却、薪ストーブがすべて危険なのは、日本人がドンドン内部に放射性物質を貯めてしまうからで、政府発表の80億ベクレルという数値は、日本人が平均的に被曝すれば日本に誰も住めないという数字であることを再確認し、また県は県民の健康を守ることを第一にして欲しいと思います。
内部被曝量は、降下する物質が5ミクロン以下か、以上かで肺に入るか、胃に行くかなど難しいところがあり、さらに降下しているものは、5月頃まではヨウ素も含み、現在は少ないとはいえストロンチウムやプルトニウムも含んでいます。
また人間が一日に呼吸する量は約20立方メートルですから、どのような粒がどのよに飛散しているかによって違いますが、おおよそ、100ベクレル(平方メートルあたり)なら、一日に100ベクレルの被曝を受けることになり、これを毎日続けていると、100で割るとミリシーベルト(年間)になりますから、100ベクレルのところに住んでいれば、マスクをしなければ1年1ミリの被曝になります。
これは福島県発表の500倍ですから、もしできれば福島県と計算を検討したいと思いますが、おそらく応じてくれないでしょう。これまで、福島の原子力センターや放射線防護の機関に度々、質問をしているのですが、返事がありません。
専門家が個別のデータを出すのではなく、考えや計算の違う人ほど、相互によく計算をつきあわせて国民に迷惑をかけないようにするべきと思います。
(平成24年2月25日)
--------ここから音声内容--------
ええとあの、福島の降下するセシウムがですね、相変わらず高いレベルにありまして、ええ…それにも関わらずですね、政府とか自治体、マスコミはほとんどこれについては報道しておりません。たぶんこれはですね、わかってないんじゃないかっていう…ちょっと思うんですね。そう思うのも傲慢かなと思って、ちょっと控えていたんですけど、あまりにおかしいので、もう一回、私、ここに書きます。
ここに図を示しましたが、ええっとですね、実は原発がボーンと爆発して、えっと降ってきますよね、放射性物質。こん時非常に危ないわけですね。まぁこのブログでは…「一撃」と…こう言ってますけど、3月、4月の一撃を受ける、ま、これはこれでですね、一撃を避けるか何かすればですね、とにかくその一撃からは逃れられるんですが、それがだんだん沈静化してきますね。あの、降ったものが地面に吸い込まれていきます。今、あの、除染が大変だとか言ってるから、ずいぶん地面にしみこんじゃったから、とか言ってますからですね、しみこんだのかなぁと思っていたわけですよ。
だからだんだん被曝は減ってくるっていうのが、まあ普通に考えられることですね。ところが12月中旬からセシウムが非常に増えたわけです。セシウム降下物が。セシウム降下物が増えるってことはですね、地面に落ちるっていう、もちろん降下してますか地面に落ちますよ、最終は。だけど地面に落ちるまでには空中にあるんですよ。そこなんですよ問題は。どうもね、それがね、県がわかってないのか故意にウソをついてんのかわからないですけども、どうもそういう取り扱いじゃないんですね。
二つ問題点があるわけですよ。一つは、繰り返し被曝するってことですね。あの、放射性物質はですね、体内を一回通っても減らないんですよ、まずいことに。だから、もしもこういうことが起きればですね、地面から舞い上がっては体の中を通り、地面から舞い上がっては体の中を通り、ゴミを焼いたり、ガレキを焼いたり、それから…ええ…薪ストーブを焚いたりするごとにまた空中に出て、それがまた我々の体の中(を)通る…というですね、繰り返しが始まるのが一番怖いんですよ、これ。100年間繰り返しますからね、これは。
ですからまあ、ここを注意しなきゃいけないというのが私の、まあ、あの、言ってることなんですね。ええとところがですね、ええと、どうも空間線量が増えないとかですね、それからあのたいしたことない、と。まあ、福島県では1月2日の432ベクレル(1平方メートルあたり)、これでもですね規制値の500分の1っていう発表があったんですよ。で、私は、それじゃあちょっとね私の計算とあまりに違うので、ちょっと私の計算は後退(交代)させて、まあ、1平方メートルあたりに400ベクレルっていうと、野菜は作れなくなりますよっていう表現にちょっと交代したんですね。だけど、一応マスクはして下さいっていうふうに呼びかけたわけですね。
で、その後福島の500分1っていうのはよくよく調べてみますと、どうもね、ええ…空気中に飛散してる放射性物質を吸い込むんじゃなくて、ええ…福島の人は呼吸しない、と。呼吸していないらしいんですよ、福島の人は。それで、地面に落ちてから、落ちたものが、ああ…空間から来るやつだけを計算している感じなんですよ。いや、それで数が合うんですけどね、実は。合うんですが、1ベクレルってだいたい…だいたいですね10のマイナス6乗から10のマイナス5乗マイクロシーベルト…1時間あたり、ですからね。ですからまあ、それで考えるとだいたい合ってるんですよ。
ということは福島は…福島の人は呼吸しないという…それからもしかして、そうじゃなくてですね、もう一つの仮定はですね、ええっと、空中から落下してくるやつは空中には存在しないっていう…ちょっとねぇ、普通には考えられない仮定を置いているような気がするんですよ。
そこで私、今日…あのぉ、これはもう出した方がいいだろうと思いましてですね、ええ…必ずマスクが必要だ、と。なぜかって言いますとね、ええまぁ…あの、降下するものですごく違うんです。5ミクロン以下なら肺に入るし、5ミクロン以上なら、ええ…胃に行きますから、それからまあ、今これデータがないんですけども、最初のころはヨウ素がありましたしね。それからストロンチウム、プルトニウム少ないと思いますけど少し入っているわけですね。
ま、そういう点を全部考えますと、まあ人間が一日に呼吸する量が約20立方メートルですからね、ええと…粉がどのように空中に飛んでるかは別にして、まあ、24時間、均等に飛んで、その均等に落ちた、というふうにしますと、だいたい100ベクレル降下量があれば、一日にそれを吸い込む、と…まあ、いうふうに…まあ20立法メートルですからね、その中にだいたい100ベクレル相当のものがありますから。
そうしますとですね、それを毎日取るということになると、それだけで年間1ミリシーベルトになるんですよ、ええ。ですから、ああ…、やっぱりマスクがいるんでしょうねえ。ええと、今のところですね、福島県の発表では幸い粒形が大きいんですね。だから、一回地面に落ちたもん(もの)だと…こう言ってるわけですが、その他にやっぱりガレキの焼却、ゴミの焼却、薪の焼却…ストーブなんかあるでしょうね。ですからまあ少し粒形(の範囲)が広いかもしれませんが、まあ福島県の発表では、あの粒形の大きい方だけ発表してますからちょっとわからないんですけども、まあそういうことですね。
まあ、私はですね、こういった私と、それから色んな機関の計算が違うときには、一応質問を出しているんですけど、答えは一回も来たことがないんですよ。ええ…もう、武田の言うことはもう…。だけどね、そういうことやってるとよくないんですよ。やっぱり私たちがなんのために仕事してるかっつったら、国民の健康を守るためにやってるわけですから、データが違えばですね、ちゃんと突き合わせる必要がありますね。私もあの…でたらめな人間じゃあないんですよ、ええ。ちゃんと原子力関係の原子力学会賞をもらっとります、そんなこと言いたくないけど。原子力の仕事も長くして、まあ、大学の先生あるしですね、まあそういう人がちゃんとした計算根拠を示して「私はこうなったんですが、そちらとずいぶん計算が違うんで教えて下さい」と言ったらですね、ま、そのくらいは連絡してほしいかな、と。今まで何回もやって、もう今度これはちょっとやりたくないんですよ。どうせ答えてくれないからですね、労力がかかりますしね。だけどそれダメなんですよ。
やっぱり私たちは国民の健康を守るわけですから、専門家がどんどん違うデータを出すんじゃなくて、やっぱり違うデータ出すときはですね、相互に検討してもらいたいですね、ええ。これはもう検討してやってほしいんですよ。ま、1年100ミリシーベルトという方はですね、1年1ミリシーベルトを決めた人…これ専門家ですからね、同じようにな。ま、本人だったりするんですけど…ま、その人と話をしてですね、やっぱりそこをね、どういう状態で「法律は1年1ミリで私は1年100ミリというか」…とかですね。
それから福島のものも、これはどのくらいの量なのか、と。500分の1というのはいったいどういう計算値なのか、と。いや、計算値の説明がないんですよ、また。報告(の中)に。公表してる福島県のやつに計算の根拠が書いてないんですね。ですからそれもちょっと、問題だろう、と。我々専門家は非常に深く反省しなきゃいけない…つまり国民にできるだけ正しい情報を提供するにはですね、やっぱり相互に打ち合わせる必要がある、と私は思います。