2011現代環境論本編15.ゴミ発電、ゴミ風呂などの利用は環境に貢献するか(12/23)
(この記事は環境の15番目を予定していましたが、読者の方のご質問がありましたので、先に出します。)
ゴミを利用して発電したり、お湯を利用してお風呂を沸かすということが行われています。これは「そこだけ見ると良いように思うが、全体としてはとんでもないことをしている」という例です。たとえば10円安いスーパーに行くために往復380円を払って行くようなものです。また、「ゴミは減らすことができる」と思っていること、このようないわば「ダマシ」を許していたことに今回の原発事故もあったように思います。
(平成23年12月23日(金))
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ええと、この記事はですね。2011現代環境論の15番目ぐらいにですね、お話をしようと思って用意しとったんですが、読者の方からご質問がありましたので、ちょっとスキップして先に出したいと思います。
えー、ゴミを利用して発電したりですね、お湯を沸かしてスーパー銭湯だとか温水プールって作るとですね、地元の人も喜ぶし、と。「あぁ、ゴミの熱を利用したな」とこういうことになるわけですね。で、これは実は環境には悪いんですが、「ダマシ」が入ってるんですね。どういうダマシかって、そこだけ見ると良いように思うけど、全体としてはとんでもないことしてると。しかし、役人は天下り先ができるって、そういう簡単な構造なんですね。
ええと、まずこれに2つの原因がありますが、第1の原因を言いますと、実はリサイクル制度を作るときに、役人は頭良いですからね、リサイクルが上手くいかないってことは、もう最初から判っておりました。それでリサイクルの法律の中に、皆はですね、その当時ですね、リサイクルっていうのは1回使ったものをもう1回使うと思ってたんですよ。ところが役人はですね、もうすでに1回使ったものは使えないってことを、知ってたんですね。ごく一部は使えますよ。今、例えば、プラスチックは430万トンのうち100分の1、4万トンは使ってるんですね。後の99%はせっかく分別したのに、全部焼いてるわけですよ。
そういう状態になるってことが最初から判っていたので、これが、あの、東大出の役人っていうもんなんですよ。で、法律の中にですね、「お湯をちょっと取ったりなんかしたらいいですよ」ってことにしたんですよ。だからそれが、私の言う「焼却してもリサイクル」っていうことになって、リサイクル率が高くなったわけです。で、リサイクル率が高いので、それで税金を4300億円使って、それでその利権をむさぼるっていう、そういう構造を作ったわけですね。
で、皆はですね、私は日本人はそんなに馬鹿じゃないと思いますが、「ゴミでお湯を作ってるからいいね」と、こうなったわけですよ。ところが、そのお風呂入ってる人たちは、普通の銭湯に行った方が実は安いんですよ。ゴミを処理するときの地方税を、うんと払ってるってことが見えないんですね。えー、そういう状態になりました。なぜそうなるかっていうと、ゴミで発電するときですね、ゴミは腐食性があるので、結構温度を上げるのが大変だったり、もともとカロリーが少なかったりしましてですね。効率が悪いんですよ。それから、まぁ1年に3ヶ月ぐらい止めて保守をするとか、いろんなことがあるんですね。
そうしますとですね、結局のところ、ゴミはゴミで燃やして、発電は発電でやった方がですね、環境にはいいんです。環境にはいいって言うか、エネルギーを使わないっていう点でですね。ま、そういう方がいいわけですね。これはですね、きちっと計算しなきゃ判んないことなんです。だから普通の人がですね、騙されやすいっつうのはこれ、無理ないんですね。だけども、これを騙さないっていうのが専門家の大切なとこですね。えぇ、専門家はそれ、ちゃんと見えてますから。
ゴミだったらゴミを効率15%以下だったら、もちろんダメなんですね。現在の発電っていうのは33%~40%、もしくは50%ぐらいの効率でやってるもんですから、全然、太刀打ちができないんです。太刀打ちできないっていうのは、お金で太刀打ちできないんじゃないんですよ。それだけ資源を使う、ってことなんですね。環境を壊すということなんですね。ま、それがひとつあるんです。
ですからあの、私はね、今度の原子力発電所の事故なんかもそうですが、まぁ、お役人とか電力会社が「ダマシ」をするわけです。庶民の方も、だいたいダマシは判ってるんですよね。「原子力発電所は安全だ」つって、「あぁ、そうですか」って言うんだけども、実際にはへき地に造ってる、と。へき地に造ってるのは、「何でへき地に造ってんですか?」ったら、「危険だから」。
だいたい判ってるんですけどね、「まぁ、いいや」と。ま、日本人ですからね。まぁ、いいやっていうことでですね、そのままやってたわけですよ。
“フランス人だったら、そうはいかない。”って、いつも言ってますよね。えーと、川の上流に原子力発電所があって、その下流で水道を取ってるっていうのがフランスですからね。「安全は安全、危険は危険」つって、分けるんですけどね。日本人は「まぁまぁ、なぁなぁ」とこういう感じです。ま、それもいいところあるんです。
でまぁ、それからもうひとつはですね、やっぱり、その「ゴミを減らせる」と思ってるところに基本的な問題があるんですよ。例えば、月給が30万、まぁ30万つってもいろいろと引かれますけど。ま、手元に30万もらう人がいたとしますね。その30万をですね、何か買えば、何買ったってゴミは同じように出るんですよ。
例えばですね、百円のものを買っても、千円のものを買っても、品質の良い千円のものを買えばいいじゃないか、って。それ違うんですよね。百円っていうのは百円しか掛かってないから、ま、つまり90円ぐらいしか掛かってないから、百円で売れるんで。千円のものは900円ぐらい掛かるので、千円で売ってるんですよ。じゃ、百円のものが、90円でできるっていうのはですね、簡単にパーンと作るからなんですよ。同じようなものが千円掛かるっていうのはどういうことかっていうとですね、それはもう例えば、ほとんどの原料を捨ててしまうとか、そういうことをしてるからなんですね。
よく言われるのがアレですね。例えば「醸造酒と本醸造」とか。「お米の30%だけ使います」と。「だから高いんです」と。そういうことですね。例えばウイスキーで「10年ものと18年と、どうしてあんなに違うんですか?」
「いや、まぁ18年置いとくと樽からアルコールがみんな出て、底の方にちょっとだけ溜まるのを取るから、お金高いんですよ。」とこういうわけですね。
つまり高いっていうのはそれだけ、当たり前ですけどね、暴利をむさぼってるとかそういう経済的なことを別にすると、値段が正常に付いてれば、高いってのいうのはですね、それで資源を使ってるわけですよ。
30万円の人がね、従来は30万円ものを使って、どんどんものを捨ててた、と。ところが、それを節約して例えば20万円使うとしますね。そうすると、ごみは3分の2になります。ゴミっていうのは、ゴミだけ減らすことはできません。もしゴミだけ減らすことができるって例があったら、ほんとにお聞きしたいぐらいですけどね。そんなことはできないですよ。自分の目の前でゴミを捨ててない、っていうだけなんですね。
さっき言ったように、ウイスキーの10年ものに対して、18年ものっていうのは、例えばウイスキーの量が3分の1になってるから高いんですよ。じゃ、残りの3分の2はどこに行ったの?って、空気中に飛んだわけです。そこでゴミが出てるんですよ。だけども、それは見えないんですよね。自分に見えないっていうだけですよ。
これはね、人間とは言えないんですよ。人間っていうのはですね、自分のところで見えなくてもそれが想像がつくっていうのが、人間の才能ですからね。例えば、よく言われますけど、「敵を殺すときに、子どもも殺すのは人間だけ」ってよく言われるんですね。なんで子供も殺すの?つったら、親だけ殺しときゃいいんだけど、子どもがやがて将来成長して、自分にあだ討ちしてくんじゃないか、ってことを予想して殺すんですね。人間つうのは、そういう力を持ってるわけです。ですから、自分の身の回りで起こらないこととか、将来起こることを予想できるって言うのが、まぁ人間の力なわけです。
ところがこのゴミの問題になると、それ皆できなくなっちゃうんですよ、えぇ。で、10万円余った、と。その10万円をですね、銀行に預けますね。そうしますと、銀行はその金庫に入れとくわけじゃないんですね。それを企業に貸し出しますから。その10万円が有効に使われて、それがものになります。それを捨てるんだったら良いですけど、そのうちその人も銀行に行って、その10万円を下ろして、また使うんですね。結局は、節約するとゴミは増えるっていうのが、ほんとなんですよ。
だから節約つうのは環境とは関係ないんですよ。節約するってことは極めて大切で、私もあの、本にですね「人生は、幸福になるためには、節約することだ」と。
これは心の問題ですね。心としては節約は必要です。環境としては、節約をするとゴミは増えるんですね。
このことが、ちょっと分かりにくいってこともあってですね、それに乗じて、まぁこれが東大出の官僚っちゅうもんなんですよ。頭が良くてですね、人を上手く騙すんですよ。心の問題と環境の問題、科学の問題をくるっとこう、このなんて言いますか、ひっくり返しちゃうっていうね。混ぜこぜにしちゃうっていう、そういう上手いところがあるんですね。
しかし、読者の方も「これはちょっとおかしいんではないか?」というふうに、メールを頂いたわけでありますが、私はね、だいたい日本人は知ってると思います。そういうことをおぼろげには知ってると思いますね。だいたい、官僚がですね、自分たちのためにならないことなんて、やらないんですよ、実は。それは当たり前ですよ、人間ですからね。官僚じゃなくても、そうかもしれません。しかし官僚っつうのは、そういうところが上手いということでですね。でまぁ、こういうことが起こる、と。
だから、今までリサイクルしたり、分別してリサイクルしたり、ゴミ発電したりしたのは、もう、ほんとに日本国全体としてはダメだったんですよ。こんなことしてるから、子どもたちがですね、就職先が無くなっちゃうわけで。私たちは30万給料をもらったら、30万使っていいんだ、と。年金なんかも入れてですよ、もちろん将来も入れてですよ。結局、自分の人生で使い切ってしまっていいんだ、というふうにですね、当然のことを当然のように思わないとダメですね。私はそう思います。
(文字起こし by danielle)