読者のご質問に答えて8. 福島原発の今までと今後(1) 原理原則編 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

読者のご質問に答えて8. 福島原発の今までと今後(1) 原理原則編


福島原発について、今後の見通しをお話しします。私は基本的には「福島原発報道」というのは、福島をはじめとして3月の爆発で汚染したところが最優先であるということを隠す政府の戦略だったという解釈です。


(平成23年12月13日(火))


--------ここから音声内容--------


ええと私があの…4月ごろから終始言ってきたことなんですが、福島原発のですね、爆発した後…3月に爆発した後ですね、もちろん人間の科学がすることですから、思いがけないことっていうのは常に警戒しとかなければいけないんですが、しかし普通に考えますと、福島原発は、もう既に爆発する力があまりない、と…まぁこういうふうに言ってきたわけですね。可能性はまぁ…最初20分の1くらいかなっつって、そのうち100分の1くらいかな…っていうふうにですね、だんだんまぁ危なくなくなってきている、と…まぁいう話をさせて頂きました。





その理由はですね、ええとあの基本的なことを、ちょっと最初(は)理屈っぽいんですけどお話を致しますと、まぁウランというのはですね、だいたい普通には235という同位体、これが核爆発する方なんですが、これが20パーセント以下と、20パーセント以上と、こう…分けているんですね。ええ、なぜ分けるかっていいますと、まぁ20パーセント以上のものは、いろんな方法によってはですね、ボカーンと爆発することが有り得るわけですね。これに対して20パーセント以下はですね、爆発しないってわけじゃないんですが、それが緩いということですね。





例えば原子炉というのは、いつもこう核爆発をしてるわけですが、ええ…その、これは少ないわけですね。ええとまぁ普通の人は…一般の人はですね、別に科学とかエンジニアリングとか知ってるわけじゃないんで仕方ないんですけども、あの…火事というのがありますね、あの火事っていうのは爆発とはちょっと違うように思うわけですが、あれは一応科学では「爆発」というんですね。





ええと、「爆発限界」といいましてですね、これ丁度あの…原子炉の「臨界」と同じなんですけども、物がなぜ燃えるか? と…これは私の研究の一つなんですが、物が燃えるというのはですね、小さい場所が爆発に達すると物が燃えるんですね。これを爆発限界といいまして、まぁあの…化学工業(の分野)に勤めていた方はよくご存知の通り、爆発限界に入ると火災になる、ということですね。





で、これが原子炉…もちろん火力発電所もそうで、火力発電所っていうのは常に爆発しているわけです。爆発限界内の石油とか石炭を使って爆発させる、と。それを継続的に爆発させる。まあ自動車のエンジンもそうですね。あれ、まあ正に爆発なんですけども、ちっちゃな爆発を起こさせる…まあそういうことが色々あるわけですね。




で、原発もそうで、やはり爆発をさせる。この爆発範囲に入るものっていうのは、普通にいうと20パーセント以上なんですね。ですからまあ原子炉が基本的にはですね、原爆みたいに爆発することはない、まあこれはこれでそうなんですね。ところが、もちろん第二次世界大戦のさなかですね、アメリカが原爆を作るために色々実験をします。まあ、この実験の中にですね、よくあの…小型の爆発が起こるんですよ。





つまり、これをよく理解するためには、「臨界」ていうのも爆発であるし、全部「爆発」だと思わないとですね、ちょっと理解ができないんですけども、小型のもの(爆発)が起こる…日本ではJCOですかね、東海村で起こった爆発事故ってのがそれなんですね。それはもちろん「爆発」なんですよ。それから今度の3号機も爆発かもしれません。





しかし、いずれもですね、ええとまぁ人が死んじゃあいけないのは確かですよ? …規模のことを言ってるんですけども、広島のように10万人とか、2万人とかそういう規模ではなくて、まあ10人とか、そのくらいの方が亡くなる事故にはなるんです。ええと、東海村の時は3人お亡くなりになったと思いましたが、それから今度の福島第一の3号機の爆発ですね、これも相当ドカーンといってるんですけども、それでもですね、あそこの敷地内にはですね、東電の方をはじめとした収束班がいたんですよね。いた中で爆発しました。それでもですね、ええと死傷者出てないわけですね。





つまり、原子力発電所の爆発といっても二種類あって、一つはみなさんが原爆といって思い出すものですね。それからほんとの科学的な意味での爆発は、水溶液が…水がありますとね、爆発します。ですからほんとは一つの方法としては、福島(原発)にあまり水をかけずに放っておくっていう手があるんですね。そうすると水が蒸発してしまって燃料が溶けて、下に落ちて土の中に入ってしまう、と。まぁ全部土のところを溶かすわけじゃありませんけどね。だけどまあ、地下水に対する防御とか、そういうのが不十分なので、それはちょっとできないということで、危険を承知で水をかけたということですね。





危険を承知で水をかけたわけですから、まぁ、あの、ある程度そりゃ仕方がないわけですね。二律背反といいますか、冷やすためには水をかけなきゃいけない、水をかければ臨界に達する可能性がある、と。で、これからもですね、例えば4号機のプールが崩れますね。そうすると落ちていきます。そうすると水が共存すると、水と燃料の間が適当な距離になったら、そこで核爆発が起こります。





ただですね、今度は燃料が固定されていないので、核爆発が起こった瞬間にですね、燃料と燃料が離れ始めますので、それで結局のところそれで終わりになる。ところが、その時中性子がわぁっと出ますから、その近くにいる人が、その中性子をかぶるってことが起こり得る、つまりこれはあの、ええと福島県の人の問題とか、日本人の問題ではなくて、東電の問題であるっていうことですね。





これから…つまり4月から福島原発で起こることは、全て東電の問題であるっていうのが私の見解でですね、東電の問題を、あたかも日本人の問題というふうに捉えたのがですね、色々な憶測を呼び、みなさんを不安に陥れた、と。まぁこういうふうに思います。まずこれが基礎編です。