地震の避け方・かわし方(2) 家族の無事を守る方法 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

地震の避け方・かわし方(2) 家族の無事を守る方法 (2/1)



地震では、揺れ自体で下敷きになったり、上から落ちてくるものの一撃でショックを受けること、その後の火災でヤケドをすること、津波で流されること、が主な危険です。


このうち、建物の下敷きになったり、上から落ちてくるものの一撃を避けるのは決意さえあれば避けることができます。そのためには「地震予知を気にせずに、自分の住んでいるところの最大震度を調べる」ということに尽きます。


「地震がいつ起きるか」ということを予測するのは非常に難しいのです。それはすでに地殻の中にひずみがあって「明日にでも崩れるかも知れない」という状態でも、それから100年間は崩壊しないということがあるからです。人間にとっては100年はいかにも長いのですが、地球にとっては一瞬だからです。


しかし、どの地域でどのぐらいの地震が起こるか、特に最大の地震がどのぐらいかは、「地震がおこる時期」に比べるとかなり容易なので、精度も高いのが普通です。そこで「地震がいつ起こるかの予知は信じないで、自分の住んでいるところが、最悪の時にどのぐらい揺れるか」を参考にすると、家族を守ることができる可能性が出てきます。


まず、第一にネットなどで住んでいる市町村のホームページから、「最大震度のマップ」を探します。かなり前ですが、私は神奈川と名古屋を調べましたが、それほど苦労せずにマップを発見することができました。

私の場合、神奈川に住んでいた子供の家の最大の震度が4.5、名古屋の震度が5.5であったと記憶しています。マップはかなり詳しく、名古屋で言えば、「区」単位ではなく、もっと細かく公開されていますので、自分の家がどのぐらい揺れるか、また自分の家から逃げるときにどちらが揺れないのかなど詳しく判ります。


その次に、自分が住んでいる住宅の耐震性を調べ、もし最大震度より小さかったら即刻、引っ越しをします。なにしろ家がつぶれてはもともこもないからです。自宅なら補強するか、立て直すか言うことになりますが、なんと言っても「命あっての物種」ですから、生活の中では最優先で出費することでしょう。


幸運にも住宅の耐震性が予想される最大震度より強いなら、今度は家具等です.地震の揺れと普通の家の中のようすは、ネットなどで調べられますから、それを見て「震度5なら、なにが危ない」ということが判ります.

普通の場合、タンスや本棚が倒れる、タンスなどの上に置いてあるテレビ、食器棚の上の電子レンジなどが特に危険なようです.いずれにしても、最大震度にあわせて「平面化(縦に置かずに横に置く)」と「家具や不要不急のものを捨てる」ということで家の中をすっきりします。


アメリカやヨーロッパに行くと、日本の家庭と違ってゴタゴタとおいていないのに気がつきます.これは「一つのことをしてから次のことをする」という欧米人と、平行して複数のことをする日本人の違いもありますが、この際、「家の中を欧米化して、要らないものをおかない」のも大切です.特に電子レンジは重たいので、要注意で、地震の最初の一撃で電子レンジが脚に落ちてきただけで、ほぼ助からないでしょう.


これだけの準備をすると、「安全になった」という実感を得ることができます.家は傾くかも知れないけれど倒れはしない、家具は倒れてこない、そして家具や机の上からものも落ちてこないということですから、後は寝るときに頭の方に落下するものがないように注意するぐらいになります.


寝るときのパジャマも、家専用ではなく、少しの外出をしてもおかしくないようなものを選ぶとか、冬のパジャマはいざというときには1日ぐらい防寒にもなるようなものが良いですね.私はやや厚手のパジャマを着て、布団を軽くするようにしています。これは防災という面もありますが、冬の寒いときなど布団を出たときの温度のショックを和らげるにも役立ちます.


そして、最後に玄関先に、ペットボトル、非常用の治療薬などを準備しておくこと、さらに家の中から鍵がないとあけられない特殊な防御をしているご家庭は、鍵が無くてもすぐドアーが開くように工夫をすることも大切です。

まとめますと、

1)最大震度を想定する、

2)家が倒れない、

3)ものの下敷きにならない、

4)重たい物でショックを受けない、

5)いつでも飛び出せる服装、

6)玄関先にはすぐ手に持てるもの、とそろいますから完璧です.

なにしろ、阪神淡路大震災も東北大震災も予知できなかった地震学者(東大地震閥と言った方がよいですが)のいい加減な地震の予知におびえるより、「日本に住んでいれば地震は仕方が無い」と覚悟を決めて、地震が来ても大丈夫なように準備をしておく方が気が楽です.


また、「つなみ」についてはまた別の機会に書きます.


(平成24年2月1日(水))


--------ここから音声内容--------



えー、地震の話が続いてしまうんですけども、もう一つお話をしたい件があります。今度は「家族の無事を守る方法」と題してるわけですが。ええとあの、地震でですね、犠牲になる人の状態ってのをいろいろと調べますとですね、家の下敷きになるってのは、これはまぁ多いわけですね。今度みたいに津波もありますが。





もう一つはですね、上から落ちてきて、寝てるときに脚なんかにガチャッと当たるとですね、その一撃でショックで死ぬってこともあるわけですね。火災でヤケドする、というようなこともあるんで、ええと、じっくりと考えてみないといけないわけですね。




で、私はですね、実は今から10年ぐらい前に、今、中部大学理事長されてる飯吉(いいよし)先生とご一緒にですね、ある講演会出たときですね、非常に印象的なことを、その飯吉先生からお聞きしたんですね。それは、地震というともう0か1と、もうやられるかやられないかと考えるけど、実はそうじゃないんだ、と。地震予知を気にする必要も無いんだと、ある意味では。自分の住んでるところを気をつければいいんだって話をずっとしてですね、なるほどと思いましてですね。





早速、それから家に帰って、自分の今住んでる場所、それから子どもがそんとき別のところに住んでおりましたので、そこでの最大震度を調べてみたわけですね。つまりですね、地震がいつ起こるのかって、非常に難しいんですよ。これはあの、阪神淡路大震災とか、東北大震災が1000年に一度っていうのがまとめて起きてですね、まぁ、私は1000年に一度と思ってないんですけど。





えー、東海地震がまもなく来るってやつが来ない、というようなことが起こると共にですね、とても難しいです。これはどうしてかって言うと、もう地殻に歪みが起こって明日にでも崩れるか知らないってなってもですね、地球ですからね。その後、1000年壊れないってこともあるし、また壊れるってこともある、と。だからその、人間にとっての年とですね、時間と、地球にとって(の時間)は全く違うからですね。




ところが、どこら辺に地震がどのくらいの大きさで起こるってことは、比較的よく判るんですよ。ですから科学の現実に即して考えるってことですね。そうなりますとね、かなり違うわけです。つまり、地震がいつ起こるかの予知はもう全く信用しない、と。自分が住んでるところがどのくらい揺れるのかということだけ考える、ってまぁそういうことですね。まず第一にそう考えてみようと。




そうするとまずですね、ネットで調べますとですね、おそらく、市町村の市役所に行っても判ると思いますが、ホームページを見ますとですね、最大震度のマップが出てます。私はあの、神奈川と名古屋を調べたことがあるんですけども、結構簡単にマップを見ることができました。

そうしてですね、見ましたら、神奈川に住んでるところが4.5、名古屋が5.5でしたね。多分、そんな感じだと思います。ちょっとまぁ、もう10年ぐらい前のことなんでハッキリは記憶してないんですけど、そんな感じなんですね。





で、マップを見ますと非常に良くてですね、実は例えば、名古屋で言えば中区とかですね、千種区とか、そういう「区」単位じゃなくてですね、もっと細かく震度が示されてるんですね。ですからそれを見ますと自分の家がどのくらい揺れるか、大体判るんですよ。それでこれもう相当、僕は正確だと思います。で、それが判りますとですね、ええと例えば名古屋ですと、震度が5.5って判りますよね。そうしますと今度は自分が住んでる住宅の耐震性を調べればいいわけですね。ま、5.5ったらちょっと危ないでしょうけど、まぁ6とか6.5っていうんなら、もう大丈夫なわけです。




でまぁ、これが最大震度がよりか低ければ、引越しするしかないんですよね。これまぁ、自宅だったら建て直すとか補強するとか何かしなきゃいけないわけですね。何と言ったって「命あっての物種」ですから、まぁ日本みたい(なところ)に住んでる人はですね、やっぱしょうがないんですね。






で、もしも幸運に住宅の耐震性が大丈夫だということになりましたら、次は家具なんですね。で、この家具もですね、震度どのくらいあったら、どういうことが起こるかっていうのを詳しく出てます。ですから、震度5.5とかいうとですね、例えばこのぐらいの上に出てるやつはダメだとか、タンスは倒れるか倒れないかとか判りますんでね。それに応じて、私、全部整理し直したんですよ。





ま、主にテレビ、それから電子レンジなんかは特に危ないですね。ま、テレビは最近液晶になりましたので、かなり軽くなりましたけどもそれでも重たいし、昔のテレビはもっと重たいですね。で、食器棚の上にですね、実は電子レンジを置いてたんですけど、ものすごい重たいんですよね。で、その機に合わせまして私ね、実はかなり家を平面的にしました。それから家具やそういったものの内、これはまぁ要らないなぁと思うものを、かなり処分しました。





実はですね、日本の住宅っていうのはゴタゴタしてるんですよ、私の家なんかもそうでしたけど。ところがアメリカとかヨーロッパに行きますとね、ほんとにスッキリしてるんですね。で、これはですね、欧米人っていうのは行動パターン見てますと、まぁ器用じゃないってことも言えるんですが、1、2、3とやってくんですよ。ですから、一つのことをやったら片付けて、次のことやってますね。日本人は器用ですからね、複数のものを一緒にやるんですよ、ご飯作りながら、こうこうこうって。だから、まぁ家の中が乱れがちなんですよね。




この際、家ん中を欧米化しよう!ってことでですね。そいから重たいものは下に置こう、それから高いやつはもうみんな止めよう、っていうことでですね。相当思い切って処分しました。そうしてみますとですね、実にね、安全になったっていう実感が出ましたね。つまり、もう判るわけですよ。家は上からは潰れてこない、と。それから僕は、2階のものは重たいものも少し、実は下ろしました。一応設計上の耐震性ってのはあるんですけどね。やっぱり上が重たいといけないんで、2階には軽いものしか置かないで、1階に置くってことにしました。



それからですね、寝るところは特に注意をしてですね。寝るときには頭の方に、あまり重たいものが落ちないように。しかしね、これはちょっと問題なのは、脚に落ちてもダメだそうですね、不意をつかれますから。ドターン!と落ちますとですね、もちろん歩けなくなったりもするんですが、それ以上になんか脚にドン!と落ちても、もうそのショックで動けなくなるってことがあるらしいんですね。





それからもう一つは細かいことなんですが、寝るときのパジャマを変えました。それまではですね、家でしか着れない、とまぁこんなものを着てたんですが。えー、ちょっと外出してもパジャマかどうか判らないっていうものを選びました。特に冬はですね、ま、防寒的なものにしてやや厚手のパジャマを着て、布団は軽くするって方向にしました。これ別にね、着てみるとどうってことないですね。むしろあの、今みたいに寒い冬ですね、家の中でも結構寒いんですよ。トイレに出るとか、玄関に出るとかですね。





ですからあの、今までみたいに割合と薄いパジャマを着て、厚い布団を被るよりも、厚手のパジャマって言いますかそういう、パジャマじゃなくても良いんですけどね。パジャマに類する、最近はもうフリースみたいな気楽なやつがいっぱいありますから。そういうやつを着て寝るのは良いなぁと思って、最近はもうそういうふうにしてますが。そいから最後に玄関先に、ペットボトルとか非常用の治療薬。




そいからね、ちょっと、前の家で鍵が中から開けにくい、ちょっと特殊な防御施設があるやつがあるんですね。それはまぁ、普通のときにはちょっと特殊な鍵を取って開けると、中から開けられる。つまり中から鍵が無いと開かないっていう、そういうのがあったんですけども。その鍵なんかが、非常時には家がもう潰れたりしますから逃げられないってことで、いろいろ工夫をしました。




つまり、まとめますと、最大震度をまず調べる、それから家が倒れるんじゃないかとか見る、それから下敷きにならないように家の中を整理する、重たいものでショックを受けないようにする、いつでも飛び出せる服装にする、それから玄関先にも、すぐまぁ大丈夫なものを揃えると、これやったんですよね。





そうしましたらね、気分が変わったんですよ。そこまで注意しなくていいだろうと、こう思われる方もいるんですけど、そうじゃないんですよね。ものすごくなんか、不安感っていうか、もちろん私、陽気な性質(たち)で災害なんかのことあんまり気にしないタイプなんですが。それでもですね、やっぱりそうしてみると何かこう…“あ、これでもう地震で大丈夫だな”って、こういうふうに思うようになりましたね。それまでは、漠然と地震が怖かったんですけどね、そういうことなくなりました。




だからまぁ、私はですね、東大地震閥のこと悪口言ってんですけども、阪神淡路大震災も東北大震災も予知できなくてですね、あれだけ世間騒がして「すいません」もない、と。それなようなことを文句いってるよりかですね、日本に住んでれば地震は仕方ないと、もう覚悟を決めてですね、それから自分がここに家を作ったんだから、もうしょうがないと思ってですね、ま、準備をしておく方が気が楽ですね。




まぁあの、私がですね、その飯吉先生のお話を聞いて、そして“あぁ、なるほど!”と思いましてね。それで詳しく調べたところ、確かにあの、今の精度は結構高いんですよ。震度はどのくらいになるかっていうのは、すごく(精度が)高いんですね。ですからそこを信じた方が、おそらくご家族の命を守るのは非常に良いと思いますね。



ま、特に私が感じましたのが、まず家が潰れるかどうかっていうのはよく調べるということと、もし潰れないと判ったら、まぁ2階なんかの場合は2階のものを少し下ろしとくってことも要るし、そいからもちろん平面的にするってことですね。ま、それ以来、私はですね、頭の上に重たいものなんか置いてない…昔考えましたらね、頭のすぐ横にタンスがあって、そのタンスにテレビなんか載ってましたよ。よくその間に地震が来なかったと思って、今ぞっとしますけどね。そういう点から言うと、まぁパジャマも含めてなかなか良いなぁと思ってますので、ま、ここに書きました。




ええとこれであの、津波はどうなるかとか、それから地震で原発はどうなるかとか、もう少し深く考えて見ます。4号機についても、いろいろ質問いただいてるので今調査中であります。


(文字起こし by danielle)