2号機や4号機、それにセシウム (2/9)
2号機、4号機を含む福島原発の再爆発について心配している方が多く、何回か検討しました。その結果をご説明しますが、まったく違う方も多くおられます。また政府や東電、それに福島県や専門家の方は「物事が終わった後に解説する」ことが多く、それも不安を創り出しています。
たとえば1月に福島でセシウムが増えましたが、その解説が1月末に福島県から出されました。でも、被曝してからの解説ではダメで、被曝しそうになったら事前に国民に見通しを知らせる必要があります。
その点では、3月11日夕刻には原発の爆発が予想されていたのに国民に知らせずに東電と政府で隠していたり、スピーディーという被曝予想の土地を示す結果を示さなかったりと「それでも信頼しなさい」と言っても到底、普通の人間なら不可能です。
それに加えて御用学者、御用評論家などが国民に知らせない方がよいとか、知らせると不安になるとか、到底民主主義とは言えないことを言っていますので、これも不安を拡大する結果になっています。これらは「子供の被曝より自分の責任逃れ」が主となっているからで、未来の見通しはそれなりに難しいのですが、それこそ専門家の役割であり、日本のお父さんとして少しの間違いはあっても、家族を思って予測をすることにします。
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2号機の温度が上がったのは、冷却の問題で避難する必要なないでしょう。4号機は倒壊によって放射性物質がもれると思いますが、これも避難の必要はないと考えられます。
理由は単純で、原発が動いている時に比べると、現在はすでに崩壊熱は、原発が動いている時から見ると500分の1、止まって一日後から見ると80分の1ぐらいになっています。たとえば100分の1としましょう。
この熱は燃料棒の中、あるいは燃料棒が融けていたらその場所にある放射性物質が崩壊することによっています。その分だけ「水で冷やす」ことが必要ですが、事故直後に比べると冷却するための水の量は100分の1で良いということです。
また、最初は水を流しっぱなしだったのです、今では循環しようしていますので、6月頃に比べれば、少なくとも冷却能力に2倍以上の余裕があるはずです。
つまり最初は半減期が何秒とか1日などの短寿命の核種が崩壊するので、熱がものすごいのですが、それが終わるとヨウ素のように8日前後のものの熱がでて、今ではセシウム、ストロンチウムのような数年から数10年という元素が熱を出しています。プルトニウムのような長い半減期のものは崩壊量が少ないので、それほど熱を出しません。
また、もし冷却水が100℃以上になると、福島原発から「湯気」がもうもうと立ち上るはずです。その時、蒸発熱が水1キロあたり500キロカロリーが必要ですから、水(液体)の状態で50℃上げる量の10分の1で同じ冷却ができます。そこで一段落すると考えられます。
従って、まず第一結論は、「崩壊熱が少なくなっているので、冷却能力はまずは大丈夫。東電がヘマをやったら、福島原発から蒸気があがるようになるので、逃げる準備をする」ことになります。その時にはこのブログでも警戒を呼びかけます。
次に「再臨界」ですが、まず科学的には4%程度の低濃縮ウランなどは臨界になりにくいということです。ですから、今、原子炉の中や燃料プールにあるものが核爆発(小規模)が起こるためには水(減速材)が存在することと、特別な配置になることが必要です。
ごく小規模の核爆発(若干の中性子の放出を伴うもの)は起こりえますが、大規模な爆発の可能性はきわめて低いと言えるでしょう(可能性が高いと言っておられる方が多いのは知っております)。それはすでに固くバインドされていない燃料同士が臨界に達するとその間にある水が沸騰して燃料が離れ、また気体(蒸気)ができて中性子が減速しなくなるからです。
このこと(4%と空間の状態)について、爆発することを警告しておられる方のネットを再度、勉強したのですが、以前と同じように爆発の可能性が高いという科学的な理由(具体的な理由:たとえば濃縮度4%のウランがどのような状態で臨界に達することを想定しているのかとか、4号機のプールが崩壊して地下に落ちたときに、東電が水をかけられない理由や、その時の崩壊熱、また2号機の水循環系が故障していて修理が不可能などの状態を想定しているのか、それともまったくそれと違っているのか)を見いだすことができませんでした。従来の知見からは大規模爆発の可能性が低いと言えます。
【結論】福島原発から蒸気が噴き出すか、4号機の燃料プールが倒壊することが起こったら、そこで警告を出し、逃げる準備をするべきである。あらかじめ逃げなくても良い。
ということになりました。
なお、3月の段階では崩壊熱、放射線ともに強かったこと、燃料が原子炉内にあることなどから、ホウ素の注入は大きな問題でしたが、現在ではホウ素の注入は「万が一の微小な核爆発を避けるため」という意味しかないので、あまり危険ではありません。すでに原子炉の中の状態が変化しているということです。
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それよりむしろセシウムの量が問題です。1月の終わりに少し減りましたが、2月にまた100ベクレルを超えることもありました。これについての危険なことは自治体が「事後に発表」することで、被曝を予防するという視点がないことです。
セシウムについてはまた高くなるようならこのブログでも書きます。
(平成24年2月9日)
--------ここから音声内容--------
ええと、2号機と4号機の問題で、多くの人が心配されてるわけです。この心配の元はですね、具体的なことは後でお話しますが。元はあの、国とかですね、自治体が国民の被曝を減らすと、福島県の人の被曝を減らしたいという希望ですね。税金を使いたくないとか、県民税が減らしたくないとか、そういうお金じゃなくてですね、お金よりか健康を重視してるってことが、ハッキリと首相とか知事さんとか関係の首長さんから伝わればですね、私はずいぶん不安はなくなると思うんですよ。
だから、本当にその人たちが親身となって、家族同然にですね、福島の人を被曝から守りたいと。ま、被曝で何が起こるかってことは判らないけど、とにかく今までと同じように、被曝はいけないんだと、いう立場に立ってもらわないとですね、被曝しても大丈夫だなんて言ってる間はですね、どうしても不安は抜けません。それを前提にして、この2号機の問題を取り上げたいと思いますが。
えー、2号機の冷却の問題で、温度が上がっております。それから4号機も倒壊の恐れがありますが、避難の必要はないと考えられます。これもですね、人間のやることですから、イタリアのあんな大きな客船がひっくり返るぐらいですからね、どういうことも起こりうるんですが。しかしまぁ、我々が日常的に生活してるときには、あまり極端なことを考えると、まぁ生きていけないわけですから。やっぱり科学的に見て、妥当な判断をするっていうことですね。
ええとまぁ、その主な理由はですね、やっぱり、崩壊熱がもう少ないってことですね。原発が動いているときから見ると500分の1ぐらいでしょうし、止まった1日後から見ると80分の1ぐらい、大体100分の1かと、危険サイドに見てもそのくらいだと思うんですね。ですから、どうして最初に3月に爆発したか?つったらですね、主には崩壊熱で爆発してるんですね。崩壊熱で水素が出るとかいろんな理由ありますが、とにかく崩壊する熱が高いということでダメなわけですね。ですから、今まぁ崩壊熱が100分の1っていうことは、必要な水の量も100分の1になるわけですね。それからまぁ若干、一部は循環をしてますし、冷却能力も相当高いと、まぁいうふうに考えられます。
えー、つまりですね、原発っていうのは、動いてるときものすごく危険で、短時間に崩壊する放射線核種っていうのは、いっぱいあってですね。それから熱も出るし、放射線も出るし、もう大変なものなんですよ。ホットな状態って言いますかね。それがあの、原発を止めたらすぐ、どんどんどんどん減っていって、ま1日ぐらいすると、それが10分の1か100分の1以下になる。これちょっと計算がですね、どの瞬間を取るかっていうことで、非常にこう大きくずれるんですけど。ま、簡単に言えばそういうことになる。ヨウ素のように8日程度の半減期のものはですね、まぁ2ヶ月も経てばほとんどないという状態になりますから、5月の末にはですね、原子炉というのは、かなり静かな状態にはなってるんですね。
それからもう一つ、あの現状をずっとこう見てみますと、まず第一に、福島原発から蒸気が出てないってことですね。やっぱり福島原発の温度が高ければ、100℃以上だったらもちろん水掛けてますから、それから蒸発して蒸気が出てきますので、その点ではですね、当然ですけども福島原発が温度が高ければ、当然のように蒸気が出るということで、まぁそこまでいってない、ってことがまず一つあります。まぁ温度が少し上がったり、あるいは少し蒸気が出たりするかもしれませんが、なんといっても、まぁ1000℃を超えるような状態になることがまず危険なわけですが、そういった状態はまず起こらないだろう、今んところはですね、思います。
それから「再臨界」に関してなんですけども、4%の電力用のウランというのはですね、そう簡単には臨界になりません。従って、発電するって言うのは臨界をする、つまり核爆発するってことですけども、それをするためには、燃料の配置を考え、減速材を置くと、まぁいうようなことを全部しなきゃいけません。そういう点から言ってですね、もちろん今後も非常に小さな核爆発、まぁこれは中性子の放出を伴うんですけれども、それを行なうんですが、まぁ大規模なやつは起こらないんですよ。
ていうのは燃料がですね、燃料と燃料が近づいて、そいで水が間にあるとまぁ確かに臨界に達するんですが、そうしますと間にある水が蒸発してボイドになるって言いますかですね、気体になるし、また、燃料棒同士が縛られてないとですね、離れてしまいますから。そういうことがあって、結局はそんなに大きな爆発はないだろうと、一応考えられます。
それからですね、あの4月頃から大変に原発が危ないっていう話は、ずっと継続的に出ておりまして、それがどういうことなのかっていうことですね。例えば、濃縮度4%ウランが、どういう状態だと臨界に達するのか。もちろんあの、原子炉の中できちっとバインドされてれば、臨界に達することもあるんですけども、もしくは温度が上がることはあるんですけど。今みたいな状態で起こるのか?
つまり、1号機から3号機まではもう燃料がですね、あらかた破壊されてる状態ですし、それから、4号機のプールが崩壊してですね、下に落ちるときに一部あるかと、それから下に落ちたときに、東電が4号機に水を掛けられない理由は何か、っていうことですね。それから、プールにある水は一緒に全部、地下に落ちますから、地下に落ちたときに水がゼロになるという理屈はどこにあるのか? ま、あのそこら辺をですね、具体的に書いてあるビデオとか、外国のビデオも含めて、いろんな人の言ってること、ブログをあらかた見ましたんですが、私は納得するようなものは、無かったですね。ほとんどあの、理由が書いてなくて、ただ爆発するって言うのが多くてですね。
そうしますとこれ、技術者の場合、やっぱそれじゃ納得できないんですよ。私は技術者ですから、やはり、これこれこういう事情で爆発するとか、そういうことが書いてないとですね。やっぱり単に、地震が来たらプールが崩壊するから、崩壊したらものすごく勢いで放射線が出るとか、原子力委員会に関東一円が逃げなきゃなんないという報告があるとか。そりゃまぁ、原子力委員会にそんな報告が出てるかもしれませんけど、そんなの全部信じるんだったら、SPEEDIも何も、「ただちに健康に影響がありません」も全部信じなきゃいけない。
私たちは、信ずるってことはしないんですよ。技術者は信じるとか信じないではなくて、説明されてることが、専門家同士の科学的合理性で納得できるか?ということですからね。どの人を信じるとか、そういうこともありませんし、ちゃんと技術的な説明が十分にあって、それが科学的合理性を持っているか、専門知識から言ってですね、それがあの、大切なんです。私のブログに「知の侮辱」と書いてありまして、それは何を言ってるかっていうと、これだけちゃんと近代科学が積み重なっているんだから、何を言うにしても専門家はですね、一応、他の専門家が理解できる程度に、その理由を書いとかんといかん、ということですね。
私は、なぜ安全かと考えてるかって言うと、まず崩壊熱が100分の1程度であって、冷却能力が十分にあると考えられること。それから4%の低濃縮ウランは、それほど簡単には臨界にならないこと。それからまぁ東電もですね、一応の設備を持ってますから、何かが起これば水を掛けるという位のことはする、と考えられること。これらからですね、私が家族を守るという視点ですね、これはあの責任問題がどうとかそういうことじゃなくて。家族を逃がすか逃がさないか、というようなことを考えるとしたらですね、逃げなくていい、ということですね。
むしろそれよりか、今の問題はですね、やっぱりですね、福島市も含めて二本松とか郡山とか、もちろん原発の近くも含めて、やっぱりあの、住めるところではないんですよ。それは空間線量が高いし、セシウムの量も1月に減ったけども2月は多い。つまり我々の危険というのはですね、実は原子炉にあるんじゃないんですよ。もう原子炉の中のものは、福島県の中に出ちゃったんですね。
岩手県の一関から文句言われましたけど、一関もですね、やっぱり汚れたんですよ。汚れたのは一関市の責任じゃないんですよ。市長さんからね、苦情言われましたけど。汚したのは、東電なんです。東電が汚したところの中に、一関もあるし日光もあるんですよ、柏市もあるんですよ、これ仕方がないんです。柏市の市長さんもみんな、「そんなことはない」と言ってますけども、それは一関の市長さんと、柏市の市長さんが汚したんじゃない、ってことを言ってるんですよ。だけども誰が汚そうと、そんなことはつまんない問題ですよ。
それよりか市民の被曝を守ると、被曝をさせないと、これの方が、もちろん大事ですからね。だから、「一関だけが汚れてる、なんて言っちゃ困る」つったって、一関に降ったんですから、しょうがないんですよね。やっぱそれに応じて市民を守ることが、市長の役目なんですよ。要するに、降らなかったら良かったとかですね、私の責任じゃない、なんて誰も言ってないんです、責任だと、言ってんじゃないんですよね。
やっぱり事態が起こったら、それに応じて対策を練るっていうことですね。誰かが水銀を撒いたとか、誰かがインフルエンザの菌を撒いたとかってことが、あるかもしれません。そのときは、私の責任じゃないとか、そんなこと言ってもらっちゃ困るっていうんじゃなくて、具体的に水銀を除去したり、そいからインフルエンザの菌を撲滅したりしなきゃいけないってことですね。それを必死になって、そっちをやんなきゃいけないってことですね。
それが今の問題であり、私は昔から同じこと言ってますけども、福島原発の問題を問題にするのはもしかすると、我々の眼をですね、子どもの被曝から福島原発の問題に、すり替えようとしてんじゃないか?つってですね、そういうことあっちゃいけませんよと、気をつけてくださいね!って呼び掛けてるんですが。ま、そのところを考えなきゃいけないと思います。
(文字起こし by danielle)