好きな言葉・・・今日も朝 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

好きな言葉・・・今日も朝 (2/16)


時間というのは実におもしろいものです。東京から大阪に行くと、大阪から東京に帰ることができるのに、昨日から今日になると、今日から昨日に戻ることができないのです。



時間が過去から未来へ流れて元に戻れないのは、宇宙が爆発して膨張しているからと考えられています。望遠鏡で宇宙を見ると、今から1万年前にでた光を見ることができるのですから(1万光年の彼方の星の光は1万年前に出た光)、1万年前に宇宙が合ったことが判ります。



でも、宇宙のどこを見ても未来の光はありません。だから、「過去はあったし、目で見ることもできるのに、未来は見えない」ということです。地球上に住んでいると「過去を見ることができない」と思いますが、もし地球から10光年離れたところに受光器があり、そこで光を受けて増幅し、そのまま地球に送り返す装置があったら、自分の20年前の姿が、20年後の自分と同じように見ることができるでしょう。



ところが、未来はどこにもないのです。「どこにもない」のではなく、「まだ、未来は誕生していない、存在しない」のではないかと思います。つまり、「明日が来るかは判らない」ということです。



今の物理学の計算では、「宇宙の膨張の力」は150億年後に無くなるとされていて、そこからは時間が逆転する可能性が高いのですが、この計算が間違っていて、明日、宇宙が膨張する力がなくなると明日という日は来ないはずなのです。



「明日は当然のように来る」と思うと、欲がでますが、明日の朝、起きたとき、「ああ、今日もあったか。宇宙も俺も生きていたか! ありがたい」と思えば、またその一日を大切にすごそうと思うような気がします。

だから、本当は「今日も朝があったか」と色紙に書きたいところですが、すこし前で止めて「今日も朝」と唱えることにしています。


(平成24年2月16日)


--------ここから音声内容--------




えー、この世の中には、まぁいわゆる人間の常識とは違うことが満ち溢れてましてね、とても楽しいわけですね。例えばあの、温暖化で南極の氷が融けるなんて、みんなが錯覚したときですね、温度が上がっても氷が融けないってことは、ほんとは皆さん知ってるんですよね。

「-40℃の氷が-30℃で融けますか?」と私が聞けば、それは「いや、-30℃じゃ融けませんよ」と。

「じゃ氷はどうなるんですか?」って言ったら「0℃までなれば、0℃で融けます」って、融点っていうのをみんな知ってるわけですね。







つまり、融点っていうのは非常に重要で、普通に常識的に考えたら、温度が上がったら少しずつ氷が融けそうに思うけども、実は氷っていうのは0度にならないと融けないんだ、と。不純物が入ってるとか、そういう特殊な条件別にしてですね。これはほんとに驚くべきことで、あの例えばこういうこと質問しても、なかなか答えられる人少ないですよね。ええと、そいじゃ、「なんで氷って-40℃から-30℃になって、-20℃になって-10℃になっても融けないんですか?」と、「何で0℃だけで融けるんですか?」って言うと、ハッキリと答えられる人はあまりいないんですよ。えー、ですからちょっとそういうの、引っ掛かっちゃうわけですね。










ま、このように、この世の我々の身の回りのものについて、非常にこう面白いことがいっぱいあるわけですね。これを面白いと感じるか、いや、もうそんなこと覚えなきゃなんないの嫌だなと感じるかは、人によって違うんですけど。僕なんかは「へー!」という感じで、「面白いな!」っていう感じで、「何で氷って、-40℃が-20℃になっても20℃も変わっても融けないのに、なんで0℃のとこだけで融けんのかな?」と、まぁいうふうなこと考える性質(たち)なんですけど。










「時間」も非常に面白くてですね。東京から大阪に行くと、大阪から東京に帰ることができるんですよ、不思議なことに。ところが、昨日が今日になると、今日から昨日に帰れないんですね。それはみんな一緒だからって言うんだけど、いやまぁ、別に場所だってずっと東京に居る人もいるし、いろいろいるわけですね。時間がどうして過去から未来に流れるかって、多分、宇宙が爆発して膨張してるからじゃないかと思うんですね。で、望遠鏡でですね、宇宙を見ますとですね、今から1万年前の光を見ることができる。1万年の景色を見ることできるんですよ、実に驚くことに。だから、過去はもう存在するんですよ、目の前に。ま、地球上に住んでたらそういうことないですけどね。ところが、未来は見えないんですね、不思議ですよね。










例えばですね、地球から10光年離れたところの星にですね、受光器を置きましてね、光を受ける、それで地球から来た光を受けて、そこでいったん増幅して強くして、それを地球にそのまま送り出すって装置がもしあったらですね、自分の20年前の姿、10光年ですから行って帰って20年掛かりますから、20年前の姿はですね、今の姿と並べて見れるんですよね。ま、そんなことをしたら人生不幸になるかもしれませんよ。お亡くなりになった人の姿が見えたら悲しいし、いろんなことあると思いますが、ま、だけど一応できるんです。つまり、過去は存在するんですよね。私たちが今、目に見てるものが存在してると思うんですよ。










だから、もしもですね、自分が20年後の中に入ることができるわけですね。つまり、時間的にワープするって言うんですかね、要するにタイプカプセルに乗ったら20年前にはすぐ行けるんですよ。だって、そういう装置をそのうちできるでしょうね。そしたら、そのドームの中に入ったら、全部10光年経ったところから反射してきた光が満ち満ちてますからね。自分があたかも20年前の社会に戻ったと全く同じ、友達も同じ。呼びかけても返事はしないけども、同じということになるわけです、漫画みたいなもんですね。










ところが、未来は無いんですよ、未来はどこにも無いんです。多分ですね、僕はですね、「未来っていうのはまだ誕生してないんじゃないか」と思うんですよ、ええ。だからつまり、「明日っていうのは、来るかどうか判らないんじゃないか」と思うんですね。










例えばですね、今の物理学で「宇宙の膨張の力」は150億年後に無くなると、そこから収縮するんだって説もあるんですね。そこで時間が逆転するってこともあるわけですよ。これが計算が間違っていてですね、実は150億年ぐらい今の状態が続くと思ったら、明日、力が突然なくなるってことってあるんですよ。今までの学問ならないですけどね。そりゃ、判りませんから。










私はね、そんなことはちょっとね…そこにあるからですけども、「明日は当然のように来る」というふうに思ってるとですね、欲が出ますよ、人間は。ところが、明日の朝起きたときに「ああ、今日もあったのか。宇宙も俺も生きてたんだな。」と、「ありがたいな」とこう思えばですね、ま、私もその一日を大切に過ごそうと思うんじゃないかと思うんですね。









で、まぁあの、私はですね。朝起きると「あぁ、今日また一日あるか。よしよし、そいじゃあ、まぁ今日も楽しくやってこうか」とこういうふう・・・もちろん・・・起きたくないっていうときもあります。だけど、全体的にはそういうふうに思うとですね、割合と人間は楽に暮らせると、まぁいうことがあります。







従って、まぁ「今日も朝があったか」というふうに色紙に書きたいところなんですが、そういうのあんまりずばっと全部書きますとね、ちょっと味がなくなるので、えー、「今日も朝」というふうにですね、止めて“おっ、今日も朝。よし!”っていうふうにですね、小さく言って起きることもあります。えー、いろいろ毎日毎日が楽しかったり苦しかったりするもんですから。しかし、人間は大体200年ぐらい前にお生まれになった人はおられないんですよね。ということを考えますとね、ま、「今日も朝」という感じかなというふうに思います。


(文字起こし by danielle)